「今度、引越しするんだけども、ウチにでっかい仏壇があるのよね~。あんなもの、素人目にも運ぶの難しそうだけど、大丈夫かしら?」と心配していませんか?

こんにちは。仏壇の引越しでは、ベテランの正社員の先輩によくお叱りを受けていた、元引越し業者スタッフの管理人です。

仏壇には、小型のものから非常に大きなものまで、さまざまなサイズがあります。

引越し業者は、たいていの仏壇を運んでくれます。ただし、あまりにも大型の仏壇や高価な仏壇の場合は、運搬を断られる場合があります。

仏壇は、単に移動すればいいというものではなく、お寺にお願いして一定の「手続き」をしなければなりません。

これは、引越し元(旧居・積地)(旧居)であらかじめしておくものと、引越し先(新居・卸地)(新居)で引越しの後でするものがあります。

引越し元(旧居・積地)で、こうした「手続き」としたうえで、引越しの準備に取り掛かってください。

仏壇の引越しの準備では、あらかじめ中身を取り出しておいて、ダンボールに梱包してください。ただし、御本尊(仏像)、お位牌、貴重品はお客さまご自身で運んでください。

なお、特に大型の仏壇は、非常に重く、壁や床にキズがつきやすいので、取扱いには十分に注意が必要です。

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仏壇の引越しは一部のものを除いて業者が対応している

OKサインを出す引越し業者女性オペレーター

訪問見積もりで引越し業者の営業員に確認する

引越し業者は、一般家庭用の仏壇であれば、たいていのものを運んでくれます。

一般のお客さまの目で見て「このくらいは大丈夫だでしょ?」と思うようなサイズであれば、まず大丈夫です。

また、「ちょっとこのサイズはどうかしら?」と思うようなサイズでも、運べる場合もあります。

ですから、ちょっと大きめのサイズでも、諦めずに引越し業者の営業員に現物を見てもらって、見積もりを取ってみましょう。

なお、仏壇は、現物を見てみないと、運べるかどうかの判断が難しいので、引越し業者の中には、電話だけの見積もりをしてくれない業者もいます。

高価な仏壇の引越しは断られることもある

仏壇の中には、数百万や一千万円を超えるものもあります。

このような高価な仏壇は、「特殊な管理を要する」(標準引越運送約款第4条第2項第3号)もの扱いとなることがあります。

標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(第1号、第2号省略)
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(第4号省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

実際、大型の仏壇は非常に重く、「持っていい箇所」しかもってはいけないもので、これ以外の箇所を持ってしまうと、あっさり壊れます。

このような仏壇は、普通の引越し業者では運搬するノウハウがないため、運搬を断られることがあります。

また、仏具についても、高価なものについては、同じ理由で運搬を断られることがります。

美術品・骨董品レベルの仏具の引越しも断られることもある

特に、古い仏具は、「美術品、骨董品等」(標準引越運送約款第4条第2項第3号)に該当する可能性があるため、さらに断られる可能性が高いです。

標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(第1号および第2号省略)
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(第4号省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

仏壇・仏具は補償の対象外となることも

なお、仏壇・仏具が高価で特殊な管理を要する(標準引越運送約款第4条第2項第3号)にもかかわらず、その旨を伝えることなく仏壇・仏具に事故が発生した場合は、補償の対象外となります(標準引越運送約款第24条第1項)。

標準引越運送約款第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

より正確には、実際に事故が発生した場合、「当店がその旨を知って引き受けた」かどうが問題となります。

つまり、引越し業者が、仏壇・仏具が特殊な管理用を要する荷物だと「知っていたかどうか」という点がポイントです。

見積書に「壊れやすい特殊な荷物」であることを明記してもらう

たいていは、仏壇・仏具に事故があれば、お客さまとしては、引越し業者が「仏壇・仏具が特殊な管理用を要する荷物」であることを「知っていた」と主張しますし、引越し業者は「知らなかった」と主張します。

