冷蔵庫は、他の家電製品とは違って、事前にたくさんの準備が必要です。

例えば、調味料や食材の処分・消費などで中身をすべて出したり、前の日にコンセントを抜いておく、などです。

これらの準備をしていないと、引越し当日に非常に時間がかかってしまいます。

また、冷蔵庫は、一般家庭の荷物の中では、最も重いもののひとつです。このため、冷蔵庫本体と、建物の壁、床、階段などのキズ・ヘコみに注意が必要です。

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冷蔵庫の中身はすべて出しておく

冷蔵庫は、引越しの前日までに空にします(後述のように、前日にはコンセントを抜いておく必要があります)。

冷蔵庫は、非常に大きいため、傾けたり倒したりして持ち替えながら運びます。この際、中身が入っていると、散乱してしまいます。

ですから、中身を空にしておく必要があります。

冷蔵庫に入っていた食材や調味料は、基本的には使い切って消費したほうがいいです。

使い切らずに余ってしまった食材や調味料は、当然、荷物になります。

これらは、腐ったり溶けたりしないように、冷蔵できるバッグなどに梱包して、当日運ばなければなりません。

また、液体の調味料やジュース・お茶などの飲料は、割れないように梱包しないといけません。

これらの梱包や引越し先(新居・卸地)での開梱の手間の手間を考えると、使い切ったうえで、新しく引越し先(新居・卸地)で買ったほうが手間が省けます。

また、特に液体の調味料や飲料は非常に重く、液漏れのリスクあるため、わざわざ運ぶメリットは少ないと思われます。

このように、冷蔵庫の中身は、引越しの前日までに、計画的に消費する必要があります。

ですから、引越しが決まった場合、普段の買い物でも、長期間冷蔵庫で保存する食材や調味料の購入は控えるようにしましょう。

使いきれなかった場合や消費しきれなかった場合は、他人に差し上げたり、捨てることも検討してください。

なお、たまに冷蔵庫に貴重品を保管しているお客さまがいらっしゃいますが、当然ですが、これも出しておいてください。

通常、引越し業者のスタッフは、冷蔵庫の中身が空であることを確認したうえで搬出しますが、忙しい作業の中で、確認を忘れてしまう場合もあります。

貴重品が入ったまま冷蔵庫が搬出されてしまって、万が一その貴重品が紛失してしまった場合は、補償の対象外となる可能性があります(標準引越運送約款第24条第2項)。

第24条(引受制限荷物等に関する特則)
(第1項省略)
2 貴重品、壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物(第4条第2項各号に掲げるものを除く。)については、荷送人が第8条第1項の規定によるその有無の申告をせず、かつ、当店が過失なくしてその存在を知らなかった場合は、当店は、運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた当該荷物の滅失若しくはき損又は当該荷物により生じた他の荷物の滅失、き損若しくは遅延について、損害賠償の責任を負いません。
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

冷蔵庫の中の貴重品は意外に忘れがちですので、特に注意してください。

冷蔵庫は前日からコンセントを抜いておく

冷蔵庫は、前日の夕方(地域にもよりますが、冬は昼過ぎ)くらいから、コンセントを抜いておいてください。

一般的な冷蔵庫には、水分が溜まっています。この水分は、トラックの荷台で漏れ出して事故や荷物の汚れの原因になります。

このような事故や荷物の汚れが発生しないように、引越し業者は、搬出前に冷蔵庫の水抜きをします。

この際、直前まで電源が入っていると、冷凍庫の霜や氷の融けないままの状態となってしまいます。

このような場合、トラックで運搬中に霜や氷が融け出してしまい、事故や荷物の汚れが発生することがあります。

また、引越し先(新居・卸地)で水が垂れてきて、床や畳が汚れることもあります。

ですから、冷蔵庫の電源を前日に抜いて、冷凍庫の霜や氷を融かしておいてください。

必ずキズの確認と写真撮影をする

冷蔵庫は非常に重く、しかも金属製のため、ヘコみやすいものです。

特に、幅が広いため、廊下の突き出ているドアノブに接触して、凹んでしまうことがよくあります。

このため、事故が起こる場合に備えて、事前に拭き掃除などをして、必ずキズやヘコみを確認し、フィルム式のカメラで写真を撮影しておいてください。

この写真が、「引越しの前はキズやヘコみがなかった」証拠になります。

また、冷蔵庫は、壁への接触によって、トラブル・事故になりやすい荷物でもあります。

このため、併せて、事故が起こりやすい場所(特にに曲がり角)の壁の写真もカメラで撮影しておいてください。この写真も、同じように証拠になります。

なお、冷蔵庫は、たいていはキャスターがついていて、前後に動かすことができます。

ただ、冷蔵庫自体が非常に重いため、下手にキャスターで動かすと、床にキズがついたり床が凹んだりすることがあります。

このため、特に冷蔵庫の設置場所がフローリングの場合は、床のキズ・ヘコみを確認して、フィルム式のカメラで床の写真も撮っておいてください。

このような写真がない場合、引越し業者との補償交渉の際にお客さまにとって有利な主張が難しくなります。

冷蔵庫の設置直後は電源を入れない

古い年式の冷蔵庫には、設置直後に電源を入れると、故障するものがあります。

このため、冷蔵庫は、設置が終わった後でも、すぐには電源を入れずに、設置から1時間から2時間程度は経ってから電源を入れるようにしてください。

なお、この点について、最新式の冷蔵庫については、特に問題がないものもあるようです。

ただ、これは運搬の状態によりますので、どんな冷蔵庫でも問題ないというわけではないようです。

このため、どんな新しい冷蔵庫でも、やはりある程度は時間をおいてから電源を入れるようにしてください。

引っ越し直後に冷蔵庫に電源を入れてしまうと、コンプレッサーが破損してしまいます。

こうなると修理では対応が難しくなり、最悪の場合、買い換えなければならなくなります。