「引越し業者から、ガムテープとは別の半透明のテープを渡されたんだけど。あれって何?」と、疑問に思ったこと、ありませんか。
こんにちは。養生テープを自在に扱えるにようになって、ようやく引越しスタッフ半人前と思っている、元引越し業者スタッフの管理人です。
引越し業者が使っている、半透明のポリエチレン製のテープは、「養生テープ」といいます。その名前のとおり、主に養生作業に使われます。
養生テープは、通常のガムテープとは違い、粘着力が弱い、という特徴があります。
一般的には、半透明の青や緑の色がついていますが、色のついていないものもあります。
粘着力が弱いことから、剥がしやすく、また、すぐに剥がせば接着剤・粘着剤・ノリも残りにくい特徴もあります。
このため、主に壁・手すり・エレベーターの養生や、家電製品や家具のガラスを固定する場合に使います。
養生テープは、ほとんどの場合、引越し業者のスタッフが使います。お客さまご自身が使う機会があるとすれば、家電製品の梱包くらいです。
養生テープは家電製品・ガラス・養生に使うテープ
あくまで剥がすことを前提=仮止めに養生テープは使う
養生テープは、ガムテープに比べて手で切れやすく、また、粘着力も弱めで、剥がしやすいテープです。
このため、その名の通り、一般的には、壁・手すり・エレベーターなどの建物の養生に使います。
また、家電製品の動く部分やガラスを固定する場合や、コード類を束ねる場合にも使います。
このように、養生テープは剥がすことを前提=仮止めに使うものです。
ずっと貼っておくために使うものではありません。
養生テープを剥がさずにずっと貼っておくと、ノリが残ってしまうことがあります。
「プチプチ」でワレモノを梱包する場合は養生テープのほうがいい
大型のワレモノやダンボールに入る家電製品をプチプチで梱包するときに使う
この他、「仮止め」に使うものとして、いわゆるプチプチ(エアーキャップ・気泡緩衝材)で荷物を梱包する場合にも使うことがあります。
例えば、土鍋・ホーロー鍋・大皿・丼・大鉢など、大型のワレモノなどをプチプチで梱包する際に使います。
また、ダンボールに入る小型の家電製品などをプチプチで梱包する際に使ってもいいでしょう。
こういう荷物は、ダンボールに入れますし、すぐに開梱するので、プチプチは養生テープの仮止めでも問題ありません。
なお、大型のワレモノの梱包のしかたにつきましては、以下のページをご覧ください。
ガムテープでプチプチを固定するとワレモノを落として割れることも
また、養生テープでプチプチを固定していると、すぐに剥がれて取り出しやすい、というメリットがあります。
特にワレモノの荷物を開梱する際には、落として割らないように注意しなければなりません。
剥がれやすい養生テープでプチプチを仮止めすると、開梱する際に、うっかりワレモノの荷物を落として、割ってしまうリスクが低くなります。
逆に、プチプチをガムテープで固定すると、うまく剥がれなくて、誤ってワレモノを割ってしまう可能性もあります。
なお、プチプチの使い方につきましては、以下のページをご覧ください。
布団袋をリユースするのであれば養生テープを使う
同じように、剥がしやすいので、布団袋を止める際にも、ガムテープではなく養生テープを使うことがあります。
特に、ポリエチレン製の布団袋などをリユースする場合は、剥がしやすい養生テープで梱包しなければいけません。
ポリエチレン製の布団袋にガムテープを使うと、剥がれなくなったり、跡が残ったりします。
なお、紙製の布団袋の場合は、通常はリユースしませんし、あまりにも粘着力が弱いため、養生テープは使いません。
この他、布団袋での布団の梱包のしかたにつきましては、以下のページをご覧ください。
ダンボールに養生テープは貼ってはいけない
養生テープは、ガムテープとは違って、使い方が特殊なため、引越し業者によっては、お客さまに提供していないこともあります。
特に、養生テープは粘着力が弱いため、ダンボールの底の貼りあわせのために使われると、たとえ厳重に貼ったとしても底抜けの原因となります。
このため、もし引越し業者から養生テープを提供されたとしても、ダンボール(特に中古のダンボール)の底にだけは使わないでください。
もっとも、ダンボールの上の部分を閉じるために使うのは構いません。
ただ、養生テープは粘着力が弱いため、中古のダンボールなどに使った場合(特に梅雨など湿度が高い時期)は、剥がれてしまう場合があります。
なお、ガムテープでのダンボールの梱包のしかたにつきましては、以下のページをご覧ください。
「グルグル巻き」にすると粘着力は出る
余談ですが、引越し業者のスタッフは、滅多に荷物の梱包には養生テープを使いません。
せいぜい、家電製品をプチプチで梱包した際に、グルグル巻にするように使うくらいです。
こうすると、粘着力が弱い養生テープであっても、ガッチリ固定できます(ただし、梅雨の時期はこれでも剥がれやすいです)。
ちなみに、ガムテープをグルグル巻きにすると2周目以降が剥げるため、こういった使い方はできません。
- 養生テープはあくまで「仮止め」。ずっと貼っておくとノリの跡が残る。