これは、事前にお客さまが「この仏壇・仏具は特殊な荷物で壊れやすいですから気をつけてください」と、口頭で伝えていたとしても、一緒です。

こうした重要なことは、口頭で伝えても証拠が残りませんので、結局、水掛け論になるだけです。

仏壇に関しては、仮にお客さまが伝えていなかったとしても、さすがに引越し業者が「特殊な管理用を要する荷物」であることを知らなかった、という主張は通らないと思います。

ただ、仏具に関しては、素人目には美術日・骨董品レベルとは気づかない可能性が高いです。

ですから、万が一、高価な仏壇・仏具に事故があっても、しっかりと補償を受けられるようにするに、客観的な証拠となる見積書に、「壊れやすい特殊な荷物」であることを明記してもらってください。

【準備1】引越し前と引越し後にお寺の和尚に「手続き」をお願いする

和尚

引越し前に「魂抜き」「お性根抜き」「閉眼供養」「遷仏法要」をする

仏壇は、他の荷物の引越しとは違って、単に物理的に移動すればいい、というものではありません。

仏壇の引越しでは、引越しの前と引越しの後に、仏教上必要とされる、一定の「手続き」をしなければなりません。

引越し前の「手続き」は、宗派によって呼び方が違いますが、「魂抜き」「お性根抜き」「閉眼供養」「遷仏法要」などといいます。

引越し元(旧居・積地)では、あらかじめこのような手続きを経たうえで、引越しをします。

引越し後は「魂入れ」「お性根入れ」「開眼供養」「入仏法要」をする

引越し後の「手続き」は、同様に、「魂入れ」「お性根入れ」「開眼供養」「入仏法要」などといいます。

これらの手続きは、引越し先(新居・卸地)で仏壇を設置した後におこないます。

いずれの手続きも、和尚に読経をしてもらい、お布施をお渡しします。

お布施の相場については、地域差があり、かなりバラつきがあるようです。

詳細な段取りについては、和尚と打ち合わせのうえ、引越しの当日までには移動に必要な「手続き」をすべて終わらせておいてください。

【準備2】 仏壇の引越しの準備では中身は必ず空にする

お位牌

仏壇は中身入りでは引越しできない

次に、仏壇の準備ですが、御本尊(仏像)やお位牌は、当然ながらお客さまがご自分で運ぶことになります。

おそらく、引越し業者に運んでもらおうとしても、断られるでしょう。

また、他の仏具なども、仏壇から出して、必ず段ボールに入れて梱包してください。

仏壇は一般の家具よりも高価なものですし、ものによっては非常に重いものです。

ですから、仏壇に入ったままの状態では、仏壇・仏具は、絶対に引越し業者に運んでもらえません。

梱包に自信がない場合は引越し業者にお願いする

なお、仏具の中には、複雑な形のものや、割れやすいものもあります。このような仏具は、非常に梱包がしにくいものです。

また、お客さまが仏具を梱包した場合に、梱包のミスによって仏具が破損したときは、補償の対象外となります(標準引越運送約款第23条第8号)。

第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(第1号から第7号まで省略)
(8)荷送人又は荷受人等の故意又は過失
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

