「ダンボールの底って、縦に1本ガムテープを貼るだけでいいんだよね?なんか、重い荷物を詰めたら底が抜けそうなんだけど…」と、不安に思ったこと、ありませんか?
こんにちは。引越し業者のスタッフとして、最初のびっくりしたことのひとつが、ダンボールの底のガムテームの貼り方だったという、元引越し業者スタッフの管理人です。
実は、管理人も、引越し業者のスタッフとして働く前は、ダンボールの底は、縦に1本貼るだけでいいと思っていました。
ところが、そうではありません。
引越しでは、ダンボールの底のガムテープは、すべて「十字貼り」です。これは、引越し業者にとっては常識中の常識です。
このため、引越し業者のスタッフは、ダンボールの底にガムテームを貼る場合は、必ずといっていいほど、十字貼りにしています。
ただ、お客さまの中には、このような事情をご存じない方もいらっしゃいます引越し業者のスッタフになる前の管理人もそうでした。
特に、一部の引越し業者の営業員の中には、このような基本的なことすらお客さまにお伝えしていないこともあります。
このため、ダンボールの底抜け防止のためにも、「ダンボールの底は十字貼り」を忘れないでください。
引越しではダンボールの底は必ずガムテープで「十字貼り」
ダンボーの底は「十字貼り」だけでいい
引越しの荷造りでダンボールに荷物を梱包するときは、以下のポイントをしっかり押さえてください。
- 必ずガムテープを使い、養生テープを使わない。
- ダンボールの底にガムテープを貼る場合は必ず「十字貼り」にして、貼り方(1本だけ、「H貼り」など)はしない。
- 十字貼りでも底抜けしそうなほど、荷物を詰込まない。
特に、ガムテープを底に貼るときは、必ず「十字貼り」にしてください。
重すぎるダンボールの底は中心部から抜ける
ダンボールの底を十字貼りにするのは、ダンボールの底が破れて、荷物が落ちないようにするためです。
実は、ダンボールの底は、中心部に最も圧力がかかります。ダンボールの底が抜けるのは、中心部のガムテームの部分が破れまするからです。
つまり、中心部が抜けないようにするためには、ダンボールの底の中心部が破れないように、ガムテープで補強する必要があります。
ガムテープを十字貼りにするには、この「ダンボールの底の中心部を補強する」ためです。
ガムテープはダンボールの底だけではく側面まで貼る
なお、ガムテープは、底にちょっと貼るだけでなく、ダンボールの側面に出るまで、めいっぱい貼ってください。
具体的には、側面の高さの10%くらいでまでガムテープを貼ってください。
これで、ほとんどの一般家庭の荷物の梱包は大丈夫です。
なお、一部の大手引越し業者では、わざわざダンボールの底に、十字貼りになるように、ガムテープを貼る位置を印刷しています。
養生テープをダンボールの底には貼ってはいけない
ダンボールの底に貼っていいのは、ガムテープか、ガムテープ以上の粘着力がある布テープだけです。ダンボールには絶対に養生テープを貼ってはいけません。
養生テープは粘着力が低く、たとえ十字貼りは、後述するような強力な補強方法で貼ったとしても、底が抜ける可能性があります。
特に、中古のダンボールは、ダンボールの側の吸着力が下がっているので、より底が抜ける可能性が高くなります。
また、梅雨の時期などの湿度が高い日の引越しでは、湿気によって養生テープの粘着力が落ちますので、さらに底が抜けやすくなります。
養生テープは、ダンボールに貼るのではなく、他の方法で使ってください。
- 引越しのダンボールの底はガムテープで十字貼り。
- ダンボールの底は中心部から破れる。この中心部を補強するのが十字貼り。
- ガムテープは底だけではなく側面10%くらいの高さまで貼る。
- ダンボールの底に養生テープは貼ってはいけない。
効率よく荷物を梱包するにはダンボールの底は【すべて】十字貼りにする
「中身の軽いダンボールは縦貼り」はオススメできない
このように、「ダンボールの十字貼り」が底抜けの防止が目的です。
理屈のうえでは、中身が軽い荷物の場合は、十字貼りでなく縦貼りでもかまいません。
確かに、軽い荷物にも十字貼りにすると、ガムテープの無駄にもなります。
ですから、本来であれば、荷物の中身やダンボールの大きさに応じて、底のガムテープを十字貼りにするか、縦貼りにするか、使い分けるべきです。
しかし、この「使い分け」は、オススメできません。
ダンボールが底抜けするかは梱包してみないとわからない
というのも、ダンボールが底抜けするほど重くなるかどうかは、最後まで荷物を詰め込んでみないとわかりません。
荷物を梱包したところ、意外と重くなってしまった場合、後から対処するのは大変です。
「ひっくり返して貼り直せばいいんじゃない?」と思いがちですが、そう簡単ではありません。
重いダンボールは、ひっくり返すだけでも大変です。