- 大型のワレモノをプチプチで梱包するときに養生テープを使う。
- 大型のワレモノをプチプチで梱包する時にガムテープを使うと、誤って落として割ってしまうこともある。
- 布団袋をリユースするのであれば養生テープで留める。
- 紙の布団袋には養生テープは使わない。
- ダンボールの底には養生テープを貼らない。
- 養生テープにプチプチに貼るときはぐるぐる巻きにすると粘着力が出る。
収納ケース・押入れダンスの引越しでの養生テープの使い方
引越し業者のスタッフが運ぶ場合は養生テープを使う必要はない
お客さまの中には、こういう方もいらっしゃいます。
- プラスチック製の収納ケースのフタが取れないようにするため、養生テープを使おうと思っている。
- プラスチック製の収納ケースや押入れダンスなどの引き出しが外に飛び出ないように、養生テープを貼ろうと思っている。
実はこれ、引越し業者のスタッフが運ぶのであれば、特に収納ケースや押入ダンスに養生テープを貼る必要はありません。
わざわざ養生テープで収納ケースや押入ダンスを固定しなくても、蓋が取れないよう、また、引き出しが出ないよう、引越し業者のスタッフは、上手に運んでくれます(そのように指導されます)。
「貼ってはいけない」わけではない
「そんなこと言っても不安だし、やっぱり貼っておきたいけど、ダメ?」
いえ、収納ケースや押入ダンスに養生テープを貼ってはいけない、というわけではありません。
引越し業者のスタッフには、経験が浅い(または無い)アルバイトや派遣社員が混じっている場合もあります。特に、繁忙期では、そういう傾向が強くなります。
管理人としては、繁忙期の引越しでは、念のため、収納ケースや押入ダンスの引き出しに、養生テープを貼っておくことをオススメします。
昔ながらの金属製収納ケースには養生テープを使ってはいけない
金属製収納ケースに養生テープを貼ると塗装が剥げる
ただし、収納ケースが金属製の場合には、養生テープを貼ってはいけません。
最近は滅多に見かけなくなりましたが、収納ケースの中には金属製のものもあります。
この金属製の収納ケースに養生テープを貼ってしまうと、表面の塗装がはげることがあります。
比較的新しい金属製の収納ケースの場合は塗装がしっかりしているので、表面の塗装が剥げることは滅多にありません。
金属製収納ケースはほとんどが経年劣化している
ただ、ほとんどの金属製収納ケースは、かなり昔に生産されたもののはずです。このため、塗装が劣化しているものがほとんどです。
表面がボロボロになっている金属製収納ケースであればすぐに気が付きます。ただ、意外にしっかりしているように見えて、中が剥がれかかっている場合もあります。
このような塗装の状態で養生テープを金属製収納ケースに貼ってしまうと、剥がす際に塗装まで剥げてしまうことがほとんどです。
すでに述べたように、引越し業者のスタッフは、収納ケースをそのまま運ぶことができますので、無理に養生テープを貼る必要はありません。
なお、収納ケースにつきましては、以下のページをご覧ください。
養生テープを使う場合は思い切ってたくさん使う
収納ケースや押入ダンスを固定するコツは、とにかく目一杯、たくさん使うことです。
養生テープは粘着力が弱いため、少し貼っただけでは、すぐに剥がれてしまいます。
特に、収納ケースや押入ダンスに中身が入っている場合、ちょっと養生テープを貼ったくらいだと、スグに引出しが空いてしまいます。
これでは、せっかく養生テープで固定した意味がありませんので、しっかり固定するためにも、養生テープはたくさん使ってください。
- 収納ケースや押入ダンスには養生テープを貼らなくてもいい。
- 引越し業者のスタッフは、養生テープで固定されていなくても収納ケースや押入ダンスを上手に運ぶ。
- 繁忙期の引越しでは経験が浅いスタッフがいるため、念のために養生テープを貼っておいてもいい。
- 金属製収納ケースに養生テープを貼ると塗装が剥げる。
- 養生テープを収納ケースや押入ダンスに貼る場合は、粘着力を強くするためにたくさん使う。
引越しでテレビ台・テレビボード・食器棚等のガラス扉がある家具には養生テープを貼ってはいけない
テレビ台・テレビボード・食器棚に養生テープを使ってはいけない
たまに、お客さまがテレビ台・テレビボード、食器棚、本棚のガラスが動かないように、養生テープを貼って固定していることがあります。
引越し業者のスタッフとしては、お気持ちは嬉しいものですが、実は、こうしたガラス扉の固定は二度手間になります。
ですから、こうした家具に養生テープを貼って固定することは、やってはいけないことなのです。
こうしたガラス付きの家具は、中身を取出して梱包したら、あとはそのままにしておいてください。
ガラス扉がある家具は運ぶ前に棚板を固定する
というのも、ほとんどのテレビ台・テレビボード、食器棚、本棚は、中に棚板がついています。
この棚板は、よく固定しておかないと、運んでいる最中にガラス扉を突き破って飛び出してきます。このため、中の棚板を固定する作業をしなければなりません。
