「プチプチって、いろんなワレモノに使えて便利なんだけど、いろいろ使ってるとすぐなくなっちゃうし、意外とかさばるのよね…」と、お悩みではありませんか?
こんにちは。プチプチといえば、ワレモノの梱包材というよりも、家具・大型家電製品の梱包材、というイメージが強い、元引越し業者スタッフの管理人です。
いわゆる「プチプチ」は、気泡緩衝材(エアーキャップ)のことで、空気が入った、ビニール製の緩衝材のことです。
引越し業者、メーカーによって、いろいろな呼び方、商標があります。
エアーキャップを使いこなすためには、ある程度の専門知識や経験が必要です。
そして、プロの引越し業者のスタッフは、小型の荷物の梱包には、ほとんど使いません。
実は、プチプチは、お客さまご自身も、あまり使う機会や必要がありません。
使う機会がある場合は、必ずプチプチの裏表を間違えずに使ってください。「デコボコは内側・ツルツルは外側」です。
プチプチは家電製品・割れ物・重量物などいろいろ梱包できる優れもの

衝撃に弱い荷物の梱包に使う
プチプチは、基本的には、割れ物が割れないように梱包するために使われます。
具体的には、つぎの荷物の梱包に利用できます。
- 電子レンジのガラスの皿
- 大型の皿・丼などの食器
- 土鍋・ホーロー鍋
- 大型の鏡・姿見
- 大型のガラス製品
- ガラス板
- 照明器具
- 小型の家電製品
- 水鉢・火鉢などの大型の陶器
レアケースですが、防水のために使われることもあります。
実は小型の荷物にはほとんどプチプチは使われない
さて、これらの荷物のうち、引越し業者のスタッフがプチプチを使うのは、せいぜい、1.、2.、3.の台所用品くらいのものです。
これらは、いずれも「重いワレモノ」です。重いワレモノは、食器梱包用紙(クレープ紙・クレープペーパー)では衝撃を吸収しきれません。
ですから、こういう荷物の梱包には、プチプチを使います。
他のものに使うこともありますが、これらの荷物は、毛布やキルティング加工した保護材など、耐久資材で対応します。
また、小型の家電製品などは、そのままダンボールに梱包してしまいます。
このように、非常に使い勝手がいいプチプチですが、引越しで活躍する場面は、意外とありません。
プチプチは長距離の引越しの場合は家具にも使用

長距離の引越しではすべての荷物を使い捨て資材で梱包する
例外として、プチプチは、長距離の引越しでの家具・大型家電製品(とくに冷蔵庫)の梱包では大活躍します。
長距離の引越しの場合、引越し先(新居・卸地)で資材を回収できないため、耐久資材を使うことができません。
このため、普段は近距離の引越しでは耐久資材で梱包している家具も、使い捨ての消費資材で梱包します。
この際、家具や大型家電製品がキズつかないように、プチプチが使われます。
家具・大型家電製品を丁寧に梱包するためには必須のアイテム
家具・大型家電製品を梱包する際は、基本的には、不織布、プチプチ、巻きダンボール、板ダンボールの順番に家具に当てていきます(引越し業者によって対応はさまざまです)。
気泡緩衝材を利用することで、家具にキズがつく可能性が格段に減ります。
逆に、気泡緩衝材を利用しないと、家具にキズがつく可能性が高いといえます。
このため、長距離の引越しの場合は、引越し業者のスタッフが気泡緩衝材を使って丁寧に梱包しているかどうかを確認してください。
特に、繁忙期では、雑な梱包になったり、ひどい場合は、そもそも長距離の引越しの梱包のしかたを知らないスタッフが梱包している場合もあります。
もし引越し業者のスタッフが気泡緩衝材を使っていない場合は、荷物の搬入後、家具にキズがないかどうかをよく確認してください。
基本的にプチプチの使用は引越し業者にまかせる

「プチプチを使う必要のある荷物」は引越し業者にまかせる
プチプチを使わなければいけない荷物は、割れないように、また、キズつかないように梱包する必要があります。
このような梱包は、ごく単純な荷物を除いて、専門的な技術やノウハウがないと対応できません。
つまり、本来は、プチプチを使った梱包は、引越し業者のスタッフでないとできないものです。
もちろん、プチプチをたくさん使えば、特に専門的な技術やノウハウがなくても、安全に荷物を梱包できます。
ただ、プチプチをたくさん使えば、意外と無駄な場所を取りますし、何よりも余計にプチプチの費用がかかってしまいます。
引越し業者のスタッフは、なるべく少ないプチプチで、かつ安全に荷物を梱包する技術やノウハウがあります。
このため、どんな引越しのプラン・パックであっても、基本的には、引越し業者のスタッフが、プチプチを使った梱包をしてくれます。
引越し業者によって対応が分かれるので営業員に必ず確認する
…といいたいところですが、これは引越し業者によって、対応が分かれます。
管理人が勤務していた引越し業者では、基本的には、お客さまにプチプチを事前にお渡ししていませんでした。
というのも、すでに述べたとおり、実は、プチプチは、小型の荷物の梱包では、ほとんど使うことがありません。
また、大型の荷物の梱包は、引越し業者のスタッフがします。このため、お客さまがプチプチを使うことは、めったにありません。
こうした事情があるため、業務用のプチプチを丸々一本お渡しすることが、ほとんどありませんでした。
もちろん、これは管理人の勤務先の引越し業者に限ったの話です。
ですから、見積もりの際に、資材としてプチプチが見積書に書いていた場合、何に使うのか、どう使うのかを必ず営業員に確認してください。
これだけは気をつけたい引越しでのプチプチの使い方

