「食器棚って、やっぱり食器全部を梱包しなきゃダメ?そのまま運べないの?あと、分解して梱包するものなの?」と、いろいろと疑問に思いませんか?
こんにちは。新人の頃は、先輩に食器棚の扱い方でこっぴどく叱られていた、元引越し業者スタッフの管理人です。
食器棚は、食器や調理器具を収納する棚です。台所によく置かれているものですね。
たいていの食器棚には、たくさんの棚とガラス製の扉がついています。
また、小型のものを除いて、上下に分離します。ものによっては、非常に幅が広いものもあります。
「それはそうでしょ」と、何気なくお読みいただいたと思いますが、これだけでも、食器棚が非常に特殊な家具であることがわかります。
- たくさんの棚がある=棚板とビスがある
- ガラスの扉がついている=割れるリスクがあり、重くて、前面に傾きやすい
- 上下に分割する=分解・組立ての際に事故がおこる可能性がある
- 幅が広い=部屋に入らないこともある
特に、大型の食器棚は、一般的な引越しの荷物としては非常に幅が広く、重く、(上下に分離するものの)組立てると比背が高くなります。
このような特徴から、天井、床、壁などにキズがついたり、部屋に入らない、というトラブルが起こりがちな家具です。
このため、中身=食器・調理器具・台所用品・食材などを取出して梱包したあとは、すべて引越し業者のスタッフにまかせてください。
お客さまご自身による分解や梱包は、しなくても大丈夫です。
なお、引越し業者によっては、引出しの中身はそのままでも運んでくれることがあります。
食器棚は引き出し以外は必ず中身を空にする
食器は食器棚から必ず取出して梱包する
食器棚からは、棚の中にある食器は必ず出してください。
当然のことですが、割れ物である食器を中に置いたままでは、食器棚はまともに動かすこともできません。
トラックで運転中も、食器棚の中に食器が中にあると、動いてしまって割れてしまいます。
ましてや、部屋から出したり、階段をとおったりする際には、(特に幅が広い)食器棚は、水平のままではなく、立てたり倒したりすることもあるくらいです。
こうした一連の運搬作業をするためには、食器をそのまま中に入れた状態で運ぶのは不可能です。
なお、食器の梱包方法については、引越し業者の指示に従ってください。
引越し業者により、従来のダンボールを使った梱包の方法と、食器専用の専用資材による梱包で簡単に済む方法があります。
調理器具も必ず取出して梱包する
また、食器だけでなく、食器棚の下段に入っている、鍋やボウル・ザルなどの、大きな調理器具も取出しておいてください。
これらの調理器具は、食器棚から取出してダンボールに梱包します。そうしないと、運搬途中で、食器棚の中で動いてしまいます。
プラスチック製のザルのような軽いものであれば、多少動いても問題ないかもしれません。
しかし、金属製のザルやフライパン・中華鍋・鉄瓶などは、かなり重いものです。
これらが食器棚の中にあると、運搬中に動いた際に、食器棚の内部をキズつけたり、ヘコませたりすることになります。
また、ホーロー鍋、土鍋、急須などは、食器と同じように、割れる可能性もあります。
ですから、こういった鍋やボウル・ザルなどの調理器具も、必ず食器棚から取出して、ダンボールに梱包してください。
引出しの中身は引越し業者によっては梱包しなくてもいいことも
食器棚には、真ん中に、スプーン、フォーク、ナイフ、箸などの割れない食器が入っていると思います。
また、ちょっとした調味料や乾物・レトルトなどの食品も入っていることでしょう。
これらの引出しの中身については、引越し業者によって、取出して梱包するか、または取出さないでそのまま食器棚を運ぶか、対応がちがいます。
この点は、見積もりの際に、引越し業者の営業員に確認しておいてください。
取出して梱包するように指示を受けた場合は、おとなしくダンボールに梱包しましょう。
そのままでかまわない場合は、当日引越し業者のスタッフにまかせてください。
引越し業者やスタッフによっても対処はことなりますが、引出しを取出して梱包したり、または、引出しの中身が動かないように固定したうえて運んでもらえます。
なお、中身入りで運ぶ場合は、どうしても事故のリスクは0%にはできません。
ですから、管理人の個人的なオススメとしては、あくまで中身は取出して梱包するべきと考えます。
