「新築の分譲マンションを買ったのはいいけども、なんだか不動産屋さんに引越しのことをいろいろ仕切られて、納得がいかないんだけど…」と不満に思っていませんか?
こんにちは。新築分譲マンションの一斉入居は、正直、(勘弁してほしいなぁ…)と思いがちな、元引越し業者スタッフの管理人です。
新築分譲マンションは、他の引越しとはまったく別物の、非常に特殊な引越しです。
通常の引越しは、お客さまだけの都合・スケジュールで検討できますが、新築分譲マンションの場合はそうはいきません。
新築分譲マンションの引越しでは、他のお客さまと日程が重複します。このような引越しを「一斉入居」といいます。
このような事情があるため、新築分譲マンションでの引越しは他のお客さまとのスケジュール調整が必要となります。
このため、スケジュールについては、かなりの部分は引越し業者主導のプランとなります。
なお、引越し作業としては、搬入作業による事故は比較的起こりにくい建物です。
新築マンションでは引越しプランはほとんど選べない
新築マンションへの引越しは制約だらけの一斉入居
分譲の新築マンションへの荷物の搬入作業は、通常、「一斉入居」と呼ばれます。
これは、ある一定の期間に、大勢のマンションの入居者の引越しを、文字通り「一斉に」おこなうことを意味します。
この一斉入居では、他の多くの入居者とのスケジュール調整をしなければならず、引越しの作業にかなりの制約が課されます。
例えば、エレベーターの使用(基本的に1基につき1部屋しか使ってはいけない)、時間帯、搬入ルートなどが制約されます。
特に、高層階の場合のエレベーターの使用制限はかなり厳しく、極めて短時間のうちに搬入作業を終わらせなければなりません。
この厳しい制約のなかで引越しを終了させるために、引越しのプランは、あまり選べません。
参照:制約だらけで大変!新築分譲マンションへの引越しプラン・パック(一斉入居)
近距離の引越し出ない場合は宵積みになることも
特に問題なのが、搬入作業を短時間でおこなわなければならない、という点です。
こういう時間の制約があるため、かなり朝早くから当日の荷物を運び込まなければならない、ということがあります。
朝一番に荷物を搬入するということは、引越し元(旧居・積地)がよほど近くでない場合は、前日に荷物を運び出さなければなりません。
場合によっては、夕方から引越し元(旧居・積地)で荷物を運び出すことになります。いわゆる、「宵積み」です。
こうなると、引越しには2日かかりますし、一晩は不便な生活をすることになります。
ただ、宵積みは、比較的高品質なサービスが期待できる、というメリットもあります。
新築マンションへの引越しの前に壁・床のキズの有無をチェック
新築分譲マンションでもキズはある
分譲の新築マンションは、引渡しを受ける際に、壁・床のキズの有無をチェックしてください。
キズのチェックの結果、壁や床にキズがあった場合は、不動産業者と補修の交渉をしてください。
一般的に、建築業者の職人がどんなに慎重に内装工事をしたとしても、細かなキズはあるものです。
このようなキズが許容範囲であれば構いませんが、そうでない程度の大きなキズであれば、当然補修をしてもらうべきものです。
このようなキズは、法律用語では「瑕疵」といい、このようなキズを直すべき責任のことを瑕疵担保責任といいます。
売主である不動産業者には、この瑕疵担保責任を果たす=キズを直す責任があります。
引越しの事故に備えて「キズがない」状態の証拠=写真を撮っておく
マンションの壁や床にキズがなかった場合であっても、安心せずに、必ず写真を取っておいてください。
これは、引越しの作業で壁・床にキズがついた場合に、引越し業者と補償交渉をする際の証拠とするためです。
この際、必ずスマホやデジカメではなく、フィルム式のカメラで写真を撮ってください。使い捨てカメラやインスタントカメラで大丈夫です。
スマホやデジカメの写真は加工が容易なため、補償交渉の際の証拠としては使いづらいからです(何もないよりはマシですが)。
引越し業者との補償交渉は「証拠」が重要
引越し業者としては、新築のマンションのキズの修復はかなりの修理費がかかるため、そう簡単に修理には応じません。
この際、引越し業者を説得するためには、「キズがなかった」という証拠が重要となります。
引越し前にはキズがなかったマンションの壁や床にキズがついている、ということは、引越しの作業で壁や床にキズがついた、という推測が成り立ちます。
この推測を間接的に補強する証拠が、「キズがなかった」状態の写真です。
ですから、なるべく事前に壁・床のキズをチェックしたうえで、写真を撮っておいててください。
参照:家具・壁・床のキズが多い―引越しのトラブル・事故の傾向
参照:これで引越し業者との補償交渉もバッチリ!引越しの事故の対処7つポイント
新築マンションへの引越しでは搬入の際の壁・床の養生に注意
引越しの事故はシンプルな設計だけに一戸建てに比べると少ない
分譲の新築マンションへの荷物の搬入作業では、引越し業者には、壁・床の養生を徹底してもらってください。これらの箇所は、キズがつきやすい箇所です。
通常の分譲の新築マンションでは、室内の構造がシンプルになっています。
一戸建ての室内階段やアパート・団地・公営住宅などの室外階段のような、事故が起こりやすい場所はそれほど多くはありません。
ただ、デザイナーズマンションのような複雑な構造のものや、室内階段があるタイプのマンションの場合は、引越し業者に厳重な養生をしてもらうべきです。
