「軽トラックを使ってる引越し業者もあるみたいだけど、あれって普通のサイズのトラックを使ってる引越し業者と何が違うの?」と疑問に思ったこと、ありませんか?
こんにちは。大学生のころ、一時期は軽トラックの専属ドライバーという、喜んでいいのやら、情けないやらの複雑な立場だった、元引越し業者スタッフの管理人です。
軽貨物引越し業者は、軽トラックを利用した、主に単身・小規模向けのサービスを専門とした引越し業者です。
特徴としては、格安の料金で利用できます。他方、当然ながら多くの荷物は扱うことができません。
また、一般的な軽トラックの運送業者は引越し専門ではないことがほとんどですので、品質は問題があることもあります。
このため、非常に利用のしかたが難しい引越し業者ですが、荷物が少なく、かつ、重い荷物がない場合は、格安で利用することができます。
軽貨物運送業者は本当に「引越し業者」か?
黄色ナンバー=モグリの業者に要注意
軽貨物運送業者は、正確には、「貨物軽自動車運送事業者」といいます。
貨物軽自動車運送事業は、通常の運送業と同じで、貨物自動車運送事業法にもとづく許可が必要な事業です。
貨物軽自動車運送事業の許可を受けた軽トラックは、いわゆる「黒ナンバー」(=黒地に黄色文字のナンバープレート)を付けています。
この点について、貨物軽自動車運送事業の許可を取得していない、いわゆる「モグリ」の業者もいます。
このようなモグリの業者は、「黄色ナンバー」(=一般の軽自動車と同じ黄色地に黒文字のナンバープレート)の軽トラックを使用しています。
このような違法行為をおこなう業者は法律を守らない=悪質業者であるといえますので、注意してください。
純粋な引越し専門の軽貨物運送業者は少ない
軽貨物運送業者は、一部の専門業者を除いて、他の運送業務(特に貨物配送)を兼業しています。
このため、片手間で引越し事業をおこなっている軽貨物引越し業者の場合は、サービスの品質に問題がある可能性があります。
そもそも、軽トラックは荷台が狭く、高さも不十分であるため、積み込むことができる荷物の種類・量に大幅な制限があります。
このような事情から、一般的な引越し業者は、軽トラックを使いません。
このことから、軽貨物引越し業者は、純粋な意味で「引越し業者」とはいえません。
もちろん、営業力があって、小規模の引越しを専門としている業者は別ですが。
貨物の配送と引越しは別物
引越し作業の経験は乏しい
軽貨物運送業者の中には、貨物の配送業務を専門としていることがあります。このような業務と引越しのサービスとは、似て非なるものです。
具体的には、扱う荷物の重量と形に大きな違いがあります。また、引越作業は、一般家庭の屋内という非常に狭い中での作業となります。
このため、引越しのサービスには、それ相応の経験と能力が必要とされます
軽貨物引越し業者の中には、このような引越し作業に慣れていないことあります。このため、事故などがおこりやすい傾向があります。
管理人の経験では、一般家庭の屋内での作業に慣れていないために、軽貨物運送業者のスタッフの方が、作業が極端に遅かったり、荷物を壁に接触させたりするようなことがありました。
また、軽貨物を扱うことが多いためか、現場のリーダーよりも明らかに年齢が高い年配のスタッフの方が多く、非常に扱いづらい、という問題点もあります。
トラックへの積み込み作業が問題となることも
また、軽貨物運送業者は、トラックへの荷物の積み込みがあまり得意でないことが多いです。
引越しの荷物をトラックの荷台への積み込む作業は、パズルのような複雑な作業です。
同じサイズのダンボールを積み込む物流の荷物の積み込み作業よりは、明らかに難しい作業です。
また、宅配用の荷物のような、どこからでも取り出せるように、上の部分をあえて空けておく積み込み方とも違います。
引越しの荷物の積み込みは、スペースを無駄にせず、パズルのように隙間なく積み込まなければなりません。
隙間なく上手に積み込まないと、運送中に落下事故が発生することもあります。
引越しの料金・費用は格安
軽貨物運送業者は価格のみで勝負
軽貨物引越し業者は、一部を除いて、営業力や知名度が圧倒的に低い傾向があります。
もちろん、インターネットなど、比較的費用がかからない営業や広告の努力はしていますが、さすがに大手引越し会社に比べると低いと言わざるをえません。
また、経営資本が弱いため、品質の追求や人材教育も限定的です。
このため、安さ・低価格を売りにしていることが多く、引越し料金・費用は格安です。
ある意味では、最も安い引越し料金・費用を提示してくれる可能性があるといえます。
引越しの料金・費用が安いだけに補償交渉のリスクが高い
ただし、もとからかなり安い料金・費用を提示されることが多いため、それ以上の値引き交渉は難しいこともあります。
当然、安いものには、それなりのリスクがあります。
すでに述べたとおり、品質に問題がある可能性があるのはそうですが、問題は、その品質によって事故があった場合の対応です。
軽貨物引越し業者は、経営資本が弱く、場合によっては、法人ですらなく、個人事業者であることもあります。
このため、事故が発生した場合、ほかの引越し業者(特に大手の引越し業者)と比べて、補償交渉が難航する可能性が非常に高いです。
一人暮らし・単身の地場(近距離)引越しの場合は検討
重い大型荷物・家具・家電遺品がない場合は最有力候補?
軽貨物引越し業者は、家具・大型家電製品などの重い荷物が少ない場合に検討してください。
というのも、引越しの際に最も事故が発生しやすい作業が、家具・大型家電製品の運搬だからです。
このようなに、家具・大型家電製品は、もともと事故が発生しやすい荷物です。
そのうえ、軽トラックを使っている軽貨物引越し業者にとっては、あまり扱い慣れていない荷物であるため、なおのこと事故が発生しやすくなります。
このため、あまり重い荷物がない一人暮らし・単身の場合に検討してみてください。
一人暮らし・単身の場合は、重い荷物は、せいぜい冷蔵庫・洗濯機程度のものですので、おすすめです。
ただし、最近の洗濯機は、性能の向上に伴い、昔の洗濯機に比べてかなり重たくなっています。
このため、扱い慣れてない軽貨物運送業者のスタッフでは、扱いきれない可能性もあります。
逆に重い荷物だけ(家具・大型家電製品だけ)の引越しでは、軽貨物運送業者の利用は避けるべきです。
長距離の引越しには向かない
なお、軽貨物運送業者は、(スタッフが日帰りできない)長距離の引越しには向いていません。そもそも、対応していないことがほとんどです。
軽貨物運送業者は、軽トラック1台にスタッフ兼ドライバーが1人という場合がほとんどです。これは、荷物の積載量=引越し料金当たりの人件費が高くつきます。
このような人件費が高い状態で長時間の移動が伴うということは、それだけコストも高くなります。
このような事情があるため、せいぜい1日で終る引越しにしか向いていません。
まとめ
軽貨物運送事業者は、お客さまの立場では、非常に扱いづらい引越し業者です。
ただ、ごく限られた条件ではありますが、非常に安い料金で利用することができます。
その条件とは、以下の「すべて」です。
- 軽トラックに収まるほど荷物が少ないこと
- 大型の家具・家電製品がないこと(または冷蔵庫・洗濯機くらいしかないこと)
- 1日で作業が終わる程度の距離の引越しであること
- 補償がされるのであれば多少の事故があっても構わないこと
このような条件を満たす引越しの場合は、軽貨物運送業者の利用を検討してもいいでしょう。
具体的には、高校を卒業して、大学への進学や就職の際の比較的近くの都道府県への引越し、大学生の引越し、単身赴任の引越しなどが考えられます。