「引越しといえば春。春といえば、やっぱり引越しの料金・費用が高いのが特徴でしょ?」と真っ先に値段・費用の高さを思い浮かべませんでしたか?
こんにちは。実は春の引越しの特徴(というより問題点)は、値段や費用の高さよりも、サービスの品質の低下ではないかと考えている、元引越し業者スタッフの管理人です。
春(2月下旬・3月・4月中旬)は、引越し業者が最も忙しい時期です。業界では、「ピーク」や「繁忙期」と呼ばれています。
この時期は、引越し業者にとっては、最も忙しい時期です。もちろん、料金・費用・値段も最も高い時期です。
同時に、サービスの品質もかなり低下しがちな時期でもあります。
利用者の立場としては、問題だらけであるため、なるべく避けるべき時期です。
ただ、多くのお客さまにとっては、この時期をずらすことができないという事情もありがちです。
このページでは、最も引越し業者が忙しい、2月後半・3月・4月に引越しを検討されているお客さまに向けて、この時期の引越しの特徴と対策について解説しています。
2月後半・3月・4月は料金が最も高く引越し業者のサービスの品質が最も低下する時期
2月後半・3月・4月は引越しの件数が最も多い繁忙期・ピーク
1年のうち、2月下旬~4月中旬は、卒業、入学、入社、転勤など、人の移動が集中する時期です。
当然、お客さまからの引越しのご依頼件数が最も多い時期です。
引越し業者にしてみれば、この時期の売上が1年の売上の大半を占める時期であり、いわゆる「かきいれ時」です。
このため、多くの引越し業者が、営業員をフル活用して依頼を受注しようとします。
2月後半・3月・4月の引越しは料金・費用・値段が安くならない
利用者にしてみれば、「引越し業者が受注にしのぎを削って競争しているのであれば、さぞ値引きをしてくれるのだろう」と期待したくなりますが、そうはいきません。
この時期は、あまりにも引越しの依頼が多すぎて、完全に売り手市場=引越し業者にとって有利な状態になっています。
このため、(サービスの品質が最も低いのに)料金が最も高い時期でもあります。
過剰な値引交渉をしようものなら、「ウチは別に他のお客さまからの依頼もありますから」と、(直接そのように言われなくても)あっさりと断れます。
2月の引越し業者の営業員は「ハズレ」がいる
ちなみに、意外な問題点として、2月上旬の引越し業者の営業員には、「ハズレ」がいる、という点があります。
2月上旬は、春の引越しを見越した見積もりの依頼件数が多くなります。
このような見積もり依頼が増えるのに対応するため、引越し業者では、営業員を増やします。
とはいっても、そうすぐには営業員が増えるわけがありません。
そこで、普段は現場で作業をしているチームリーダーやトラックのドライバーまで営業の現場に投入します。
ということは、2月上旬は、営業員の当たり外れが大きい時期ともいえます。
引越しの現場チームは大混乱
引越し業者のチームのレベルは最低まで下がる
これほど多くの依頼を受注するわけですから、当然、引越しの現場は大混乱となります。
いくら引越し業者とはいえ、現場で作業を任せられる人材には限りがあります。
そのような状態のなかで、できる限り多くの引越しを受注しようとすると、当然、1チームあたりの人材のレベルはギリギリ=最低まで下がってしまします。
例えば、普段ならチームリーダーとして現場を任されるはずのない若手のアルバイト(主に免許を持っている=トラックを運転できる大学生)も、この時期は話が別です。
つまり、アルバイトなのに、チームリーダーとして現場(主に単身~2人家族の引越し)を任されます(ちなみに、管理人も最初はそうでした)。
「隠れアルバイト」のチームリーダーが普通にいる
このような状況ですから、「チームリーダー=アルバイト」という事態が普通にあります。
というか、そもそも、2月後半・3月・4月の引越しでは、正社員のチームリーダーのほうが、圧倒的に少なくなります。
繁忙期・ピークでなければ、経験が浅い、若手のチームリーダーのアルバイト・契約社員は、せいぜい2人家族の引越しくらいしか担当させてもらえません。
ところが、2月後半・3月・4月の引越しでは、こういった経験が浅い若手のチームリーダーが、主に3~4人家族の引越しを任されます。
これでは、高品質なサービスは期待できません。このため、お客さまにとっては、この時期は最も品質に注意すべき時期といえます。
「経験者1人+未経験のアルバイト・派遣社員」が当たり前
特にこの時期は、引越し業者のチームには、必ずといっていいほど、未経験者のアルバイトや派遣社員が含まれます。
