「今度、引越しで婚礼家具の和ダンスを運んでもらう予定なんだけど、けっこうズッシリしてるのよね~。あんなの運んで大丈夫かしら?」と不安に思ってませんか?
こんにちは。支店でお客さまの荷物のリストの中に和ダンスを見つけると、いつも若干緊張していた、元引越し業者スタッフの管理人です。
最近では、着物・和服をお召しになるお客さまが少ないせいか、和ダンスは、あまり見かけなくなりました。
それでも、婚礼家具として、一定の年齢以上のお客さまのお宅には、洋服ダンス、整理ダンスともに、並んでいます。
和ダンスは、一般家庭の家具としては、最も重く、最も大きく、幅が広いものです。
また、上段の構造が特殊(観音扉の中に引き出しがある)で、内部の素材も汚れやすい桐製という、他の家具にはない特徴があります。
さらに、ほとんどの和ダンスは婚礼家具であり、非常に高価です。当然ながら、修理には通常の家具以上に高価な修理代と時間がかかってしまいます。
このため、事故が起こりやすく、被害も大きい傾向があります。
和ダンスをお持ちのお客さまにとっては、こうした運ぶのが難しい荷物である和ダンスを安全安心に運んでくれる、レベルの高い引越し業者を選ぶのがポイントです。
なお、桐ダンスについては、「非常に汚れやすいので取扱い注意―引越しでの桐ダンス(桐箪笥)・桐箱の準備・注意点」のページをご覧ください。
和ダンスは分解・組立ては引越し業者のまかせて着物・和服は梱包する

和ダンスの分解・組立ては引越し業者がやってくれる
和ダンズは、分解・組立てともに、引越し業者のスタッフがやってくれます。
重い和ダンスの分解・組立ては、非常に危険ですので、お客さまが分解・組立てをしようとすると、大怪我になりかねません。
「タンスの背中を雑巾で拭いたり、裏側に掃除機をかけたいんだけど…」というお気持ちもわかりますが、動かすだけでも危険です。
雑巾がけや、掃除機をかけるくらいは、引越し当日にできます。
ですから、お客さまの引越しの準備では、中身の着物・和服などの荷物を取出して梱包するだけで、あとはそのままにしておいてください。
和ダンスの中身の着物・和服は専用ダンボールで梱包する
なお、中身の荷物については、当日引越し業者に梱包してもらう場合を除いて、あらかじめ梱包しておいてください。和ダンスは、中身入りでは運べません。
特に、着物・和服については、綺麗な木綿の手袋をはめたうえで、引越し業者が提供している着物・和服専用のダンボールを使って梱包してください。
こうすることで、着物・和服や和ダンスの桐の部分を汚すことなく梱包ができます。
参照:専用ダンボールで楽々梱包―引越しでの着物・和服の梱包・荷造りのしかた
和ダンスは上段内部の引き出しの事故が多い

和ダンス上段を前面に傾けると引出しと扉の接触事故が起こる
和ダンスの上段には観音開きの扉があり、その中に引き出しがあります。
この引き出しの部分は、前面に傾けるとせり出してきて、観音開きの扉に接触します。これが、扉の内側のキズの原因となります。
このため、引越し業者は、このキズを防ぐために、間に中古のダンボールを挟みます。
もし引越し業者がこのような対処をしていない場合は、扉の内側のキズに注意してください。
桐の引き出しにダンボールのインクが移ることがある
なお、引越し業者がダンボールを挟む場合、別の事故が発生する可能性があります。
それは、ダンボールの印刷のインクが内部に移ることです。
和ダンスの上段内部の引き出しは、ほとんどが桐でできています。
桐は色が移りやすい素材のため、引越し業者のダンボールの印刷の色が移ってしまうことがあります。
引越し業者がダンボールを挟む際には、印刷されていない=インクがついていない裏側を引き出しに当てているかどうか、チェックしておいてください。
また、引越しが終わった際には、桐の部分がインクで汚れていないかどうか、確認してください。
和ダンスの接触によるキズ・ヘコみの事故が多い