ドアノブとの接触に注意
なお、新築マンションでの引越しでは、シンプルな構造だからこそ事故が起こる場合があります。
例えば、廊下が玄関までまっすぐであるため、勢いよく動き回って、荷物を壁にぶつけてしまう場合などがあります。
特に気をつけないといけないものは、ドアノブと家具の接触です。
廊下にはみ出る構造のドアノブになっている場合は、冷蔵庫、タンスなど、前が見えにくい大型の荷物との接触がないよう、注意してください。
もっとも、最近のドアの構造では、廊下にはみ出る構造になっていることは少ないですので、その場合は安心です。
和室の畳の汚れに注意
引越し業者のスタッフが靴下を履き替えないと畳が汚れることも
また、マンションに和室がある場合は、汚れた靴下による畳の汚れにも注意してください。
通常、大手の引越し業者は、引越し先(新居・卸地)の建物に入る前に新品の靴下に履き替えるサービスをおこなっています。
ただ、すべての引越し業者がそのようなサービスをしているとは限りません。
また、大手の引越し業者であっても、スタッフがうっかり新品の靴下を忘れてくることもあります。
新築マンション一斉入居の慌しさで履き替えを忘れることも
特に、分譲の新築マンションへの引越しは、通常は一斉入居でおこなわれます。
すでに述べたように、一斉入居は、引越し作業の時間が限られていて、引越し業者のスタッフもバタバタしています。
このため、引越し業者スタッフが、靴下を履き替えるのを忘れることもあります。
このため、汚れた靴下でそのまま作業をしてしまい、靴下の汚れが畳に移ることもあります。
特に雨の日の引越しの場合は、靴下が濡れてしまいます。
汚れたうえに濡れた状態の靴下で新品の畳を踏むと、まず間違いなく汚れがつきます。
参照:スムーズに業者と補償交渉できる!引越しの床・階段・畳のキズ・ヘコみ・汚れへの対策
引越し業者の養生資材の汚れに注意
引越し業者の養生資材が「新品=キレイ」とは限らない
また、養生用の資材(特に壁紙用)が新品であるかどうかを必ず確認してください。
一般的に、新築の建物への引越しの場合、大手の業者は、新品の使い捨て資材で養生をして、壁に汚れがつかないようにします。
しかし、引越し業者によっては、新築の建物への搬入にもかかわらず、中古の資材や使い回しの資材で養生することがあります。
この際、資材が汚れていた場合は、その汚れが壁紙に移ることがあります。
特に、繁忙期の場合は、新品の養生資材が足りなくなり、やむを得ず中古の養生資材を使う場合もあります。
ですから、繁忙期の場合は、特に注意が必要です。
引越し業者の営業員にはしつこく新品の養生資材を使うように求める
このため、見積もりの際に引越し業者の営業員に必ず養生に使う資材が新品かどうかを確認してください。
重要なことは、営業員に「この客はうるさい人だ」と認識させることです(ですからしつこく念を入れて確認するべきです)。
そういった細かい情報は、営業員が伝達事項として作業指示書等に記載しますので、スタッフにも伝わります。
結果として、当日の丁寧な作業と無事故の引越しにつながります。
参照:引越しでの壁のキズ・ヘコみ・汚れは写真撮影・その時その場の補償交渉が重要
新築マンションでは大型の家具が入らないことも
特殊な形の家具(本棚・ソファー・食卓・ダイニングテーブル)に注意
マンションは、一般的な家具であれば、搬入できるように廊下や玄関が設計されています。
また、家具のほうも、マンションの部屋に入るように設計されています。
このため、たいていの家具は、マンションには入るようになっているはずです。
しかしながら、デザイナーズマンションや廊下・玄関が狭いマンションでは、大型の家具が入らないこともあります。
特に問題となるのが、本棚、ソファー、食卓・ダイニングテーブルなどです。
これらは、幅が広すぎたり、背が高すぎたりして、玄関や部屋の入口を通らないことがあります。
このような場合、窓の鉄柵を外したり、ベランダを経由して入れたりします。
このため、非常に時間がかかります。また、最悪の場合、入らないこともあります。
窓吊りもなるべく避ける
また、こうした特殊な形の家具は、やむを得ず窓吊りによる搬入をすることもあります。
ただ、2階以上の部屋での、窓吊りによる荷物の搬入も、できれば避けるべきです。
一戸建ての場合と違って、マンションの場合は、たとえ部屋が2階であったとしても、高度があるため、窓吊りはより難しくなります。
3階以上の階層になると、さらに難易度が上がり、特殊な車両がないと窓吊りができなくなる可能性もあります。
こうなると、料金・費用は高くなりますし、事故のリスクも高くなります。
玄関から入らないような大きな家具や特殊な形をした家具は、この際、処分することも検討してください。
まとめ
新築分譲マンションの一斉入居は、極めて特殊な引越しです。
お客さまにとっても、いろいろと制約がある引越しですが、引越し業者にとっても、いろいろと面倒な制約があります。
1社の引越し業者だけで担当するのであれば、一斉入居もそれほど大変ではありません。
しかし、2社以上の引越し業者が担当する一斉入居となると、話は別です。
特に、1基のエレベーターを巡って、会社間のトラブルに発展するなど、お客さまの事情とは別の「場外乱闘」がよく起こります。
マンションで、しかも新築という、集合住宅独特の事情でもあります。
どうかお客さまには、温かい目で見守って欲しいものです。