「宅配便とかの物流をやってる引越し業者って、専門でやってる引越し業者とどう違うの？」と疑問に思ったことはありませんか？
こんにちは。大手引越し専門業者に勤め、繁忙期には、よく大手物流兼業業者と共同で引越しをしていた、元引越し業者スタッフの管理人です。
大手物流兼業業者は、引越し以外（特に物流・宅配便）の運送業としてのサービスも兼務する大手運送業者です。
大手専門引越し業者とは異なり、引越しを専門としていません。このため、サービスの品質にバラつきがある、という特徴があります。
その反面、全国の物流拠点と運送システムにより、引越し専門業者では提供できないサービスも展開しています。
これらの物流事業から派生した低価格でのサービスを提供している点も、大手物流兼業業者の特徴です。
大手引越し専門業者とは異なり、必ずしも品質は安定しませんが、利用のしかたによっては、比較的安い料金で利用できる場合もあります。
特に、単身・小規模の引越しの際には、お勧めです。
大手物流兼業業者ならではの物流インフラを活用したサービス
引越し業者の中でも最も多種多様なサービスを提供
大手物流兼業業者は、一般的には、物流事業を専門としていた運送業者が、引越し事業にも進出することでサービスを提供しています。
サービス提供の主体としては、その物流事業の業者の本体が直接引越し事業を展開する場合と、子会社が事業を展開する場合とがあります。
大手物流兼業業者は、全国に張り巡らせた物流拠点と運送システムを駆使して、幅広い引越しサービスを提供しています。
通常の近距離の引越しに加えて、遠距離の引越し、長距離混載便、航空便、海外への引越し、単身パックなど、その種類は、たくさんあります。
引越し業者としては、最も種類の多いサービスを提供しているといえるでしょう。
業者によってサービスの品質はバラバラ
ただし、大手物流兼業業者のサービスの品質は、その業者の引越し事業の位置づけによって、バラつきがあります。
もちろん、引越し事業に力を注いでいる業者であれば、問題ありません。
ただ、物流業務の片手間で事業を展開している引越し業者であれば、サービスの品質が劣る可能性があります。
このため、このような引越し業者の利用は、なるべく避けるべきです。
単身・小規模の引越しにおすすめ
専用カーゴで一人暮らし・単身の引越しをサポート
大手物流兼業業者は、全国に物流拠点を設け、毎日、大型トラックやトレーラーを稼働させています。
このようなインフラや体制は、引越しを専門としている専門業者にはない大きな利点です。
大手物流兼業業者は、これらの物流拠点や長距離を移動する大型トラックやトレーラーを利用して、単身パックを提供しています。
単身パックは、物流用のカーゴ（荷物を積み込む専用のカゴのようなもの）に引越しの荷物を積み込んで運ぶサービスです。
単身パックは「ちょっと大きな宅配便」
カーゴに荷物を積み込むことで、引越しの荷物は、いわば「ちょっと大きな宅配便」となります。
このように、引越しの荷物をカーゴに積むことで、トラックに混載して運ぶことができます。
つまり、その単身パックでの引越しでは専属トラックが必要なくなります。
これが単身パックの料金・費用の安さのポイントです。
一人暮らし・単身の場合は、家具がない場合は、このカーゴ1つでほとんどの荷物を積むことができます。
単身用の冷蔵庫や洗濯機がある場合であっても、カーゴ2つもあれば、たいていの荷物は運ぶことができます（ただし、ベッドを積むことはできません）。
単身パックは料金・費用が安い
このように、単身パックは、他の荷物と混載して運ぶことで、料金を安く抑えることができます。
これは、常に物流用のトラックを稼働させている物流業者にしかできないサービスです。
一部の大手専門引越し業者の中には、単身パックを展開している場合がありますが、たいていは、取扱い地域が限定されています。
このように、一人暮らし・単身の場合は、単身パックを利用することで、大手引越し専門業者に比べて、料金を安くすることができます。
物流業者ならではの長距離混載便は料金・費用が安い
長距離混載便でトラック・人件費・ガソリン代・高速料金をシェアしてコストダウン
大手物流兼業業者は、単身パック同様、常に稼働させている長距離の大型トラックを利用して、引越しの荷物を混載して運んでくれることもあります。
「混載」とは、文字通り、荷物を混ぜて載せることです。
つまり、他の複数の引越し先（新居・卸地）の方向が同じお客さまと1台の大型トラックの荷台をシェアして、荷物をまとめて積込むことです。
「そんなことをすると荷物が混ざってしまうんじゃないの？」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。