このため、高価な仏具がある場合や梱包に自信がない場合は、引越し業者に梱包をお願いしてください。

引越し業者のスタッフが梱包した場合は、事故があっても補償対象となります。

参照:これで簡単に引越しできる!業者に梱包をしてもらう梱包サービス

【注意】仏壇の引越しでは設置場所の壁・作業場所の床のキズに注意

注意喚起

仏壇は引越しの荷物の中でも最も重い荷物のひとつ

仏壇は、サイズにもよりますが、とにかく重い荷物です。

仏壇はいわゆる無垢の板(合板ではない一枚板)で出来ていますから、一般的な家具よりも相当重くなります。

大型の仏壇となると、家族向けの冷蔵庫や金庫よりも重い、というレベルになります。

しかも、仏壇は単に重いだけではありません。とても持ちにくく、運びにくい荷物でもあります。

冷蔵庫やタンスのように、「重いけども持ちやすい」というわけにはいきません。

仏壇=重くて持ちにくい=事故が起こりやすい

このように、仏壇は、重いために、ちょっとした接触で、壁や床にキズやヘコみができやすい、という特徴があります。

また、仏壇は、持ちにくいために、接触も起こりやすい、という特徴もあります。

サイズが大きい仏壇であれば、なおのこと廊下や階段の壁などに接触しやすくなります。

キズやヘコみができるのは、壁や床だけではありません。

仏壇自体も、装飾がされている部分は、ちょっとした接触でも、壊れてしまうことがあります。

狭い仏壇の設置場所は特に壁のキズ・ヘコみに注意

仏壇は、非常に狭い設置場所に置くことがあります。

一戸建ての場合も、マンションの場合でもそうですが、内装を独自に設計した場合は、スッポリと収まる場所に仏壇を設置することがあります。

実は、このような「収まりがいい」設計は、引越し業者のスタッフとしては、非常に厄介な設計です。

このようなスッポリと収まる設置場所は、非常に作業がしにくく、引越し業者のスタッフの経験が浅い場合は、仏壇を壁や床に接触させがちです。

このため、仏壇自体と、仏壇周囲の壁、床、設置場所、作業場所などのキズ・ヘコみに注意してください。

参照:これで引越し業者との補償交渉もバッチリ!引越しの事故の対処7つポイント

参照:引越しでの壁のキズ・凹み・汚れは写真撮影・その時その場の補償交渉が重要

参照:スムーズに業者と補償交渉できる!引越しの床・階段・畳のキズ・ヘコみ・汚れへの対策

参照:家具・冷蔵庫の引越しでは写真撮影でキズ・ヘコみ対策をする

【補足】仏壇の引越しは資材の変更で料金を安くなる?

OKサインを出す主婦

引越し業者は失礼にならないように新品の使い捨て資材を使う

仏壇は引越し業者が梱包しますので、お客さまが梱包する必要はありません。

仏壇の中身を取り出したら、あとは、すべて引越し業者のスタッフにまかせてください。

仏壇は、新品の使い捨ての資材(板ダンボール、巻きダンボール、気泡緩衝材など)で厳重に梱包します。

このような新品の使い捨て資材を使うのは、普段使っている耐久資材を使うのは、お客さまやご先祖様に対して失礼だから、という理由があります。

また、仏壇ほどの重い荷物だと、布製の耐久資材では、ほとんど仏壇自体や壁・床の保護や事故の防止にはならない、という実用的な理由もあります。

引越しの料金・費用は使い捨ての資材を使わなければ安くなる

もちろん、使い捨ての資材を使うと、資材の分だけ、料金が高くなります。

このため、もし耐久資材を使うことに抵抗がない場合は、その旨を引越し業者の営業員に伝えて、料金・費用を安くしてもらうように交渉してださい。

引越し業者によっては、交渉に応じて、料金・費用を安くしてくれる可能性もあります。

もっとも、すでに述べたように、事故の防止という意味では、使い捨ての資材を使わざるを得ない、ということもあります。

このため、引越し業者としては、使い捨ての資材でないと対応してもらえないこともあります。

【Q&A式】まとめ

いかがでしたか?最後にもう一度、仏壇・仏具の引越しの準備と注意点について確認しておきましょう。

そもそも引越し業者って仏壇の引越しもしてくれるの? よほど大型の仏壇や高価な仏壇でもない限り、引越し業者は、ほとんどの仏壇を運んでくれます。
引越し業者は仏具も運んでくるれるの?2 仏具も、よほど高価なものや、美術品・骨董品レベルのものでもない限り、引越し業者は、運んでくれます。
仏壇・仏具の引越しの見積もりの注意点は? 電話での見積もりではなく、必ず引越し業者の営業員に訪問見積もりをお願いしてください。実際に営業員に現物の仏壇・仏具を見てもらわないと、引越し業者が対応できるかどうかの判断がつきません、

また、高価な仏壇・仏具や美術品・骨董品レベルの仏壇・仏具の場合は、必ず営業員に伝えたうえで、見積書に、仏壇・仏具が高価または美術品・骨董品レベルのものであることを書いてもらってください。