チームリーダー以外のすべてが未経験者のアルバイトや派遣社員であることも普通にあります。
というか、管理人の経験では、むしろそれが当たり前でした。
当然ながら現場は大混乱で、作業開始の前にダンボールの持ち方から教える、という光景が見られるくらいです。
つまり、「引越し業者」であるにもかかわらず、チームリーダー以外の全員が「素人」のチームが普通です。
ちなみに、管理人は、「管理人以外は全員派遣社員」というチームで何回も引越しをしたことがあります。
以下のページは、その時の体験談です。
- 2月後半・3月・4月の引越しは1年で最も件数が多い。
- 2月後半・3月・4月の引越しは料金・費用・値段が高い・安くならない。
- 2月後半・3月・4月の引越しはサービスの質が最低まで下がる
- 「経験者1人+未経験のアルバイト・派遣社員」が当たり前。
4月の引越しはなるべく避ける
4月は引越し業者のサービスの品質が最も低い
実は貴重な戦力の大学生・高校生アルバイト
繁忙期の中で最も件数が多いのは3月の後半ですが、実は、年間を通じて、引越し業者のサービスの品質が最も低下する時期は3月ではなく4月(特に平日)です。
4月は、大学や高校の授業が始まります。このため、引越し業者は、この時期に大学生や高校生のアルバイトを使うことができません。
大学生や高校生のアルバイトは、春休み期間中である3月の繁忙期を通じて、多くの作業経験を積んでいます。
仮に2月や3月からアルバイトを始めた場合であっても、文字どおり「地獄のような」繁忙期に働ける体力・精神力があり、経験を積んだのであれば、引越し業者としては十分に戦力になります。
経験を積んだ大学生・高校生アルバイトの穴を埋めるのは「素人」
このような大学生・高校生のアルバイトは、チームリーダーまでは務まらないにせよ、現場でのサポート役は務まります。
チームリーダーの立場としては、このような大学生・高校生のアルバイトが一人いるだけで、ものすごく助かりますし、精神的・心理的にも楽になります。
しかし、4月の平日はこれらの経験豊富な学生アルバイトが抜けるため、スタッフの経験不足が深刻となります。
結局、大学生・高校生アルバイトの穴を埋めるのは、まったく引越しの経験がない社会人アルバイトや派遣社員、つまり「素人」となります。
どうしても4月に引越しをするのであれば土日を狙う
土日はアルバイトにとっても稼ぎどき
このように、経験を積んだ大学生・高校生が抜けてしまうので、4月の平日の引越しは、なるべく避けるべきです。
逆に土日は、経験を積んだ大学生・高校生がアルバイトをしにきている可能性が高いです。
この時期は、引越しの作業が長時間となり、それだけアルバイトにとっても給料や残業代も高くなるため、非常に「美味しい」時期です。
つまり、大学生や高校生のアルバイトにとっても、4月は稼ぎどきということです。
ですから、繁忙期に経験を積んだ大学生・高校生は、たいていアルバイトにきます。
平日休んでいる大学生・高校生アルバイトは疲れがない
また、彼らは、平日は学校の授業があるため、逆に体を休ませているため、疲れもほどんど出ません。
このため、疲れが原因の事故率も下がります。
ですから、引越し業者のサービスの品質を重視するのであれば、4月は土日に引越しをするべきです。
もっとも、4月も土日は引越しの件数が多くなりがちですので、料金自体の値下げはあまり期待できません。
- 4月の平日は経験を積んだ大学生・高校生アルバイトが出勤できない。
- その穴を埋めるのは「未経験」の社会人アルバイト・派遣労働者=素人
- 品質を重視するなら4月は土日に引越しするべき
2月後半・3月・4月の引越しは深夜終了も覚悟する
繁忙期の引越しは時間がかかる
スタッフに「一から作業を教える」のが当たり前
すでに述べたとおり、繁忙期では、1日当たりのお客さまからのご依頼件数がかなり多くなります。
また、個々の現場のスタッフの能力レベルも低下しがちです。
それどころか、その日に初めて引越し作業を経験するアルバイト・派遣社員がいるくらいです。
当然ながら、このような引越し未経験のスタッフには、チームリーダーが一から作業の進め方を教えて作業をしなければなりません。
というよりも、それが「当たり前」なのが、繁忙期・ピークの引越しです。
必ず「肉体労働ができる」スタッフとは限らない
また、普段から肉体労働や運動をしていない限り、初めて引越し作業をする場合、非常に作業が遅くなります。
残念ながら、引越し作業が未経験のアルバイトや派遣社員のスタッフは、引越しのようなハードな肉体労働に慣れていることはほとんどありません。
