「え…、引越し業者って、派遣社員を使ってるの?本当に?ちょっと大丈夫なの?」と不安に思っていませんか。
こんにちは。(ですよねぇ…)と、思わずお客さまに共感してしまう、元引越し業者スタッフの管理人です。
残念ながら、引越し業者は派遣社員を使っています。また、ご心配のとおり、能力的にも、ほとんど期待できません。
派遣社員とは、いわゆる人材派遣業者の社員(事実上は学生)のことです。引越し業者の社員やアルバイトではありません。
派遣社員は、引越しの経験が無いことがほとんどで、あっても数回程度と、非常に経験が浅いです。
引越しについて研修や訓練も受けていないため、能力も低いと言わざるをえません。
このため、最も問題があるスタッフといえます。
ただし、唯一のメリットとして、派遣社員が起こした事故は、派遣会社(引越し業者をとおして)が補償してくれるため、事故があっても、補償はされやすです。
引越しに来る派遣社員は事故のリスクが高い
派遣社員≒(実質的には)日雇い学生アルバイト
派遣社員は、いわゆる「人材派遣会社」から派遣される社員のことです。
引越しの現場に来る派遣社員は、いわゆる「日雇い型」の派遣社員です。
かつては、さまざまな年齢層の方が、日雇いの派遣社員に登録していました。
現在では、法改正によって、日雇い派遣社員には登録できる人は、極めて限られています(平成24年10月1日施行改正労働者派遣法による)。
このような規制があるため、実質的には、引越しの現場に来るような派遣社員は、学生だけと考えていいでしょう。
日雇い派遣社員の能力は期待できない
学生の派遣社員と、引越し業者が直接雇う日雇いの学生アルバイトとでは、大きな違いがあります。それは、引越しの経験の差です。
管理人の経験上、派遣社員は、引越し作業の経験が無いことが多く、あったとしても、数回程度現場に入ったことがある、という程度です。
もちろん、派遣会社が引越し作業の研修や教育ができるわけがありませんから、能力的にはほとんど期待できません。
つまり、常に「ハズレ」がほとんどということです。
これに対し、引越し業者が直接雇う日雇いの学生アルバイトは、能力・経験がピンキリです。
繁忙期にありがちですが、初めて引越しの現場に入るアルバイトもいれば、正社員並みの能力・経験のアルバイトもいます。
こちらは、「当たりハズレ」があります。
引越し業者のチームリーダーが使いにくスタッフ
派遣業者にもよりますが、引越し業者への派遣は、派遣社員の最初の試練として位置づけています(管理人が聞いた複数の証言によります)。
このため、最悪の場合、始めて仕事をする派遣社員が、引越しの現場に派遣されてくることがあります。
また、日雇いの派遣社員は、実質的には学生であるため、社会人としての経験も浅いです。
しかも、自ら積極的に応募してきたアルバイトとは違って、派遣社員は、派遣会社から命令されて派遣されてきます。
このため、残念ながら、勤労意欲や、やる気に乏しいことがあります。
極端な場合、異常に重い足取りで動く派遣社員もいます(管理人もこれには参りました)。
このため、引越し業者のチームリーダーが使いこなしにくいスタッフです。
繁忙期の引越し業者は派遣社員に頼らざるをえない
派遣社員がいないと引越しが成り立たない
「そんなに問題があるんだったら、使わなきゃいいのに。なんで使ってるの?」と、疑問に思われるかもしれません。
もちろん、なるべく使わずにすむのであれば、管理人もそうするべきだと思います。
ただ、残念ながら、特に繁忙期では、派遣社員がいないと、引越しが成り立ちません。
というのも、派遣社員は、派遣業者が派遣してくれますので、スタッフの人数を整えやすい、という事情があります。
引越し業者も、登録制のアルバイトを抱えていますが、数に限りがあります。アルバイトだけでは、繁忙期は、乗り切ることはできません。
また、新規でアルバイトを募集しても、必ず応募があるとは限りません。
派遣社員はフタッフの「水増し」?
