貴重品(現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等)は、引越し業者には運んでもらえません。

これらに限らず、荷造りの際に貴重品が出てきた場合は、別途で仕分けて、ダンボール等には梱包しないでください。

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引越し業者には貴重品は運んでもらえない

貴重品については、引越し業者は、標準引越運送約款によって、運送を拒否することができます(標準引越運送約款第4条第2項第1号)。

第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(4)申込者が第8条第1項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第2項の規定による点検の同意を与えないもの
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

つまり、貴重品については、お客さまご自身で運ばなければなりません。

このため、現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等の貴重品は、梱包せずに、ご自身で運んでください。

意外にも、このこと自体をご存じないお客さまがいらっしゃいますが、一般的な引越し業者の営業員であれば、必ず見積もりの段階でお客さまに対して説明しているはずです。

また、引越し業者から渡される見積書などの書類や資料にも記載されているはずです。

うっかりダンボールに貴重品を梱包してしまうと、後で取り返しがつかないことになりかねませんので、注意してください。

盗難・紛失・毀損・滅失の場合も補償の対象外

貴重品は、その荷物が貴重品であることを知って運搬した場合に限って、補償の対象となります(標準引越運送約款第24条第1項)。

第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

通常、引越し業者は、荷物が貴重品であることを知って運搬することはありません。すでに述べたとおり、運搬を拒否することができますので、運搬を拒否します。

ですから、お客さまの自己責任で運んでください。

なお、うっかりダンボールに梱包してしまった場合は、引越し業者が「貴重品であること」を知らずに運搬したことになりますので、補償の対象外となります。

これは、引越し業者に運搬を拒否されないようにわざとダンボールに貴重品を梱包した場合も同様です。このため、貴重品はダンボールに梱包しないでください。

当日の手荷物としてまたは別途で運んでおく

貴重品のうち、かさばらないもの(キャシュカード、現金等)は、当日の手荷物として、お客さまご自身で運んでください。

かさばるものや高価なもの(宝石貴金属類、有価証券、美術品)などは、別途で運んでください。いずれにせよ、引越し業者に任せることができないため、事前に運ぶ方法をよく検討しておいてください。

なお、美術品については、場合によっては、専門の業者に運んでもらうことも検討してください。

また、有価証券については、たいていのものは、証券会社等に保護預かりしてもらうことができます。

口座管理料がかかってしまうこともありますが、盗難や火災等のリスクもありますので、検討してみてください。

意外に忘れがちな貴重品

金庫のように、明らかに貴重品が入っているものの中身については気付きやすいですが、意外とタンスの中身の貴重品などは忘れがちです。

特に、冷蔵庫、仏壇など、普通とは違う場所に隠している貴重品などは、忘れずに仕分けておいてください。

貴重品が入ったままタンスなどの家具などを運ばれてしまうと、その貴重品の紛失・盗難などは、補償の対象外となります。

なお、引越し当日にタンスなどの家具の中身をしっかり確認したうえで運んでくれるかどうかは、引越し業者のスタッフ次第です。

経験豊富で能力が高いスタッフの場合は、しっかり中が空であることを確認して運んでくれますが、そうでないスタッフもます。

このため、うっかりタンスの中などに貴重品を残しておくと、そのまま運ばれてしまうことになりかねません。