具体的には、そのまま運んでくれる場合、引越し業者が当日処置をしてそのまま運んでくれる場合、中身を出して梱包しなければならない場合などがあります。
このため、見積もりの際に、引越し業者の営業員に確認してください。
食器棚の分解・組立は引越し業者にまかせる
食器棚は上下に分解して運ぶ
食器棚は、たいていは、ネジ止め式になっていて、上段と下段がくっついています。
まれに、ネジ止め式ではなくはめ込み式になっている食器棚もあります。
ネジは引き出しの中や背後についていますが、ネジを外すこと自体はさほど難しいものではありません。
模様替えなどの室内の移動程度であれば、分割しなくても運ぶことはできますが、引越しともなるとそうはいきません。
そもそも、ネジが1~2本で止まっているものをそのまま運ぶのは、バラバラになるリスクがあります。
ですから、引越しの際は、食器棚は、必ず上段と下段に分解して、それぞれ別々に運びます。
食器棚の分解・組立ては事故・怪我のリスクが高い
このように、食器棚の分解自体は、お客さまご自身でも簡単にできるようになっています。
ただ、食器棚は非常に重いため、分解・組立のために動かすこと自体が非常に危険です。
ヘタに動かしてしまうと、棚板が落ちたり、飛び出たりして、最悪の場合、上段についているガラスの扉が割れることがあります。
また、上下一緒に動かそうと思ったのに、うっかり上段だけ持ってしまい、上段がすっぽ抜けて倒れてしまう、ということもあります。
ちなみに、こういう事故がないように、引越し業者のスタッフは、上下の食器棚を一緒に動かす場合は、引出しの中に片方の手を入れて動かします。
このように、食器棚を安易に分解したり動かしたりすると、さまざまな事故が発生します。
食器棚の形は、意外と製品によってマチマチで、プロの引越し業者のスタッフでも、特に気を使いながら扱うものです。
食器棚は、中身の食器を取り出して梱包したら、そのままにしておいて、分解・組立は、引越し業者にまかせください。
食器棚のガラス扉・棚板は引越し業者にまかせる
食器棚は「やってはいけないことだらけ」
食器棚は、中身を取出したら、そのまま引越し業者のスタッフにまかせてください。
「まかせる」というより、それこそ「何もやってはいけません」。
食器棚を安全に運ぶには、プロのテクニックで、さまざまな対処をしなければばりません。
ときどき、お客さまのお気遣いいろんな対処をしてくださっているのを見かけます。
…が、引越し業者の勤務経験がある方は別としても、管理人の経験上、完璧な対処がされているのは見たことがありません。
棚板・ビスは固定して運ぶ
荷物を取出して、中身が空になった食器棚には、棚板と棚板を載せておくビス(細い金属)が残ります。
棚板とビスをそのままにしておくと、これも運搬中に動いてしまいます。
もちろん、動く棚板は、落ちて食器棚の内部をキズつけたり、ガラス扉を突き破ったりする事故の原因となります。
この棚板は、引越し業者のスタッフが動かないように固定して処置します(この作業を「棚止め」といいます)。
棚板とビスはわざわざ取出して梱包してはいけない
お客さまがわざわざ棚板とビスを取出して、ダンボールやビニール袋に梱包する必要はありません。
棚板やビスをダンボールに梱包してしまうと、そのダンボールがどこにいったのかわからなくなることがあります。
こうなると、食器棚に棚板を据え付けることができなくなり、食器の開梱・収納ができなくなってしまいます。
このようなことがないように、引越し業者のスタッフにまかせて、食器棚の中で棚板を固定してもらいましょう。
棚板をビニール紐で縛るのは間違い
また、食器棚をビニール紐で縛るお客さまがいらっしゃいますが、これは棚板にスリキズができる原因となります。
ですから、わざわざ縛る必要はありません。このような方法を推奨するウェブサイトの記載も間違いです。
良心的な引越し業者のスタッフであれば、二度手間になりますが、わざわざビニール紐をほどいて運ぶくらいです。
また、ごくまれに、ガムテープや養生テープでガッチリ棚板が固定されている場合があります。これも間違いです。
こうした処理は、ガムテープや養生テープが剥がれたとしても、塗料も一緒に剥げることがあります。
特に紙ガムテープ(=クラフトテープ)の場合は、取れなくなってしまうこともあります。