そうしないと、万が一、仏壇・仏具に事故があっても、補償の対象外となることがあります。

仏壇って、他の家具みたいに引越ししちゃっていいの? 仏壇は、引越しの前と後で、引越し元(旧居・積地)と引越し先(新居・卸地)で、それぞれ仏教の「手続き」が必要です。

引越し元(旧居・積地)での手続きは、「魂抜き」「お性根抜き」「閉眼供養」「遷仏法要」といい、引越し先(新居・卸地)での手続きは、「魂入れ」「お性根入れ」「開眼供養」「入仏法要」といいます。

いずれも、檀家になっているお寺の和尚に来てもらってする「手続き」ですので、詳しくはお寺にお問い合わせください。

仏壇の引越しの準備って、何をしたらいいの? 中身をすべて取り出してください。

ご本尊やお位牌は、引越し業者ではなくお客さまご自身で運ぶことになりますが、それ以外の仏具は、ダンボールに梱包してください。

仏具って壊れやすそうで心配なんだけど、引越しの作業で仏具が壊れたら補償してもらえるんですよね? お客さまが梱包した仏具は、原則として補償対象外です。ですから、不安な場合や梱包に自信がない場合は、引越し業者に梱包をお願いしてください。

引越し業者の梱包で仏具に事故があった場合は、補償対象となります。

参照:これで簡単に引越しできる!業者に梱包をしてもらう梱包サービス

仏壇の引越し中の運搬作業で注意することは? サイズにもよりますが、仏壇は、非常に重いうえに、持ちにくい荷物です。このため、壁や床への接触による事故が起きやすい、という特徴があります。

狭い廊下や階段を通る場合や、スッポリと収まる場所に設置する場合は、特に壁への接触による壁のキズ・ヘコみに注意してください。

参照:これで引越し業者との補償交渉もバッチリ!引越しの事故の対処7つポイント

参照:引越しでの壁のキズ・凹み・汚れは写真撮影・その時その場の補償交渉が重要

参照:スムーズに業者と補償交渉できる!引越しの床・階段・畳のキズ・ヘコみ・汚れへの対策

参照:家具・冷蔵庫の引越しでは写真撮影でキズ・ヘコみ対策をする

仏壇の引越し料金・費用を安くする方法は? 安い耐久資材(=使い回しの資材)を使うようにお願いすると、料金・費用が安くなる可能性はあります。

引越し業者は、お客さまやご先祖様に失礼のないように、仏壇の引越しでは、新品の使い捨て資材を使って梱包します。

この新品の使い捨て資材を使い回しの耐久資材に変えることで、多少は引越しの料金・費用が安くなることがあります。

実は、仏壇の引越しそのものは、それほど件数が多いわけではありません。

管理人も、約8年間の引越し業者での勤務で、それほど多くは扱ったことがありません(100件もないと思います)。

特に、地方の城下町の支店ではそこそこ扱ったことがありますが、都市部の支店では数えるほどしか扱っていません。

管理人の勤務先だった引越し業者は、誰でも知っているような有名な大手引越し専門業者でしたが、その大手の業者ですら、仏壇の引越しはあまりないのが実態です。

ただ、本文でも触れたとおり、仏壇は、非常に取扱いが難しい荷物で、取扱いの実績が少ない引越し業者にまかせていいものではありません。

仏壇を安全安心・無事に引越しするには、よほど経験を積んだベテランのスタッフが1人はいないといけません。

仏壇の引越し件数は少なくなっているとはいえ、過去に仏壇の引越しを経験したスタッフが多くいる大手引越し専門業者であれば、安心して仏壇をまかせられます。

ご先祖様を祀る大切な仏壇だからこそ、料金・費用の安さよりも、無事に引越しできるかどうかのほうが重要ではないか、と管理人は考えます。

ですから、仏壇の引越しのときは、他の業者よりも仏壇の引越しの取扱いの経験が多く、サービスの品質も高い、大手引越し業者の利用をオススメします。

仏壇の引越しを検討中のお客さまは、今すぐ、無料一括見積もりサービスで、複数の大手引越し業者から相見積もりを取って、少しでも引越しの料金・費用を安く抑えて引越しをしてください。