「今度、初めての実家を出てアパートに引越しするんだけども、緊張するなぁ…」と持ってませんか?
こんにちは。賃貸アパートへの引越しを担当するときは、ちょっとだけ気分が楽になっていた、元引越し業者スタッフの管理人です。
賃貸アパートの引越しは、他の建物の引越しと比べて、条件の制約が少ないという特徴があります。
このため、「引越し初心者」には、やさしい建物といえます。
ただ、賃貸の建物=他人である大家さんの建物である以上、特に壁・床のキズ・ヘコみ・汚れには注意が必要です。
また、賃貸のアパートは、そこからさらに引越しすることが前提となります。
このため、転入・転出の両方の引越しで追加料金の原因となるような、窓吊りなどの作業は、避けるべきです。
さらに、ご近所づきあいの一環として、同じアマートの住人の方へのあいさつが、意外と重要となることがあります。
賃貸アパートへの引越しはいろんなプランを選択できる
引越しのトラブルが少ない建物
賃貸アパートは、建物の建築費を安く抑えるために、原則として、標準的・画一的な構造となっています。
このため、特殊な構造の建物は少なく、いわゆる「デザイナーズ物件」でもない限り、引越し業者としては対応が楽です。
また、一般的には、アパートの引越しは荷物が少ないため、その点でも、事故は起きにくいといえます。
引越しのプラン・パックの選択にあたっても、特に条件の制約は、ほとんどありません。
このため状況に併せて、いろんなプラン・プランを自由に選択できます。
ただし、一戸建てを新築するために、仮住まいとしアパートに引越しする場合は、通常の引越しとは別の対応が必要です。
参照:仮住まいへの引越しはきめ細かいサービスの大手引越し業者に依頼する
内階段がある「メゾネットタイプ」のアパートは階段作業に注意
もっとも、条件の制約が少ないとはいえ、まったく問題がないわけではありません。
特に、賃貸アパートがいわゆる「メゾネットタイプ」の場合は、注意が必要です。
メゾネットタイプとは、1階が玄関のみで、2階までの階段が内階段となっているタイプのアパートです。
この賃貸アパートの2階への引越しは、当たり前ですが、ほとんどの荷物が内階段を通ります。
この内階段での引越し作業は、通常の一軒家の階段と同様、床や壁のキズ・ヘコみ・汚れなどの事故に注意が必要です。
このため、メゾネットタイプの賃貸アパートは、なるべく大手引越し業者で、ある程度は高品質な引越しプラン・パックを検討してください。
賃貸アパートの「原状回復」のためにも高品質な引越しプランを
原状回復費用≒元に戻す費用
内階段のキズ・ヘコみ・汚れにも関連しますが、賃貸アパートは、退去の際に、いわゆる「原状回復」(≠”現状”)をしなければなりません。
原状回復とは、賃貸アパートの退去の際に、借主、つまりお客さまの故意・過失によって生じたキズ等を「原状に」回復することです。
このキズ等には、経時劣化や通常の使用による損耗は含みません。
ですから、原状回復義務は、新品同様の、借りた時の状態に完全に復元させる義務ではありません。これは、よく勘違いされがちな点です。
もちろん、悪質な不動産屋や貸し主が、いわゆる「吹っかける」場合もありますが、中には正当な理由による請求であることもあります。
引越し作業のキズは原状回復義務の対象
原状回復の義務の対象となるキズ等には、当然、引越しの作業によって発生したキズも含みます。
つまり、引越しの際に床・壁などにキズをつけてしまって、そのままにしておくと、貸主からそのキズの補修を求められます。
「あのキズは引越し業者がやったものだから、引越し業者に原状回復費用を請求してくれ」という借主の主張は、通用しません。
原状回復義務は、あくまで借主と貸主の建物賃貸借契約での義務です。
ですから、貸主は、借主に対して、賃貸アパートの床や壁などのキズ・ヘコみ・汚れの修復を請求できます。
もちろん、「貸主」としては、事故を起こした引越し業者に対して、直接キズ・ヘコみ・汚れの修復を請求できます。
ただ、逆に、「借主」の側が、「引越し業者がやったから」という理由で、キズ・ヘコみ・汚れの修復を拒否することは契約違反となります。
賃貸アパートの引越しでは高品質な引越しプラン・パックを利用する
このため、賃貸アパートの引越しでは、引越し作業中に事故がおこらないように、なるべく高品質なプラン・パックを利用するべきです。
もちろん、引越し業者のスタッフの作業によって床・壁などにキズがついた場合は、引越し業者は、補償する義務があります。
つまり、理屈のうえでは、どのプラン・パックで引越ししてもいい、ということになります。
ところが、引越し業者との補償交渉は、非常に難航することが多いです。
場合によっては、引越し業者に補償に応じてもらえないこともあります。