ダンボールを2つ持つのがやっと、階段の昇り降りで荷物を持って走れない、それどころか荷物を持っていなくても階段を走れない、という状態が普通です。
このため、思うように作業がはかどらず、かなり長時間作業せざるをえなくなります。
作業の条件が悪い現場では、それこそ作業が深夜に及ぶことがあります。
荷物の積み替え作業に注意
特に繁忙期にありがちな、時間がかかるケースとしては、大型トラックを建物に直付けできない場合があります。
この場合、大型トラックを近くの場所に駐車しておき、建物に直付けできる小型のトラックに(建物・大型トラックから)荷物をいったん載せて、荷物を搬出・搬入します。
この荷物の載せ替えのための作業や、建物から大型トラックの間の移動が非常に時間がかかり、また非効率です。
これがマンションの高層階の引越しともなると、エレベーターの移動にも時間がかかるため、さらに時間がかかります。
このため、住宅街のように、自宅の前の道路が狭い場合は、思ったよりも時間がかかる場合があります。
なお、大型トラックの問題点つきましては、以下のページも併せてご覧ください。
- 未経験のスタッフに一からチームリーダーが引越しの作業を教えるのが「当たり前」。
- このため、深夜に引越しが終わることも覚悟する。
- 特に大型トラックが建物に直付けできない場合は、時間がかかる。
【対策】午後便・フリー便・宵積みを利用する
昼から夜にかけて作業が始まるプランを利用する
日程の都合上、どうしてもこの時期に引越し業者に依頼しなければならない場合は、午後便・フリー便・宵積みを利用してみてください。
これらのプランの特徴は、「午後・夕方・夜」のいずれかに作業が始まる、ということです。
午後便とは、午後にサービスを開始するプランです。
フリー便とは、作業開始時間を引越し業者にまかせるプランです。
フリー便とはいえ、繁忙期には、よほど特殊な状況でない限り、午前中に作業を開始することはありません。
このため、午後(場合によっては夕方以降)に作業開始となります。
宵積みとは、夕方から夜にかけて荷物を搬出してトラックに積み込み、翌日の朝から荷物を搬入するプランです。
これらの午後便・フリー便・宵積みのプランの特徴については、以下のページをご覧ください。
繁忙期でも比較的安く高品質なサービスが狙える
これらのプランは、朝に作業が開始するプランに比べて、件数自体は若干少なく、特にフリー便は作業開始時間が引越し業者まかせですので、料金・費用は比較的安く済みます。
価格交渉も、朝に作業を開始するプランに比べて、まだやりやすいほうです。
また、いくら繁忙期とはいえ、夕方以降は、作業を開始する引越しの件数が極端に減ります。
このため、夕方以降に作業を開始する可能性がある午後便・フリー便・宵積みは、すでに他の現場での作業を終えた、経験豊富なベテランのスタッフが応援に駆けつけてくれることがあります。
嬉しいことに、事故や作業の遅れの原因となりかねない(かつ実は人件費が高い)派遣社員などは、ベテランのスタッフとその場で入れ替えたりします。
夕方開始の引越しは実は理想的
こうなると利用者としては最高の状態で、閑散期の平日でも滅多にない「全員リーダークラスのベテラン」というチームでの引越しとなります。
お客さまや現場のチームリーダーが出す最低限の指示にもとづき、全員が自分の頭で考え、素早く作業をする様子は、まさに「圧巻」のひとことです。
それこそ、あっという間に引越しが終わります。
ただし、作業終了時間は相当遅くなる可能性がありますので、注意してください。
なお、応援スタッフにつきましては、以下のページも併せてご覧ください。
- 2月後半・3月・4月に引越しをするなら午後便・フリー便・宵積みのプランで、少しでも引越しの料金・費用・値段を下げる。
- 実は遅い時間に始まるほうが、ベテランのスタッフが来る確率や人数が増える確率が高い。
- 実は人件費が高い派遣社員は、残業代を抑えるために、夕方以降はいなくなる。
まとめ
「繁忙期の引越しは高い・サービスの品質が低い」というのは、もはや常識といっていいでしょう。
そんななかでも、なるべく料金を安くし、高品質のサービスを受けるには、以下のポイントを参考にしてください。
- 2月~3月はなるべく平日に引越しする
- 4月は土日に引越しする
- 荷物が少ない場合は、午後便・フリー便を利用する
- 荷物が多く近距離の場合は、宵積みを利用して「夜に搬出・翌日朝に搬入」の2日間で引越しする
- 荷物が多く遠距離の場合は、午後便・フリー便を利用して「午後に搬出・翌日朝に搬入」の2日間で引越しする
- 値引き交渉は期待しない
- ただし、最低限一括見積もり・比較サービスで相見積もりは取る