ご自分で梱包する場合は裏表に気をつける
引越し業者からプチプチを提供されて、ご自分で梱包する場合は、プチプチの裏表に注意してください。
これは、どんな荷物を梱包する場合であっても、気をつける点です。
プチプチは、デコボコになってる面(裏面)と、ツルツルになっている面(表面)があります。
これを間違えると、わざわざプチプチで梱包しても、衝撃からは保護されにくくなります。
「デコボコを内側・ツルツルを外側」
プチプチで荷物を梱包する場合は、デコボコの面を内側=荷物に当てて、ツルツルの面を外に向けます。
実は、プチプチはツルツルの面のほうが強度が強くできています。
これにより、衝撃を「面」で受け止め、内側の気泡で衝撃を吸収する構造になっています。
逆に、デコボコの面は、ひとつひとつの気泡の部分が独立しています。
このデコボコの面が外になってしまうと、衝撃を個々の気泡の「点」で受けることになり、気泡があっさり潰れてしまいます。
こうなると、衝撃を吸収できなくなってしまいます。
このように、裏表を間違えると、プチプチで梱包する意味がなくなってしまいます。
プチプチで荷物を梱包する際は、「デコボコを内側に、ツルツルを外側に」を忘れないようにしてください。
「お客さま独自の梱包」は引越し業者の補償対象外
レアケースではありますが、お客さまが独自でプチプチを用意して、家電製品などを梱包されていることがあります。
これは、元引越し業者のスタッフでもない限り、あまりおすすめできません。
というのも、お客さまご自身による梱包の場合は、事故があったときでも補償の対象外となるからです(標準引越運送約款第23条第8号)。
標準引越運送約款第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(途中(1)~(7)省略)
(8)荷送人又は荷受人等の故意又は過失
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
このため、素直に引越し業者にまかせてください。
ちなみに、引越し業者からプチプチを提供されて、お客さまが梱包したとしても、補償対象外です。
プチプチを使った長期保管ではカビに注意

「防水性が高い」からこそカビに気をつける
プチプチは、ビニール製ですので、完全に水を通しません。
そういう意味では、防水性が非常に高く、雨や雪の引越しでも活躍する資材です。ただ、その防水性が仇になることがあります。
それが、引越し業者に長期間荷物を保管してもらうサービスでの、カビの発生です。
プチプチは、防水性が高いだけに、通気性はまったくありません。
ですから、もともと内部に水分がある荷物を梱包した場合、湿気がこもりがちになります。
具体的には、エアコンの室内機、洗濯機、冷蔵庫などが、カビやすい傾向があります。
特に、梅雨の時期を越える長期保管の場合は要注意です。
また、材質によっては、木製の家具でさえ、梅雨の時期はカビることがあります。
カビのリスクは引越し業者のスタッフでも気づかないことがある
このため、長期保管のサービスを利用する場合は、時期によっては、プチプチによる梱包は避けるべきです。
お客さまご自身による梱包もそうですが、プロである引越し業者のスタッフですら、忘れることがあります。
ですから、長期保管のサービスを利用した際、作業に慣れている引越し業者のスタッフでも(作業に慣れているからこそ?)、プチプチを使って、水回りの家電製品を梱包することがあります。
この場合は、ひとこと「カビは大丈夫ですか?」と声をかけて注意喚起をしてください。
まとめ
「そういえば、そんなにプチプチって、引越しでは使わないよなぁ…」この記事を書いていて、思い出しました。
結局のところ、プチプチは、非常に使い勝手がいい資材ではありますが、「使わなければいけない」状況は、あまりありません。
かつて管理人は、勤務先の引越し業者の先輩に、「俺ら(男性スタッフ)が、プチプチ使わないといけないような運び方したら、ダメだろ」といわれました。
プロの引越し業者のスタッフが運ぶ場合は、そもそもプチプチを使う梱包自体が、過剰な梱包だということです。
もちろん、これは、自分たちだけの作業で、責任を持って引越しができる場合に限った話です。
具体的には、1日で引越し元(旧居・積地)からの荷物の搬出と、引越し先(新居・卸地)への荷物の搬入が終わる、近距離の引越しの場合です。
確かに、こういう引越しの場合は、電子レンジのガラス皿と、せいぜい、大きな皿や丼、土鍋、ホーロー鍋などにしか、プチプチを使っていた記憶がありません。
逆にいえば、いくらプロの引越し業者のスタッフが作業をするとはいえ、これらの荷物は、プチプチで梱包する必要がある、ということですが…
おそらく、お客さまにとっても、引越しで実際にプチプチを使う機会は、そう多くないと思いますし、必要性も低いでしょう。
ですから、引越し業者の営業員から、特に指示やプチプチの提供がない限り、無理に使う必要はありません。
もちろん、それでも破損事故が不安な場合は、多少梱包に時間がかかったり、開梱した後で処分が面倒でも、プチプチを梱包に使っても差し支えありません。
その際は、裏表を間違えない、「デコボコを内側・ツルツルを外側」を忘れないでください。