和ダンスは大きい・重い・バランス悪い=持ちにくい
和ダンスは、一般のご家庭の家具のなかでは、最も幅が広く、非常に大きな家具です。
このため、曲がり角や狭い通路・廊下・階段を通す際に、角が壁に接触することがあります。
これに加えて、和ダンスは、ほとんどが合板ではなく無垢材でできているため、全体的に非常に重いうえに、前面が重くできています。
「家具は前面に傾けてはいけない」という、家具の引越しの鉄則がありますが、前面が重い和ダンスは、非常にバランスが悪く、前面に傾けがちです。
このため、引越し業者のスタッフですら、持て余すことがあるくらいです。
本体・壁・階段・床などあらゆる場所のキズ・ヘコみができる
しかも、和ダンスそのものを十分に梱包し、壁の養生を徹底していたとしても、和ダンスそのものが非常に重いため、和ダンス本体や壁に簡単にキズがつきます。
特に、階段で引越し業者のスタッフがバランスを崩して壁に接触した場合は、養生されていても、高確率で壁にキズ・ヘコみができます。
このため、階段作業での階段の壁には、特に注意してください。
さらに、繰り返しになりますが、和ダンスは非常に重いため、床に置く際には、丁寧に置かないと、床にキズやヘコみができてしまいます。
ときには、養生をしている床でさえヘコみができる場合がありますので、養生をしていない床であれば、なおさらです。
組立てのときの部品同士の接触事故に注意
上段が下段の上の部分に接触することがある
和ダンスは、運んでいるときだけでなく、組立てのときにも、事故が発生しやすい家具です。
和ダンスは、どちらかというと下段のほうが重いのですが、上段も非常に重くできています。
このため、上段を下段の上に重ねるときに、引越し業者のスタッフの手元が狂って、事故が起こることがあります。
典型的な例が、和箪笥の上段が、下段の上の部分に接触する事故です。
前面に傾いて引出しが飛び出ることも
また、すでに述べたように、和ダンスは上段は前面が重くできています。
ですから、上段を下段の上に重ねるときは、若干後ろに傾けながら重ねていきます。
ただでさえ重い和ダンスの上段を、前面に傾かないように、バランスを保ちつつ後ろに傾けながら、持ち上げていくのです。
途中で腕力が保たなくなると、前面に傾いてしまって、中の引出しが飛び出てしまい、床がキズらだけに…なんてことになりかねません。
また、後ろほうに傾けすぎると、今度は、和ダンスの後ろの壁に接触する、という事故もあります。
和ダンスの天板が上段や天井に接触することも
天板を水平に保ちながら乗せないと接触する
サイズの大きな和ダンスは、上段の上に天板が乗るようになっています。
この天板ですが、意外と重く、和ダンスの上段に乗せるときに、上段の上の部分や、天井への接触事故が起こりがちです。
天板を和ダンスの上段に乗せるときは、上段への接触はもちろんのこと、天井に接触してキズがつかないよう、慎重に重ねなければなりません。
具体的には、天板を水平の状態で保ったまま重ねていきます。こうすると、天板が天井に接触することはありません。
背の低い引越し業者のスタッフが角度をつけてぶつけてしまう
ところが、背の低い引越し業者のスタッフがこの作業をすると、天板を水平に保ったまま、和ダンスの上に乗せることができません。
このため、どうしても天板に角度がついてしまって、誤って天井に接触させることがあります。
和ダンスの天板は、無垢材でできているため、意外に重いものです。
こうした重い天板が、角度のついた状態で天井に衝突すると、高い確率でキズができてしまいます。
このため、特に、天井の低い部屋に和ダンスを搬入する場合は、気をつけてください。
和ダンス上段の桐製の部分は汚れやすい

上段内部の引出しは汚れた手で触らない
和ダンスの中には、総桐のものや、一部が桐製の場合があります。
参照:非常に汚れやすいので取扱い注意―引越しでの桐ダンス(桐箪笥)・桐箱の準備・注意点