中身が重いということは、ひっくり返すと、中の荷物が破損する可能性があります。
効率よい荷造りのためにダンボールは「すべて」十字貼りに
また、いちいちガムテープの貼り方を考えていると、作業効率が落ちます。
このため、引越し業者のスタッフは、原則として、すべてのダンボールを十字貼りにしています。
例外として、ガムテープを縦貼りにするのは、明らかに軽いものだけ(例:衣服など)を梱包することがわかっている場合だけです。
このように、不要な判断・意思決定を減らすことも、引越しを早くするポイントです。
- 効率よく荷物を梱包するために、ダンボールの底はすべて「十字貼り」にする。
- ダンボールが底抜けするかどうかは、荷物を梱包してみないとわからない。
- 後から「十字貼り」にするの難しい。
十字貼り以外の引越しのダンボールの補強方法3選
その1:あまり効果はない?「キの字貼り」
十字貼りだとちょっと底抜けが不安な場合に使う補強方法が、カタカナの「キ」のような貼り方です。
縦の線が貼り合わせの部分だとすると、横の部分のガムテープが、十字よりも1本多いパターンです。
重い家電製品やお米などを中型以上のダンボールに梱包する際に使うことがありあす。
ただ、底の中心部分を外した貼り方なので、管理人の感覚では、十字貼りと強度はあまり変わらない気がします。
もっとも、管理人の経験では、「キの字貼り」でダンボールが底抜けしたことはありません。
その2:十字貼りよりもさらにダンボールを補強できる「丰の字貼り」
十字貼りでは底抜けの可能性が高いと思われる場合に使う補強方法が、漢字の「丰」のような貼り方です。
縦の線が貼り合わせの部分だとすると、横の部分のガムテープが、十字よりも2本多いパターンです。
「キの字貼り」とは違って、中心部にもガムテープを貼っていますので、純粋に十字貼りの上位互換の補強方法です。
ガムテープを使う量の割には手軽に強度が増しますので、丰の字貼りは、お勧めの補強方法です。
丰の字貼りは、主に、次のような場合に便利なダンボールの補強方法です。
- 重い家電製品を中型以上のダンボールに梱包する場合
- 比較的軽めの鉄アレイ、レンガ、ブロックを梱包する場合
- 土鍋やホーロー鍋などの重い調理器具を梱包する場合
- 吸着力が落ちている中古のダンボールで重い荷物を梱包する場合
その3:最強のダンボールの補強方法「米(*)の字貼り」
絶対に底抜けさせてはならないような高価で重い荷物をダンボールに梱包する場合、米(*)の字のような貼り方をします。
これは、ダンボールが底抜けする際に破れる中心部分を徹底的・集中的に補強する方法です。
重いパソコンなどを梱包する場合に使う方法です。
欠点としては、ガムテープを大量に使うことになります。
それだけガムテープを使ってもいいと思われるような荷物の梱包の際にはお勧めの補強方法です。
補足:ダンボールは底以外に補強はできない
残念ながら、ダンボールは、底に貼るガムテープの量を増やす以外に、補強方法はありません(プロの技としてはまったく無いわけではありませんが)。
例えば、ダンボールが潰れないように、発泡スチロールで固定したり、紙製のバーを四隅に入れる方法があります。
重い家電製品の購入時に梱包されているような状態です。
ただ、これは引越しの現場では現実的な方法ではありません。
そもそも、「補強しないと使えない」ようなダンボールは、引越しでは使うべきではありません。
そのようなダンボールを使うくらいであれば、素直に補強が必要ない引越し業者のダンボールを使うべきです。
- あまり効果はない?「キの字貼り」
- 十字貼りよりもさらにダンボールを補強できる「丰の字貼り」
- 最強のダンボールの補強方法「米(*)の字貼り」
引越しではダンボールの「H貼り」はやってはいけない
ダンボールの角にガムテープを貼っても意味がない
ダンボールの角の隙間をふさぐ形、つまり「H貼り」でガムテープを貼る(いわゆる「目貼り」)お客さまが結構いらっしゃいます。
なんとなくお気持ちはわかりますが、実は、ガムテープをH貼りにしたダンボールは、縦貼りだけのダンボールとほとんど強度は一緒です。
つまり、ダンボールの角にガムテープを貼るのは、ほとんど意味がありません。
ダンボールは、構造上、中央の部分には圧力がかかりますが、角の箇所にはあまり圧力はかかりません。
もともと圧力がかからない箇所をガムテープで補強したところで、ダンボールの底抜けは防げません。
このため、ガムテープのH貼りは、特に必要ありません。とにかく、ダンボールの底はガムテープ「十字貼り」です。
「H貼り」にはメリットがない
十字貼りを忘れてH貼りにしてしまうと、中身が食器、本、CD・DVD・ビデオテープなどの場合は、底が抜ける可能性もあります。
また、H貼りは、意外に時間がかかり、作業効率がとても悪く、ダンボールに荷物を詰込む作業が、十字貼りに比べて遅くなってしまいます。
