「引越しをするたびにタンスの中身を取出して梱包するのが面倒くさい!!中身をそのままにして運んでくれないの!?」と思ったこと、ありませんか?

こんにちは。(運んでいいなら中身入りで運ぶのになあ…)と、引越し業者のスタッフの立場では思っている、元引越し業者スタッフの管理人です。

タンスや家具の中身は、中身をすべて梱包して、必ず空の状態にしておいてください。

「いちいち中身を取出して梱包するのは大変なのよ!!」というご不満は百も承知ですが、これにはちゃんとした理由があります。

タンス・家具の中身を梱包せずにそのままにしておくと、タンス・家具の中身、タンス本体、壁・床の破損につながる可能性があります。

なお、洋服・布製品が入ったタンス・家具については、中身を入れたまま運ぶことができる場合もあります。

ただし、この場合であっても、必ず見積りの段階で営業員に確認を取ってください。

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中身入りのタンスは非常に重い

おもり

洋服だけのタンスも相当の重さになる

タンスや家具は、それ自体がかなりの重量となります。

和ダンスのように、無垢材でできているタンスは、空の状態であっても、かなりの重さです。

桐や合板でできている家具は比較的軽いですが、中身が入っているとなると、やはりそれなりに重くなります。

洋服や布製品などは、ひとつひとつは非常に軽いので大丈夫かというと、そうもいきません。

こうした布製品は、タンスに詰まっている状態だと、意外に重くなるものです。

ましてや、本・CD・DVD・食器などが入っている状態では、あまりにも重くなります。

ですから、そのままにして運ぶなど、論外です。

タンス・家具の中身を空にしないと中身のワレモノが破損する

割れた手鏡

タンス・家具はそのまま水平で運ばずに倒したり立てたりして運ぶ

また、タンスは、中身が入った状態だと、非常に運びづらくなります。

タンスや家具は、よほど小さいものを除いて、そのまま水平に運ぶことはありません。

階段、廊下・踊り場、ドア・部屋の出入り口、玄関、エレベータなどで、方向転換をするために、横に倒したり立てたりを繰り返して運びます。

このため、中に割れ物などが入っていると割れる可能性があります。

ですから、中身はすべて出して梱包してください。

中身入りで引越しするとタンスが歪んで分解することもある

割れる板

引越し業者のスタッフも本当は中身入りで運びたい

整理ダンス・チェスト・押入れダンスなどは、サイズにもよりますが、家具自体は、軽いことがほとんどです。

ですから、洋服や布製品だけであれば、中身入りで運ぶことができます。

中身入りで運ぶと、お客さまとしては、タンスの中身の梱包や開梱包の手間が省けますので、結果的には非常に楽です。

また、引越し業者のスタッフとしても、タンスと洋服のダンボールを分けて運ぶ必要がなくなります。

このため、引越し業者のスタッフとしても、本来であれば、歓迎したいところではあります。

中身入りで運ぶとタンスが「歪む」

ただ、中身入りでタンスを運ぶと、タンスが歪むことがあります。

タンスが歪むと、おかしなクセがついてしまって、引出しや扉などが開きにくくなる場合があります。

最悪の場合は、経年劣化によって、タンスが分解してバラバラになってしまうことさえあります。

特に、DIYで組み立てたタンスの場合は、工場で作った家具や職人が作った家具に比べて耐久性が非常に低くいものです。

それどころか、そもそも、組立てた後は、「運ぶこと」を想定していない家具すらあります。

ですから、場合によっては、引越し業者から運搬を断れる可能性もあります。せいぜい、補償対象外ということで運んでもらえる程度です。

また、中身入りのタンスは、実際に持ってみると非常に重く、能力や経験が不足しているスタッフが運ぶと、事故の原因となることもあります。

「中身入りでいいかどうか」を引越し業者の営業員に確認する

このような事情があるため、引越し業者の中には、中身入りのタンスは運ばない、という方針のところもあります。

逆に、「梱包の手間が少なくなるうえ早く引越しが終わる」ということをアピールするため、「中身入り歓迎」という引越し業者もあります。

また、頑丈そうな家具であれば中身入りで運ぶけども、壊れそうな家具は中身入りでは運ばない、というように、ケースバイケースで対応する場合もあります。

ですから、訪問見積もりの時点で、タンスの中身をそのままにしておいていいかどうか、実際に個別にタンスを見てもらって、営業員に確認を取っておいてください。

ハンガーケース等を活用する

洋服ダンス

ハンガーにかけたまま梱包できる

洋服ダンス(ワードローブ)・パイプハンガー・ウォークインクローゼットにある、ハンガーに掛かっている洋服(スーツ・ドレス・コートなど)は、専用の縦に長いハンガーケースを利用することができます。

このハンガーケースで梱包することで、スーツやドレスなどは、ハンガーに掛けたまま、折りたたまずに梱包できます。

また、このハンガーケースは、下の方にスペースができることがあります。

特にスーツを梱包した場合は、それほど長くないため、意外に余分なスペースができることがあります。

このような余分なスペースには、ベルトやバッグ、ネクタイなどの小物やぬいぐるみなどを併せて梱包してください。

なお、バッグはあまり詰め込むと型崩れすることがあります。あまり詰め込みすぎないように、注意してください。

また、ネクタイは、無造作に放り込んで長時間放置していると、シワになることがあります。

引越しでは貴重品は自分で運ばないと補償対象外

貴重品

「なくなったら困る物」は自分で運ぶ

お客さまの中には、タンス・家具の中に貴重品を入れていることがあるかもれません。

この中には、引越し業者が運んでくれないもの(現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等)もあります(標準引越運送約款第4条第2項第1号)。

第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(4)申込者が第8条第1項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第2項の規定による点検の同意を与えないもの
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

このような貴重品は、梱包せずに、手荷物として運ぶか、ご自身の責任で運んでください。

また、これらの貴重品は、引越し業者が貴重品であると知らずに運んだ場合は、補償の対象外となることがあります(標準引越運送約款第24条第1項)。

第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

このため、空だと思っていたタンスに貴重品があった場合に、その貴重品が損壊・滅失してしまったときは、補償してもらえない可能性があります。

まとめ

管理人の先輩に、家具職人に転職した方がいました。

その方が「引越し業者のスタッフだったころは、たまにタンスを中身入りで運んでたけど、今だと、『なんてことしてくれんだ!!』と思うなぁ…」と言っていました。

つまり、家具職人の感覚では、家具は、「運ぶこと」をあまり想定していないのです。

こうした事情があるため、意外に思われるかもしれませんが、家具は、簡単に歪んでしまいます。

また、仕事柄、普段は家具の運送サービスをしている運送会社のスタッフの方々と、一緒に引越し作業をすることがよくありました。

その方々のお話によると、重い家具の場合は、新品(当然中身は何も入っていない)であっても、歪むことがあるそうです。

幸い?管理人の勤務先の引越し業者では、「中身入りの家具は運ばない」という方針だったため、管理人自身は、そう頻繁には中身入りの家具を運んでいません。

それでも、繁忙期に現場の判断で中身入りで運ぶことが何度もありましたが、かなり慎重に運んだものです。

確かに、中身入りでタンスを運ぶのは、お客さまにとっても、引越し業者にとっても、簡単に引越しができる、というメリットはあります。

ですが、想像以上に高いリスクがあります。この点も考慮のうえ、中身入りで運ぶことを検討してください。