10トン以上の大型トラックは、物流作業をしている運送業者が使うトラックです。
10トン以上の大型トラックは、引越しに使うにしては荷台が大き過ぎるため、引越しには使いません。
ただ、あえて使う場合は、主に夫婦と子供2人以上の4人以上の世帯の家族の引越しに使います。
10トントラックのドライバーは、普段は物流の作業をしていて、引越しの作業の経験の経験は、ほとんどありません(あっても年に数回程度)。
ですから、10トントラックのドライバーは、荷台での作業・室内作業ともに、ほとんど期待できません。
なお、ほとんどの引越し業者は、大型トラックを使いません。
ただし、これはあくまで自社で所有して使わない、ということであり、引越しのサービスとしては、業務委託先・下請け先に依頼して10トン以上の大型トラックを提供してもらうことは普通にあります。
普通は引越しには使わないサイズ
10トン以上の大型トラックは、容量が40㎥(立方メートル・立米)超です。
これだけの容量があるため、引越しに使う場合は、ほとんどの1世帯分の家族の荷物を積込むことができます。
また、荷物の量にもよりますが、2世帯分の荷物も運ぶことができます。
それどころか、10トン以上の大型トラックは、1世帯の家族の荷物では荷台のスペースが余ってしまうため、3世帯分の家族荷物すら積むことができる場合もあります。
ただ、通常の引越し業者は、10トン以上の大型トラックは、支店・営業所には配備していません。
というのも、10トン以上の大型トラックは、一般的な住宅街の道幅では通ることができません。
また、小回りが利かず、交通規制も厳しいため、一般家庭の引越しでは使う機会がほとんどありません。
では、なぜ10トン以上の大型トラックが引越しに使われることがあるのかというと、10トン未満の中型・小型のトラックが足りなくことがあるからです。
特に、引越し業者が忙しい繁忙期や土日では、すべての小型・中型のトラックが出払ってしまうことがあります。
この場合、引越し業者は、業務委託先や下請け先に依頼して、普段は物流にしか使っていない10トン以上の大型トラックを引越しの現場に配車します。
これが、本来は引越しには使わないはずの、10トン以上の大型トラックが引越しの現場に現れる理由です。
系列会社のドライバー・トラックの注意点
10トン以上の大型トラックが系列会社のものの場合、ドライバーの能力は、引越しを専門にしている会社の場合と、そうでない場合によって違ってきます。
大手引越し専門業者の系列会社のドライバーの場合は、引越し作業に慣れていますので、特に問題ありません。
他方、他の引越し業者の系列会社のドライバーの場合は、普段は物流の作業をしていることが多いため、引越しの作業に慣れていない場合もあります。
また、トラックの荷台の内壁についても、引越し業者によって様々です。
通常、大手引越し専門業者の系列会社の場合は、トラックの内壁にフェルトなどの保護材が使われていて、家具や大型家電製品が当たってもキズがつきません。
他方、他の引越し業者の系列会社の場合は、トラックの内壁に保護材が使われてないことがあります。
この場合、金属がむき出しになっていて、家具や大型家電製品にキズがつくことがあります。
業務委託先・下請け先のドライバーの場合の注意点
10トン以上の大型トラックが業務委託先・下請け先のものの場合、そのトラックは、物流業者のものです。
通常は引越しに使わない10トン以上の大型トラックを駆り出すということは、引越しが忙しい繁忙期だということです。
そのような繁忙期に、わざわざ引越しを事業としてやっている運送会社が、別の引越し業者のためにトラックを提供することはありません。
このような繁忙期に10トン以上の大型のトラックが空いている運送業者は、引越し業者ではなく、物流の運送業者です。
ですから、10トン以上の大型トラックで、引越し業者のデザイン・ロゴ・キャラクターなどがないトラックは、物流会社のものと思ってください。
物流業者のドライバーは、普段は貨物の物流の業務しかしていませんので、引越しの作業に慣れていません。
このため、特にトラックの荷台で荷崩れが発生する可能性があります。
また、業務委託先・下請け先のドライバーは引越しの積み込み作業に慣れていないため、作業自体も時間がかかってしまって、作業効率はよくありません。
さらに、荷物の搬入作業では、最適な順番・タイミングで荷降ろしができないため、建物の中でスタッフが混乱することがあります。
このため、業務委託先・下請け先のトラックを使った場合は、引越し業者だけの作業に比べて、時間がかかる傾向があります。
10トン以上の大型トラックを使った引越しは時間がかかる
10トン以上の大型トラックでも、大型のマンションのように道幅の広い道路に面した建物の場合、建物の前に駐車することができます。
この場合は、通常の4トン以下の中型・小型トラックを使った引越しと作業効率はさほど変わりません。
ただし、一部のマンションや団地・公営住宅のように、敷地内や駐車場までトラックを入れなければならない場合は、10トン以上の大型トラックでは、入っていけない場合もあります。
このような場合は、エレベーターや玄関からトラックを駐車している場所まで、台車などで荷物を運びますので、非常に時間がかかります。
また、一般的な住宅地などでは、10トン以上の大型トラックは、規制や道幅の関係で、狭い道路には入れません。
このため、荷物の積み込みや荷降ろしは、いったん1.5トントラックや2トントラックなどの小さいトラックに積んでから、積み替えることになります。
実は、この積替え作業は、予想以上に作業に時間がかかることがあります。
これはどういうことかというと、例えば引越し元(旧居・積地)からの荷物の搬出作業の場合、以下のような行程で作業を進めます。
- 引越し元(旧居・積地)の建物からの荷物の搬出
- 小型トラックへの荷物の積込み
- 小型トラックの荷台が満載になり次第、大型トラックの駐車場所への移動
- 小型トラックから大当トラックへの荷物の積替え
- 引越し元(旧居・積地)の建物への小型トラックの移動
- 再度引越し元(旧居・積地)の建物からの荷物の搬出
- 以下繰り返し(荷物の量に応じて3~6回程度)
このような面倒な移動や積替えをしながら大型トラックに荷物を積んでいきます。
引越し先(新居・卸地)への荷物の搬入作業の場合は、ちょうど逆の作業になります。
- 大型トラックから小型トラックへの荷物の積替え
- 引越し先(新居・卸地)への小型トラックの移動
- 小型トラックから荷物の荷下ろし
- 引越し先(新居・卸地)への荷物の搬入
- 小型トラックの荷台が空になり次第、大型トラックの駐車場所への移動
- 再度大型トラックから小型トラックへの荷物の積替え
- 以下繰り返し(荷物の量に応じて3~6回程度)
この場合、建物にトラックを横付けして荷物を積み降ろしする場合よりも、移動や積み替えのための時間がかかってしまって、かなり時間の無駄が発生してしまいます。
特に長距離の移動が伴う引越しの場合、家具や大型家電製品を使い捨ての資材で梱包する作業があるため、余計に時間がかかります。
このような場合、朝から作業していても、積込み作業が終わるだけで丸一日かかることもあります。