しっかりとコンパネ（ベニヤ板）で仕切るため、滅多にそういう事故は起こりません。
原則として長距離の引越しにしか対応していない
混載便は、1日で引越しが終わるような近距離の引越しでは利用されることは、ごく稀にしかありません。
というのも、複数のお客さまの荷物を扱うため、複数の場所での積み降ろし作業が発生します。
ですから、何日かに分けて積み下ろしができる、長距離便でしか対応していません。
このように、複数のお客さまの荷物を積込む長距離の混載便を利用すると、トラックの荷台をシェアできます。
その結果、各種費用（ドライバーの人件費・ガソリン代・高速料金など）もシェアできますので、引越しの料金・費用を安く抑えることができます。
少ない荷物の長距離の引越しでは長距離混載便も検討する
荷物を混載する以上、積める荷物の量は限られます。
トラックの大きさにもよりますが、せいぜい2人分（+子供1～2人分）の荷物が限界でしょう。
大手物流兼業業者は、長距離混載便では自前のトラックを使うため、外注のトラックを使う大手引越し専門業者に比べて、料金は安くなる場合が多いです。
このため、長距離で小規模の引越しの場合は、大手物流兼業業者の長距離混載便を検討してみてください。
繁忙期の引越しでは系列会社社員による作業に注意
繁忙期の大手物流兼業業者の引越しサービスの利用は避けるべき
大手物流兼業業者では、グループ全体で多くの社員を抱えています。
このため、お客さまからのご依頼件数が多くなる繁忙期（2月下旬・3月・4月中旬）では、これらの系列会社の社員が作業を担当することがあります。
この場合、その社員、つまり「普段は引越しの作業をしていない社員」による作業の品質が問題となることがあります。
引越しのサービスは、一般的な物流事業での運搬作業とは違って、ある程度の能力と経験を必要とします。
引越しは体力だけではできない
普段は他の物流事業で作業をしている社員の場合、体力がある、という点では問題はないかもしれません。
しかし、このような社員は、必ずしも引越しの作業の能力や技術のレベルが高いとは限りません。
このため、このような社員による引越し作業が事故の原因となることもあります（むしろ、下手に体力があるからこそ事故が起こる場合すらあります）。
特に、トラックのドライバーが物流での積み込みしか経験がない場合、パズルのように複雑な引越しの積み込みに対応できないことがあります。
これが荷物の落下や荷崩れなどの原因となりますので、注意してください。
中規模以上（家族）の引越しには大手業者との相見積もりを
中小規模の引越し業者との相見積もりは難しい
中規模以上、特に家族の引越しの場合、大手物流兼業業者であっても、提供しているサービス内容は他の引越し業者とあまり変わりません。
このため、一人暮らし・単身よりも荷物が多い場合（2人家族以上の、おおむね2トントラック以上の荷物がある場合）は、積極的に相見積もりをおこなってください。
ただし、この場合であっても、大手引越し専門業者と同様、安さや低価格を売りにしている中小の引越し業者との相見積もりは、嫌われる可能性もあります。
大手物流兼業業者も、いくら兼業しているとはいえ、大手企業として品質やサービスの独自性・差別化で勝負しています。
ですから、中小の引越し会がとの、単なる価格競争にはあまり応じてもらえません。
このため、相見積もりは、大手引越し専門業者や大手物流兼業業者同士でおこなってください。
まとめ
以上のように、単身の引越しや小規模な引越しの場合には、大手物流兼業業者がオススメです。
これは、単身・小規模な引越しは、それほど難しい引越しではなく、荷物も、いわば「物流の荷物の延長」のようなものです。
特に、単身パックの荷物は、「大きな宅配便」みたいなもので、物流会社が最も得意とするところです。
また、中規模な引越し（家族2～3人程度）の引越しでも、それほど引越し専門業者との品質の差は出ません（ただし、繁忙期は別です）。
ですから、単身・小規模・中規模な引越しの場合は、大手物流兼業業者の引越しサービスも、検討するべきでしょう。
他方、大規模な引越し（家族4人～）や、繁忙期での単身パック以外の引越しでは、やはり引越し専門業者のほうが一枚上手です。
もっとも、3月末の年間で最も引越し業者の利用件数が増える時期は、どの会社もサービスの品質は最も低くなります。
そういう、悪い意味でサービスの品質に差が出なくなります。
このように、荷物の量や時期によって、大手物流兼業業者がオススメできるかどうかは変わってきます。
大手物流兼業業者のご利用を検討される際には、参考になさってください。