これでは、時間の無駄にもなります。
さらに、ガムテープを無駄に消費してしまいます。
このように、H貼りにはいいことがひとつもありません。ダンボールの底は、十字貼りで十分です。
引越しではダンボールが底が抜けする重さにはしない
十字貼りのダンボールが底抜けするような荷物は事故の元
普通のご家庭の引越しの荷物なら、底をガムテープで十字貼りにすれば、ダンボールが底抜けすることはありません。
逆にいえば、どの大きさのダンボールも、ガムテープを十字貼りにしても底が抜けるほど、荷物を詰め込むべきではありません。
例えば、本・CD・DVDなど重い荷物の梱包で、ダンボールの底が抜けそうな重さになった場合です。
この場合、こうした重い荷物をある程度軽めに入れてから、上の部分には布製品などの軽い荷物を詰めてください。
また、食器の場合も同じように、布巾やザル・ボウルなどを詰めるようにしてください。
極端に重い荷物は引越し業者のスタッフに任せる
なお、どうしても重たい荷物を梱包しないといけない場合は、引越し業者のスタッフにまかせてください。
例えば、レンガ・コンクリートブロック、漬物石、鉄アレイ、バーベルなどです。
こうしたとても重い荷物は、さすがに底をガムテープで十字貼りにしても、ダンボールが底抜けする可能性が高いです。
このような場合であっても、引越し業者のスタッフもプロですから、ダンボールをカッターで加工して重い荷物を梱包してくれます。
十字貼りを忘れたら引越し業者のチームリーダーに伝える
引越し業者のスタッフは持った感じでダンボールの底抜けはわかる
ガムテープの十字貼りを忘れてしまったら、必ず作業開始前に引越し業者のチームリーダーにその旨を伝えてください。
十字貼りをしていない場合、経験豊富なチームリーダーは、ダンボールを持った瞬間に、なんとなく底が抜けそうな重さかどうかがわかります。
ですから、事前にその旨を伝えられている場合は、その場で応急処置をしてくれます。
もっとも、本当に経験豊富なチームリーダーであれば、お客さまから伝えられていなくても、対応できます。
ですから、あくまで念のための処置ですが。
自分で対応する場合はひっくり返さずに別のダンボールに入れ替える
なお、お客さまご自身で対応される場合は、くれぐれもダンボールをひっくり返さないようにしてください。
中身の荷物や梱包のしかたにもよりますが、引越しの荷物の梱包がされているダンボールは、ひっくり返すと、中身の荷物が破損する可能性があります。
しかもこのような破損は、補償の対象外です。
このため、一度ダンボールを空にして底を十字貼りにしなおすか、他の十字貼りをしたダンボールに差し替える対応をしてください。
【Q&A式】まとめ
いかがでしたか?最後にもう一度、ダンボールの底のガムテープの貼り方について、確認しておきましょう。
引越しときのダンボールの底にはどうやってガムテープを貼るの? | ダンボールは、必ずガムテープを「十字貼り」にしてください。その他の方法では貼らなくても大丈夫です。 |
---|---|
ダンボールの底には養生テープを使っちゃダメ? | ダンボールの底にはガムテープだけを貼ってください。粘着力が低い養生テープを使うと、底抜けするリスクがあります。 |
ダンボールの底の角にガムテープを貼る「H貼り」でも大丈夫? | 「H貼り」でダンボールの角にガムテープを貼っても、意味がありません。強度は縦だけに貼った状態とほとんど一緒ですから、「十字貼り」にしてください。 |
実際に梱包してみると、なんだか「十字貼り」でも底が抜けそうなんだけど、大丈夫なの? | 一般家庭の引越しでは、ダンボールの底をガムテープで十字貼りしても底抜けしするほど、荷物を詰め込んではいけません。そういう梱包のしかただと、底抜けするリスクもありますが、持った際に、お客さまご自身が腰を痛める可能性があります。 |
いろいろとダンボールの底の貼り方、補強方法を解説しましたが、結局のところ、ポイントは次の3つです。
- ダンボールの底は「十字貼り」にする
- 使うのはガムテープ(≠養生テープ)を使う
- 本、食器などの重い物は小型のダンボールに梱包する
この3つさえ覚えておけば、通常の引越しでは荷物が底抜けすることはありません。
一般的な引越し業者が提供している小型のダンボールであれば、底が十字貼りになっている限り、底抜けすることは滅多にありません。
それがたとえ、本を目一杯詰込まれていたとしてもです。
十字貼り以外でダンボールを補強しないといけない荷物については、お客さまが梱包すると、底抜けする可能性が高くなります。
こういったあまりにも重い荷物は、素直に引越し業者のスタッフに任せたほうがいいでしょう。
ちなみに、お客さまが梱包したダンボールで事故があった場合、原則として、補償対象とはなりません。
この点につきましては、以下のページで詳しく解説しています。