「なんか引越しするたびに、引越し業者とトラブルになってる気がする…。なんとかならないのかなぁ?」とため息が出ていませんか?

こんにちは。なんとか無事故で引越しを済ませようとするものの、思うようにいかない、元引越し業者スタッフの管理人です。

引越し業者は、引越しを無事に終わらせるのが本来の役目のはずです。

しかし、現実には、引越しには(表に出るもの、「隠蔽」されるものを含めて)トラブル・事故はつきものです。

このため、お客さまとしては、事故を起こさない、良い引越し業者を選ぶことが重要です。

ただ、どれほど大手の引越し業者や、口コミで高評価の引越し業者であっても、結局は、引越し当日のチームによっては、事故が起こるものです。

ですから、どんなに評判がいい引越し業者を利用するとしても、どのようなトラブル・事故があるのかを把握しておいて、事前に備えることが重要となります。

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引越しのトラブル・事故は「約束不履行・傷・紛失・見積」(国民生活センター調べ)

謝罪する引越し業者スタッフ

引越し作業中のトラブルは傷・紛失が中心

少し古いデータですが、国民生活センターが発行した『引っ越しサービスをめぐるトラブルの実態と利用のポイント』によると、表1の「引っ越しサービスに関しての主な相談内容」では、次のような相談件数となっています。

  1. 約束不履行 2,453件
  2. 傷 1,874件
  3. 紛失 1,861件
  4. 見積り 1,394件

(注)平成 13~平成18 年度に寄せられた相談の総件数である 11,784 件の内訳(マルチカウント)。

これはあくまで国民生活センターに相談があった件数ですので、実際にはもっと多い件数の事故が発生していると考えるべきです。

実質的には「傷」「紛失」「見積り」の3つが引越しの主なトラブル

これらのトラブルのうち、1位の「約束不履行」というのはあまりに漠然としているため、どのようなトラブルなのかがハッキリしません。

ですが、2位以下の傷、紛失、見積りについては、典型的な引越しのトラブル・事故といえます。

このうち、傷と紛失については、実際の引越しの作業におけるトラブル・事故です。

この記事では、引越しの現場で起こる典型的なトラブルである、家具・壁・床等のキズの傾向と対策について解説します。

引越しではトラブル・事故は発生するものと考える

困った主婦

引越しでは事故は必ず起きる

実際のキズについての具体的な解説にうつる前に、どんなに大手の引越し業者でも、口コミが高評価の引越し業者でも、「事故は必ず起こる」ということをご理解ください。

すでに述べたように、引越しには、トラブル・事故が絶えません。むしろ無事に終わった場合は、運がいいともいえるくらいです。

これは、非常に狭い日本の住宅事情と、引越し業界の慢性的な人手不足という理由があります。

特に、後者の引越し業者の人手不足は、サービス業である引越し業者にとっては非常に重要なのですが、その実態は、惨憺たるありさまです。

引越しの実態は大半が未経験者の素人による作業

本来、事故を発生させないためには、質の高いサービスを提供する引越し業者を利用するべきではあります。

しかし、残念ながら、最も高品質なサービスを提供するはずの大手引越し専門業者でさえ、慢性的な人手不足に悩まされています。

引越し業者では、アルバイトが定着せずに、すぐに辞めてしまいます。

ですから、経験豊富なアルバイトがなかなか増えずに、いつも経験が浅いアルバイトや派遣社員を使わざるをえません。

ひどい場合(特に繁忙期の場合)は、チームの中で、チームリーダだけが経験者で、他の作業が全員派遣社員(しかも引越しの経験なし)ということもあるくらいです。

このため、そもそもトラブル・事故は発生するものと考えて、対策を取っておくべきです。

引越し作業のトラブル・事故は家財・壁・床のキズ・損壊が中心

傷

作業手順が明確な大手引越し専門業者では荷物の紛失は少ない(ただし管理人の経験則)