つまり、せっかくお客さまが養生テープでテレビ台・テレビボードや食器棚のガラス扉を固定されていても、結局、中の棚板を固定するために、養生テープを剥がすことになります。
ですから、こうしたガラス扉つきの家具には、特に養生テープを貼っていただく必要はありません。
なお、このような家具の準備につきましては、以下のページをご覧ください。
テレビ台・テレビボード・食器棚・本棚・電子レンジなどのガラス製の扉がある家具・家電製品は、引越し当日に引越し業者のスタッフの作業があるため、そのままにしておく。
引越しが終わった後はすぐに養生テープをはがす
養生テープの糊は時間が経つと頑固な汚れになる
どのような使い方をするにせよ、養生テープは、荷物の搬入後、すぐに剥がしてください。
というのも、長期間養生テープを貼ったままにすると、糊が固着化してくっついてしまうことがあります。
養生テープの糊は、時間が経つと、かなり取れにくくなります。
ですから、特に必要がない限りは、引越しが終わったら、すぐに養生テープははがすべきです。
特に木製の家具に養生テープを貼ってはいけない
木製の家具から養生テープを剥がすと塗装ごと剥がれる
長時間、プラスチックやガラスに養生テープを貼った場合は、剥がした後に若干の糊が残る程度で済みます。
これは、中性洗剤を使って拭くと、キレイに落ちます。ただ、そこそこ頑固なので、完全に落とすのは大変です。
ところが、うっかり塗装がされた木製の家具に、長時間養生テープを貼ったまま放置してしまうと、塗装と一体化してしまいます。
こうなると、うかつに養生テープを剥がすと、塗装がごと剥げてしまうことがあります。
うっかり木製の家具に養生テープを貼った場合はドライヤーで糊を溶かす
こうならないためにも、木製の家具に養生テープを貼った場合は、特に早めに剥がすべきです。
うっかり養生テープを貼ったまま、木製の家具を長時間放置してしまった場合は、養生テープにしばらくドライヤーの温風を当ててください。
こうすることにより、養生テープの糊が溶けて、剥がれやすくなります。
ドライヤーの温風を当ててから剥がすと、なにもしないまま剥がすよりは、塗料が剥げずに済みます。
剥がし忘れがあるからこそ収納ケースには使ってはいけない
特に、収納ケースに養生テープを貼った場合は、注意してください。
うっかり養生テープを剥がさずに押入れの奥などにしまい込んでしまうと、衣替えの時期まで気づかないことがあります。
このようなこともありますので、収納ケースには養生テープを貼らずに、そもままにしておいてください。
すでに述べたとおり、特に養生テープを貼らなくても、引越し業者のスタッフは、ちゃんと収納ケースを運んでくれます。
- 養生テープ貼ったまま放置しておくと頑固な汚れになる。
- 木製の家具に養生テープを貼ると塗装ごと剥がれる。
- うっかり木製の家具に養生テープを貼った場合はドライヤーの温風で糊を溶かしてから剥がす。
- 収納ケースに養生テープを貼ると次の衣替えの時期まで気づかないこともある。
【Q&A式】まとめ
いかがでしたか?最後にもう一度、養生テープの使い方について、確認しておきましょう。
養生テープはどうやって使うの? | 養生テープは、プチプチを使ってワレモノや小型の家電製品を梱包するときに使います。また、ポリエチレン製の布団袋をリユースする場合に使います。 |
---|---|
収納ケースや押入ダンスのフタや引出しに貼ってもいいの? | 収納ケースや押入ダンスに養生テープ(ガムテープはダメです)を貼ってもかまいません。ただし、金属製収納ケースの場合は、粘着力が低い養生テープでも、塗装が剥げてしまうことがあるため、貼ってはいけません。 もっもと、引越し業者のスタッフは、特に収納ケースや押入ダンスが養生テープで固定されていなくても、そのまま運んでくれます。 |
テレビボード・テレビ台・食器棚・本棚にガラス扉がある場合は、養生テープで固定したほうがいいの? | ガラス扉がある家具は、当日、引越し業者のスタッフが棚板の固定などの作業をしますので、そのままにしておいてください。 |
引越ししたあとで、養生テープを貼った家具や荷物はどうしたらいいの? | すぐに養生テープを剥がしてください。そのままにしておくと、剥がしたときに糊が残ったり、剥がれなくなってしまうことがあります。 |
以上のように、使い方さえわかっていれば、養生テープはいろんな作業に使うことができるため、非常に便利な資材です。
ただ、養生テープは、使い方が難しいのもまた事実です。特に、間違った使い方をした場合は、取り返しがつかない事故につながる可能性もあります。
ですから、お客さまが養生テープを使う機会は、実はほとんどありません。
実際、管理人がお客さまに資材を配達していた際も、ほとんどのお客さまには、養生テープを配達していませんでした。
プロの引越し業者のスタッフとしては、養生テープの使い方が理解できるようになって、ようやく「半人前」くらいのレベルです。
それだけ、使い方には注意が必要な資材でもあります。
ですから、安易に使わずに、「迷った場合は使わない」くらいの気持ちで使ってください。