ですから、そもそも「事故が起こりにくい」高品質な引越しプラン・サービスを利用するべきです。
賃貸アパートは必ず引越し前に壁・床のキズをチェックする
キズが「ないこと」を確認・記録しておく
賃貸アパートの引越しでは、引越しをする前に、必ず壁・床のキズをチェックしておいてください。
これは、引越しの事故への対策と、退去する際の原状回復への対策の、両方のためです。
通常の賃貸アパートは、管理や手入れが行き届いていれば、ほとんど床・壁にキズ・ヘコみがありません。
特に、壁については、壁紙を貼り替えることが多いため、新築同様となっていることがほとんどです。
ただ、新築のアパートでもない限り、なんらかのキズがある可能性もあります。
こうした、キズ・ヘコみが「ないこと」、あるいはあったとすれば、「あること」を確認し、記録しておくことが重要です。
引越しの事故に備えて「原状」の証拠=写真を撮っておく
ここでいう「記録」とは、具体的には写真撮影のことです。
壁・床のキズをチェックした際には、必ず写真を撮っておいてください。
これは、引越しの作業で壁・床にキズがついた場合に、引越し業者と補償交渉をする際の証拠とするためです。
この際、必ずスマホやデジカメではなく、フィルム式のカメラで写真を撮ってください。使い捨てカメラやインスタントカメラで大丈夫です。
スマホやデジカメの写真は加工が容易なため、補償交渉の際の証拠としては使いづらいからです(何もないよりはマシですが)。
引越しでキズが「増えた」ことを証明する
補償交渉の際、引越し業者を説得するためには、「キズ・ヘコみが新しく増えた」、つまり「キズ・ヘコみが(もともと)なかった」という証拠が重要となります。
引越し前と比べて、アパートの壁や床にキズが増えている、ということは、引越しの作業で壁や床にキズがついた、という推測が成り立ちます。
この推測を間接的に補強する証拠が、元々の状態=「原状」の写真です。
ですから、なるべく事前に壁・床のキズをチェックしたうえで、写真を撮っておいててください。
参照:家具・壁・床のキズが多い―引越しのトラブル・事故の傾向
参照:これで引越し業者との補償交渉もバッチリ!引越しの事故の対処7つポイント
「原状」の写真は不当な原状回復請求を拒否することもできる
すでに述べたように、アパートのを退去する際には、お客さまは、引越し業者と同じように、建物の修理(=原状回復)を求められる立場になります。
この退去の際の原状回復請求でも、原状を撮影した写真は役に立ちます。
悪質な不動産屋や貸主は、元々あった建物のキズについても原状回復の請求をすることがあります。
この際、入居時の写真を提示することで、そのキズが元々あったキズであることを主張できます。
その結果、不当な請求を拒否することができます。
このような点からも、賃貸アパートに引越しをする場合は、写真撮影が非常に重要です。
賃貸アパートでの窓吊りと業務用家具の組立ては避ける
窓吊り作業は最も危険な作業
窓吊り作業は、引越しの作業の中でも、最も事故が起こりやすい、危険な作業です。
窓吊り作業とは、階段では狭くて搬入することができない大きな荷物を、窓から吊り上げる、または吊り下げる作業です。
引越し業者によってその方法は様々ですが、1本のロープで家具を縛り、2人のスタッフが腕力で吊り上げる、または吊り下げる方法が一般的です。
これに加えて、脚立を使って家具を下から押し上げる、または家具を脚立に伝わらせてすり降ろすこともあります。
窓吊りの作業は、スタッフ・建物・家具・家電製品(特に冷蔵庫)に極度の負担がかかる作業です。
このため、負担がかかった家具や建物にキズやへこみが生じる可能性があります。
最悪の場合、荷物が落下する可能性もあります。
参照:細かいキズ・ヘコみに注意―引越し元(旧居・積地)での吊り下げ・窓吊り作業の注意点
参照:落下事故・ヘコみに注意―引越し先(新居・卸地)での吊り上げ・窓吊り作業の注意点
なるべく窓吊りや業務用家具の組立ては避ける
また、賃貸アパートでの引越しでは、窓吊りや室内での業務用(家庭用は問題ありません)の家具の組立てなど、面倒な搬入はなるべく避けてください。
賃貸のアパートの場合、時期は未定であっても退去を予定しているものと思われます。
当然ながら、引越しの荷物は、搬入した時と逆の作業で搬出することになります。
となると、次の引越しの際にも、窓吊りや家具の組み立てをすることになり、余計な料金が発生することになる可能性があります。
賃貸アパートでの窓吊りは人件費が高い・時間がかかる・事故のリスクがある
特に、窓吊りの作業は、ある程度のスタッフ(少なくと3人以上、しかも全員経験者)が必要になりますので、人件費がかかります。
また、準備や作業そのものに時間がかかりますので、作業全体の時間も大幅に増えることになります。