すでに取り上げた国民生活センターの統計でもあるとおり、引越し作業でのトラブル・事故は、「傷・紛失」が中心です。

管理人にとっては、傷と紛失が同程度の件数というのは非常に意外で、経験上、引越しのトラブル・事故は傷がほとんどです。

紛失がトラブルになったというのは、数えるほどしか経験がありません。

この点については、業者間でのバラつきが非常に大きいのではないかと推測されます。

おそらく、管理人が経験した大手引越し専門業者では、紛失がないように作業手順がしっかり決まっていたために、あまり荷物の紛失がなかったのでしょう。

事故防止・補償交渉は典型的なキズ・ヘコみの発生箇所・発生条件の把握から

引越し作業でのキズのトラブル・事故は、家具や大型家電製品のキズ、小型の荷物の損壊、壁・床・階段のキズ、家電製品の故障が中心です。

また、窓吊り作業をする場合は、屋根の損壊、外壁のキズなどもあります。

参照:細かいキズ・ヘコみに注意―引越し元(旧居・積地)での吊り下げ・窓吊り作業の注意点

参照:落下事故・ヘコみに注意―引越し先(新居・卸地)での吊り上げ・窓吊り作業の注意点

このほか、庭がある一戸建てなどでは、植木の枝が折れることなどがあります。

事故が起こりやすい箇所は決まっている

ただ、典型的なトラブル・事故のパターンは決まっています。

家具・大型家電製品(特に冷蔵庫)であれば、角や前面のキズ・ヘコみが多いです。

また、建物内部の壁・床・階段のキズは、曲がり角・部屋の出入り口・玄関の壁・床のキズ・ヘコみが多いです。

ですから、事故があったかどうかを確認する際は、これらの箇所を重点的にチェックしていきます。

これらの典型的なトラブル・事故を把握しておくことで、引越し業者の事故を未然に防ぐことができます。

家具・家電製品・建物のすべてが「中古」のため揉めることが多い

インスタント写真

事故があった場合の補償交渉は「証拠」がすべて

万が一、事故があったとしても、事前に証拠を押さえることで、補償交渉をスムーズに進めることができます。

具体的には、引越し前に、家具・大型家電製品の前面・角、建物内部の曲がり角の壁・床を確認して、写真を撮影します。

そのうえで、引越し後に、これらにキズやヘコみがあるかどうかを確認するだけでも、事故防止やスムーズな補償交渉ができます。

この際、スマホやデジカメでの写真撮影でもないよりはいいのですが、できれば、フィルム式のカメラ(インスタントカメラ、使い捨てカメラ、チェキ)がオススメです。

というのも、スマホやデジカメの写真は、修正(悪くいえば「捏造」)ができるため、引越し業者としても、そう簡単には補償交渉には応じてくれません。

修正や捏造が極めて難しいフィルム式の写真だからこそ、意味があります。

キズやヘコみは本当に「引越し業者のせい」なのかわからない

今どきフィルム式のカメラで写真を撮ってまで、わざわざ対策をするのには、それなりに理由があります。

新品の家具や新築の建物を除いて、建物や荷物は、すべてが中古です。

ですから、実際に建物や荷物にキズや汚れがついても、以下のいずれのキズや汚れなのか、判別が難しいのです。

  1. もともとあったキズや汚れ
  2. 引越し業者の作業によるキズや汚れ
  3. 引越し作業の後の生活でついたキズや汚れ

引越し業者としては、2.のケースしか補償に応じる義務はありません。もちろん、引越し業者としては、1.か3.じゃないのか?と疑います。

だからこそ、お客さまと引越し業者とが揉めること多いといえます。

参照:これで安心!引越しのトラブル・事故・補償交渉の4つポイント

引越し業者のスタッフも事故に気づかない

引越し業者のスタッフも、作業中は作業に集中しているため、実際に事故が発生したとしても、気づかないことが多いです。

特に、床のキズについては、冷蔵庫を落としたような場合を除いて、まず気がつきません。

このため、お客さまに目撃されて指摘された場合、いわば「現行犯」でもない限り、「事故の発生」という事実の確認ですら、スムーズに進みません。

また、明らかに事故が発生したとスタッフが気づいた場合であっても、悪質な引越し業者のスタッフは、残念ながら、事故を「隠蔽」します。

このような事情から、フィルム式のカメラによる撮影など、事前の対策と事後の確認が非常に重要となります。

引越し業者のスタッフの能力がトラブル・事故の発生のすべて

安心する主婦

無事故で引越しするなら閑散期を狙う

結局、作業が無事終わるかどうかは、引越し業者のスタッフの能力にすべてがかかっています。

ですから、無事故で引越しをするには、優秀なスタッフが数多く来てくれる時期・時間帯・利用プランを狙って、引越し業者を利用することがポイントです。

ちなみに、スタッフの平均レベルが高い引越し業者のチームは、閑散期にしかやってきません。

具体的には、1月~2月前半または6月の平日が狙い目です。

参照:本当に引越しが安くなる4つ(+1)の閑散期はいつなのか?

ある意味では、この時期の引越しくらいしか、安心して荷物を預けれません。

繁忙期は「経験者1人その他未経験者」が当たり前

なお、繁忙期には、すでに述べたような、チーム内の経験者がチームリーダーだけ、という状況がかなり多くなります。

このため、事故を避けるという意味では、なるべく繁忙期を避けることが重要です。

どうしても避けることができないようであれば、夜遅い作業になりますが、午後便・フリー便・宵積みのプラン・パックなどを狙ってみてください。

この時間帯は、有能なスタッフが応援にくる可能性が高いです。

参照:「朝に引越し作業を始めない」から高品質―午後便・フリー便・宵積み

参照:応援スタッフが実は高品質・効率がいい引越しの狙い目

余談ですが、午後便やフリー便は、朝便に比べると、料金が多少安くなりますので、その意味でもオススメです。

参照:少しでも引越し料金を抑えるなら午後便・フリー便・長距離混載便を使う

まとめ

引越し業者のスタッフは、全員が全員、何も好き好んで事故を起こしているわけではありません。

ただ、引越しの作業を安全にするには、体力・経験の両方が必要なのですが、その両方を満たすスタッフは、本当に少ないのが引越し業界の実態です。

元々引越し業界に関わっていた管理人としては、非常に心苦しいのですが、やはり「引越しでは事故は起こるもの」と想定して対処するべきと思います。

今どきフィルム式のカメラ(とはいえ最近流行っているようですが…)というのも、面倒だとは思います。

それでも、証拠写真があるとないのとでは、補償交渉の進み方が、まるで違ってきます。

特に新築の建物の場合や、婚礼家具・桐ダンスなどの高級家具は、しっかりと撮影しておきましょう。