グレードにもよりますが、ほとんどの和ダンスの上段の引き出しは、着物・和服を収納するため、桐でできています。
桐は汚れやすく、また、汚れてしまうと、専門の業者に高い料金を払って汚れを取ってもらわなければなりません。
このため、お客さまご自身もそうですが、引越し業者が汚れた手で扱わないように注意してください。
夏や雨の日の引越しでは汗による和ダンス上段内部の引出しの汚れに注意
特に、夏の引越しの際は、汗がついてしまうことがあります。
また、雨の日の引越しの際は、濡れた手でそのままさわってしまって、雨の水分がついてしまうことがあります。
桐は、汗や雨などのちょっとした水分がついただけでもシミになってしまいます。
このため、夏の引越し、雨や雪の日の引越しのときは、特に桐の部分の汚れに注意してください。
【Q&A式】まとめ
いかがでしたか?最後にもう一度、引越しでの和ダンスの準備と注意点について確認しておきましょう。
和ダンスの中身の着物・和服の梱包はどうするの? | 専用ダンボールで梱包してください。 |
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和ダンスの分解・組立ては、引越し業者がしてくれるの? | 和ダンスの分解・組立ては、引越し業者がしてくれます。動かすだけでも危険ですので、お客さまは中身の着物・和服の梱包だけしてください。 |
和ダンスの上段の内側は、どんな事故があるの? | 和ダンスの上段の内側は引出しになっていますので、前面に傾けると引出しが飛び出してきて、扉と接触します。
また、こうした接触がないように、引越し業者のスタッフは、ダンボールなどをはさみますが、そのダンボールのインクが桐の引き出しに移ってしまうことがあります。 |
和ダンスを運んでいるときは、どんな事故があるの? | 和ダンスは、幅が広い・前提的に重い・前面が重くてバランスが悪い=持ちにくい、という特徴があります。
ですから、壁・床・階段の壁など、あらゆる場所で、接触事故が起こる可能性があります。特に、方向転換する曲がり角では、接触事故に気をつけてください。 |
和ダンスを組立てているときは、どんな事故があるの? | 上段を下段に重ねるときに、下段の上の部分に接触したり、上段が後ろの壁に接触したりします。
また、上段が傾いて、中の引出しが飛び出して床にキズがついたりします。さらに、天板を重ねるとき、角度がついて天井に衝突することがあります。 |
上段内部の桐の部分で注意することは? | 和ダンスの上段内部は桐でできていることが多いですが、この桐の部分は汚れやすいので、汚れた手で触らないでください。
また、夏の引越しの場合は汗による汚れに、雨や雪の日の引越しの場合は、雨や雪の水分による汚れに注意してください。 |
和ダンスは、冷蔵庫と並んで、最も事故が起こりやすい荷物です。
しかも、単に重い冷蔵庫とはちがって、幅が広く、バランスも悪いうえに、分解・組立て作業まであるという、「事故の総合商社」みたいな家具です。
こうした厄介な荷物である和ダンスですが、最近のご家庭では、あまり見かけなくなりつつあるようです。
ということは、引越し業者のスタッフも、扱う経験が少なくなりつつある、ということです。
和ダンスは、経験が浅い引越し業者のスタッフが扱っていいものではありません。
このため、なおのこと、お客さまとしては、引越し業者の選び方に注意が必要です。
特に、高級な和ダンスをお持ちのお客さまは、引越しの料金・費用ばかりに注目して、引越し業者のサービスの質を軽視すると、大切な和ダンスや家の壁にキズがつくかもしれません。
ですから、和ダンスをお持ちのお客さまには、引越しの取扱い件数=和ダンスの取扱いの経験が多く、サービスの品質も高い、大手引越し業者の利用をオススメします。
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