つまり、引越し業者としては、派遣社員は、「頭数」を揃える調整弁として、非常に便利なのです。
特に、極端に件数が増える繁忙期には、見積書に記載したスタッフの人数を確保するため(いわばスタッフの「水増し」のため)、派遣社員を使わざるを得ません。
このように、能力に問題がある派遣社員ですが、引越し業者としては、とにかく人数を確保するために、派遣社員を使わざるを得ません。
お客さまにとってはひどい話に聞こえるでしょうが、こうでもしないと、繁忙期には、引越し業者では、スタッフが集まらないのです。
ですから、繁忙期には、引越し業者のスタッフの中に、必ず派遣社員が混じっているものと考えてください。
しかも、1~2人混じっている程度であれば、まだマシなほうです。
最悪の場合、引越し業者のチームリーダー以外の全員が派遣社員(管理人も何度も経験があります)、ということも十分にあり得ます。
3月・4月第1週の引越しは派遣社員が多い=事故率が高い
3月・4月第1週=学生の春休み期間は派遣社員が多い
引越し業者が年間をとおして最も派遣社員を使う時期は、3月と4月第1週です。
3月と4月第1週(大学に限ります)は、まだ春休みのため、学生は、休日・平日問わず、働くことができます。
もちろん、派遣社員としてだけではなく、アルバイトとしても、働くことができます。
逆に、4月第2週以降は、高校や大学が始まるため、少なくとも平日は、派遣社員として働くことはできません。
4月の引越しは特に事故に注意
3月~4月は、引越しの件数も年間をとおして最も多く、それでなくても引越し業者は人手不足です。
能力が高く経験豊富なスタッフが分散するため、チーム全体のスタッフの能力が著しく低下します。
このような事情に加えて、特に4月第1週は、年間で最も忙しい3月末を乗り切った後ですから、スタッフ全員に疲れが溜まっています。
この時期は、さすがのプロの引越し業者のスタッフも、思うように体が動かなることがあります。
これらの事情から、3月末から4月第1週にかけては、1年で最も事故が発生しやすい時期です。
もちろん、引越しには、最もオススメできない時期です。
このため、なるべくこの時期での引越し業者の利用は避けるべきです。
唯一のメリットがトラブル・事故が補償されやすいこと
事故は起こりやすいが補償されやすい
これまでさんざん酷評してきた派遣社員ですが、実は、唯一、メリットがあります。
それは、トラブル・事故があった場合は、補償されやすい、という点です。
というのも、派遣社員がトラブル・事故を起こした場合、その補償は、派遣会社が負担します。
形式的には、引越し業者をとおす形で、お客さまに負担します。
引越し業者がお客さまと補償交渉をする場合と違って、派遣会社は、すんなり補償に応じてくれます。
これは、引越し業者が直接雇っているスタッフがトラブル・事故を起こした場合にはない、大きなメリットです。
トラブル・事故があったらその時その場で補償交渉をする
ただし、トラブルや事故が発生した場合は、必ずその時その場で補償交渉を始めてください。
派遣会社によっては、その場で事故の指摘がない限り、引越し業者に対する補償に応じていない場合があります。
このため、その時その場で補償交渉を始めないと、引越し業者が派遣会社から補償を受けられないこともあります。
結果として、引越し業者と補償交渉をすることになり、補償交渉が難航する可能性もあります。
引越し業者のアルバイトと派遣社員を見分ける方法
引越し開始10~15分前に自宅周辺を見回ると派遣社員がいる
「そんなこと言ったって、誰が派遣社員かわからないんじゃないの?」と思うかもしれません。
実は、引越し業者のアルバイトと派遣社員を判別する方法があります。
ほとんどの場合、引越し業者は、派遣社員を現地集合にしています。滅多に引越し業者の支店・営業所に集合とはしません。
というのもの、引越し業者の支店・営業所に集合とすると、その時点から時給が発生してしまい、現場までの移動時間も時給が発生するからです。
つまり、派遣社員は、引越しの現場であるお客さまのご自宅周辺に集合しているのです。
引越しの開始予定10~15分前に自宅周辺を見回ってみてください。
もし、私服を着てバッグやリュックサックを背負った若者が何かを待っていたら、その日に引越しを担当する派遣社員の可能性が高いです。
ですから、(あまり覗き込まないようにして)よく顔を覚えておきましょう。
まとめ
管理人も、ほとほと派遣社員には悩まされてきました。
別に引越し業者も、好き好んで派遣社員を使っているわけではありません。
確かに、気軽に人数を揃えることができますし、直接雇用のアルバイトに比べると、労務管理の事務手続きが非常に楽です。
ただ、実はそのぶん、給料はベラボウに高く、日給で計算すると、正社員並みの給料になります(もちろん、派遣会社に払う分ですが)。
これほどコストがかかるのに、(ひどい言い方ですが)「使い物にならない」のですから、現場の正社員からは、よく苦情がですものです。
ただ、あまりにも引越しの件数が多い繁忙期では、派遣社員を使わないことには、引越しの現場は回らない、という構造的な問題があります。
どうしても派遣社員を使ってほしくない、というのであれば、3月・4月・9月・土日・連休の引越しは避けてください。