なにより、アパートでの窓吊りは、一戸建ての場合よりも、さらに事故が発生するリスクも高いです。
このように、賃貸アパートでの窓吊りはデメリットが多いため、よほどのことがない限り、オススメできません。
賃貸アパートでの引越しでは他の部屋の住人にあいさつする
想像以上にうるさい階段での引越し作業
アパートの引越しでは、2階以上の部屋へ荷物を搬入する場合、階段の昇り降りや室内の移動で、大きな音が発生します。
特に、外階段の作業では、引越し会社のスタッフが走るため、想像以上に大きな騒音となります。
この音は、他の部屋の住人にとっては、非常に迷惑なものです。
このため、なるべく搬入作業を始める前にあいさつしてください。
特に、下の階の住人には、必ずあいさつするようにしてください。
大手引越し業者は「営業」も兼ねてあいさつをする
また、他の部屋の住人からのクレームを防ぐため、大手引越し業者では、他の部屋の住人に、引越し作業開始前にあいさつをします。
このあいさつの際には、ティッシュ箱などの粗品や割引券などを持参して、ちゃっかり営業をしているくらいです。
ただ、これも引越し業者の方針や社員教育によりますので、こうした配慮をしていない引越し業者もあります。
引越し業者があいさつをしないようであれば、お客さまが同行してでも、引越し業者にも、ご近所にあいさつしてもらってください。
単身・一人暮らしの女性はあいさつを控えるべきかも?
単身・一人暮らしの女性に限っては、防犯の点から、あいさつを控えたほうがいい場合もあります。
他の部屋の住人へあいさつをしない場合は、引越し業者のスタッフだけでも、あいさつしてもらってください。
また、あいさつの後に、実際にあいさつした引越し業者のスタッフに、どのような人が住んでいたのかを確認してください。
そのうえで、改めてあいさつに行くかどうか、検討してください。
1階が店舗の場合の引越しは必ず店舗にあいさつしてもらう
なお、1階が事業者の店舗になっている場合は、特にあいさつが重要です。
建物の構造上、この店舗の前に、引越し業者がトラックを駐車しなければならないこともあるでしょう。
こういう、店舗の目の前に駐車する場合は、無断駐車は、営業妨害になってしまう可能性もあります。
ですから、必ず引越し業者にはあいさつをしてもらって、駐車の許可を取ってもらってください。
まとめ
いかがでしたか?最後にもう一度、賃貸アパートでの引越しの注意点について確認しておきましょう。
- 賃貸アパートでの引越しは比較的問題は少ないがメゾネットタイプの内階段の階段作業に注意。
- 賃貸アパート特有の「原状回復」への対応のため、大手引越し業者の高品質なプラン・パックがオススメ。
- 引越しの事故と原状回復への対策のため、引越し前に必ずキズ・ヘコみ・汚れの確認と写真撮影をする。
- 賃貸アパートでは窓吊りを業務用家具の組立ては避ける。
- 特に窓釣りは、「人件費が高い・時間がかかる・事故のリスクがある」とデメリットが多い
- 引越し作業による騒音のクレーム防止のため、賃貸アパートの他の部屋の住人へのあいさつをする。
- 単身・一人暮らしの女性の場合は、場合によってはあいさつを控え、引越し業者のスタッフだけにあいさつしてもらう。
- 1階が店舗の場合は、作業開始前に必ず引越し業者のスタッフにあいさつしてもらい、トラックの駐車の許可を取る。
賃貸アパートへの引越しは、階段作業がない限り、事故そのものの発生のリスクは、かなり低いです。
管理人は、何度となく、一人暮らしを始める学生や新社会人のお客さまの、実家から賃貸アパートへの引越しを担当してきました。
その経験からも、建物の特徴が原因となる引越し作業の事故は、ほとんど記憶にありません。
ただ、2~3人暮らし程度のお客さまの引越しとなると、話が変わってきます。
比較的荷物も多くなりますし、重い家具や家族用の冷蔵庫など、事故の原因・リスクが増えてきます。
これに加えて、お客さまの立場では、退去時の「原状回復」への対処が重要となります。
どんな引越しであっても、事故が起こった場合、引越し業者との補償交渉が面倒なものです。
しかも、賃貸のアパートでは、引越し業者との補償交渉に加えて、不動産会社や大家さんとの「原状回復」の交渉が待っています。
引越し業者との補償交渉が決裂した場合、新築・購入した建物の場合は、泣き寝入りで終わらせることもできます。
ところが、賃貸のアパートの場合は、「原状回復」をしなければいけないため、泣き寝入りすることすらできないのです。
このように、賃貸アパートで事故が発生した場合は、非常に面倒なことになります。
ですから、賃貸アパートでの引越しでは、なるべく大手引越し業者の高品質なプラン・パックのご利用をオススメします。