この点からも、棚板は、何もせずにそのままにしておくことをオススメします。
ガラス扉のテープ止めは「やってはいけない」作業
「引越しあるある」のひとつですが、お客さまのお気遣いで、いろんな「開くもの」をガムテープや養生テープで固定していただける、というのがあります。
テレビボード、電子レンジ、引出し型の衣装ケース・収納ボックスなどが代表的な例ですが、食器棚もそのうちのひとつです。
実はこれ、「やる必要のない作業」(衣装ケース・収納ボックスの場合)、または、「やっていはいけない作業」(その他の荷物)です。
食器棚のガラス扉の固定も、「やってはいけない作業」です。
すでに述べた棚板の固定作業がありますから、どのみち、ガラス扉は開かないといけません。
ですから、結局、開いた後にまた固定することになり、二度手間になります。
現場の判断でガラス扉への対処はちがうので何もしなくていい
また、引き戸タイプのガラス戸の場合は、固定するための独自のノウハウや資材が必要な場合があります。
経時劣化で外れやすくなっているガラス戸の場合は、ガラス戸を外して、わざわざ梱包して運ぶこともあります。
外開き式のガラス戸の場合は、特に対処せずに、家具全体を包む資材で梱包して運びます。
このように、現場の判断によって、食器棚のガラス扉への対応がちがってきます。
ですから、食器棚のガラス扉は固定せずに、そのままにしておいてください。
食器棚は特殊な家具だけに事故が起こりやすい
台所や部屋に入らない
食器棚は、引越し元(旧居・積地)では入っていたのに、引越し先(新居・卸地)では、台所に入らない、ということがあります。
これは、特に幅の広い、大きな食器棚にありがちな話です。
食器棚自体は、直方体の単純な家具です。いくら何でも、引越し業者のスタッフの能力不足で、玄関や台所の入口を通らない、ということは滅多にありません。
問題は、建物構造上、大きな食器棚が物理的に通らない、という場合です。
特にマンションやアパートなどの、集合住宅の場合、幅が広く、背も高い食器棚(特に上段)は、廊下から玄関に入らないことがあります。
一戸建てであっても、廊下の構造によっては、大きな食器棚が入らないこともありえます。
もちろん、こうした状況では、引越し業者のスタッフは、窓からの搬入や、窓吊りでの搬入を検討します。
ただ、どう工夫して搬入しようとしても、食器棚が台所に入らない、ということがまれにあります。
台所に窓がない、あるいは小さな窓しかない、台所につながる部屋に大きな窓がない、高層階で窓吊りができないなどの建物が該当します。
こういう建物の場合は、食器棚が台所に入らないことや、建物そのものに入らない=玄関を通らないことも、ある程度想定しておくべきです。
具体的には、玄関を通る場合は、不便でも台所以外の場所に置く、玄関を通らない通らない場合は、そのまま引越し業者に処分してもらう、などです。
特に、後者の引越し業者に食器棚を処分してもらえるかどうかは、引越し業者によっては対応していないこともあります。
ですから、この点は、見積もりの段階で、あらかじめ引越し業者の営業員に確認しておいてください。
幅が広いために壁に接触する
幅が広い大型の食器棚は、上下に分割したとしても、幅自体は変わりませんので、大きな家具であることは変わりません。
このような幅の広い食器棚は、部屋・台所を出る際や、階段の踊場で方向転換する際に、廊下の壁に当たることがあります。
食器棚は、製品の質・グレードにもよりますが、一般的には重い家具です。
壁に当たった場合、当然ながら、壁にキズがついたり、ヘコんだりするリスクがあります。
また、団地の外階段のような硬い壁にあたると、食器棚のほうにキズがついたり、ヘコミができることもあります。
上段の部分が天井に接触してキズ・ヘコミができる
食器棚は、ほとんどが上下に分解できます。
ですから、引越し先(新居・卸地)では、最終的に上下を重ねて組立てます。
食器棚は、かなり背の高い荷物です。特に天井が低い建物の場合、食器棚と天井の間に、ほとんどスペースがない場合があります。
天井までスペースが少ない場合、食器棚の下段に上段を重ねる際に、勢い余って上段が天井に接触してしまうこともります。
この接触によって、天井にキズができたり、ヘコミができたりしてしまいます。
場合によっては、壁紙が剥がれて、みっともない状態になることもあります。
しっかりと経験を重ねた引越し業者のスタッフであれば、食器棚の上段の上の部分に片手を当てて、天井には接触しないように配慮します。
ただ、経験が浅いスタッフに限って、両手で下の方を持ってしまい、天井にまで気が回らず、食器棚を天井に接触させてしまいます。
ガラス扉・戸が割れる
外開き式のガラス扉の場合、棚板の固定がよほどヘタでもない限り、棚板がガラス扉を突き破って割れる、ということはありません。
ありがちなのは、団地やアパートの外階段の踊り場で、方向転換の際にガラス扉・戸を内側や手すりにぶつけてしまい、ガラスが割れる、という事故です。
どこ家具もそうですが、階段の踊場で内側への接触を防ぐため、内側へは後面がくるように、つまり、前面を外側に向けて運びます。
ところが、経験の浅い引越し業者のスタッフは、階段の内側に食器棚の前面がくるように運んでしまうことがります。
その結果、ガラス扉・戸を当てて割ってしまうのです。
また、引き戸式のガラス戸の食器棚(特に経時劣化したもの)の場合は、ガラス戸を外さずに食器棚に固定した結果、運搬中に外れて割れてしまうこともあります。
棚板が紛失する
すでに述べたように、引越し業者のスタッフが棚板を食器棚に固定した場合は、棚板が紛失することがありません。
他方、お客さまが「誤って」ダンボールに棚板を梱包してしまった場合は、一時的にではありますが、棚板が「紛失」することがあります。
もちろん、棚板以外の一般の荷物のように、本当に紛失することもあります。
棚板が紛失すると、食器を食器棚に収納することができなくなりますから、いつまでも食器のダンボールを開梱できないことになります。
ビスが紛失する
棚板を載せるビスも、紛失するリスクはあります。
ビスは、小さいものですから、非常に紛失しやすいものです。
ですから、ビスは、ビニール袋か、数が少ない場合は、食器梱包用紙(クレープ紙・クレープペーパー)か養生テープのいずれかに包んで梱包します。
そのうえで、すぐ取出せるように、引出しに入れる、棚板に固定する、ガラスの部分に養生テープで貼付ける、などして、紛失しないようにします。
あるいは、こういう紛失しやすいものだけをまとめたダンボールに梱包します。
このように、引越し業者のスタッフは、わざわざ紛失しないように、配慮しながらビスを梱包します。
ところが、お客さまが「誤って」ビスを梱包してしまうと、どこにいったのかわからなくなることがあります。
それが一時的なものであればいいのですが、小さいものなので、本当に「紛失」してしまうことにもなります。
ビスがないと、棚板を載せることができませんので、食器を収納できなくなってしまいます。
古い食器棚の角の塗装が剥げる
古い食器棚は、角の塗装が剥げかかっていることがあります。
このような場合、梱包する際に角に負担がかかってしまって、塗装が剥げてしまうことがあります。
たいていの引越し業者は、塗装が剥げないように配慮して梱包をしてくれますが、念のため気をつけてください。
なお、古くない食器棚であっても、湿気や塗装のしかたによっては、意外に塗装が剥げてしまうことがあります。
特に食器棚は、ほとんどが湿気のこもりやすい台所に置くものです。
いくら除湿に気を使っても、どうしても湿気を吸ってしまって、塗装がはげやすくなります。
このため、比較的新しい食器棚であっても、角の塗装に注意してください。
まとめ
このように、食器棚は他の家具とくらべても、非常に取扱いが特殊なものです(慣れれば「難しい」ということはありませんが)。
管理人も、経験が浅い頃は、食器棚の扱いが甘く、よく先輩に怒鳴られたものです。
このような、特殊な処置が必要な食器棚です。
お客さまにおかれましては、どうか中身を取出して梱包したら、そのまま引越し業者のスタッフにおまかせください。
さて、ここまで書いておいてなんですが、引越し業者によっても、食器棚の取扱いはさまざまでしょう。
ですから、最終的には、念のため、見積もりの際に、食器棚の準備について、営業員に確認しておいてください。
ただ、おそらく大半の引越し業者の営業員は、この記事に書いているような対応で問題ない、と回答してくれるでしょう。
引越し業者によってちがいがあるのは、せいぜい、引出しの中身の調理器具・台所用品を取出して梱包するべきかどうか、くらいです。
会社によっては、中身を取出さなくても運んでくれる場合もあります。