「ダンボールに何も書かなかったら、引越し先で何が入ってるかわからなくて、とても引越しに時間がかかった…。」そんな経験ありませんか?
こんにちは。引越し先(新居・卸地)で、未記入のダンボールを見ると、不安な気持ちになる、元引越し業者スタッフの管理人です。
引越しの荷造りの際、ダンボールには、さまざまな必要事項を記入します。
これは、お客さまご自身が、ダンボールを開けなくても中身を把握できるためです。
…が、それ以上に、引越し業者のスタッフが、引越し先(新居・卸地)のどの部屋・どの場所にダンボールを運ぶかが、一瞬でわかるようにするためです。
一部の大手引越し専門業者のダンボールには、ダンボールに記入するべき内容があらかじめ印刷されています。
この場合は、印刷内容にしたがって荷物の内容や引越し先(新居・卸地)の搬入先(部屋)を記入したり丸で囲んだりするだけで済みます。
ただ、多くの引越し業者のダンボールや、自前で購入・用意したダンボールには、何も書かれていません。
ですから、このようなダンボールには、ご自分で必要事項を記入しなければなりません。
ダンボールに記入する必要事項は、以下の4点です。
- 引越し先でダンボールを搬入する部屋・場所
- 中身の荷物
- (割れ物の荷物の場合は)「われもの」「ワレモノ」
- (すぐ使う荷物の場合は)「すぐ使う」
【必要事項1】引越し先でダンボールを搬入する部屋・場所
ダンボールに搬入先が書かれていると早く引越しが終わる
ダンボールには、引越し先(新居・卸地)のどの部屋・どの場所に搬入するのかを、明記しておいてください。
これは、最低限の必須事項です。
当たり前ですが、ダンボールを搬入する際、引越し業者のスタッフは、ダンボールを置く場所をお客さまに聞きます。
勝手にその辺に置くことはありません。
この際、あらかじめダンボールに搬入先が書いていれば、いちいちお客さまに聞かずに済みます。
ダンボールに書かれた部屋に運ぶことで、引越し業者のスタッフは、引越し先(新居・卸地)で、スムーズにダンボールの搬入作業ができます。
ダンボールに搬入先が書いていないと確認に時間がかかる
逆に、ダンボールに引越し先(新居・卸地)の運び込む部屋が明記されていないと、お客さまにひとつひとつ確認しなければなりません。
単に確認するだけでも無駄に時間がかかりますが、ダンボールをどこに運ぶのかを決めていないと、運ぶ部屋・場所を決めなければなりません。
この「中身の確認」と「運ぶ部屋・場所の決定」の行程で、余計に時間がかかってしまいます。
もちろん、ダンボールの数が10~20程度であれば、ひとつひとつ運ぶ部屋を決めてもそれほど時間がかかりません。
ダンボールの数が多ければ多いほど時間がかかる
ただ、ダンボールの数が多い場合は、非常に時間がかかります。
この確認作業が、意外に(というかかなり)引越し作業を長引かせることになります。
運ぶ部屋どころか、中身も書いていない場合は、それこそ、いちいちダンボールを開けて中身を確認してから運ぶ部屋を決めることになります。
このようなことがないよう、最低限、引越し先(新居・卸地)での運ぶ部屋くらいは、ダンボールに書いておきましょう。
- 搬入先が書いているダンボール:引越し業者のスタッフがいちいちお客さまに確認しなくてもスムーズに部屋に運べる
- 搬入先が書いていないダンボール:運ぶたびにいちいちお客さまに確認を取る必要があるため引越し作業に時間がかかる
【必要事項2】ダンボールの中身の荷物
お客さま・引越し業者の両方のためになる
ダンボールには、中身の荷物の内容を記入します。
これは、お客さまご自身が荷物を開梱する際に、いちいち開けて調べなくてもいいようにするためです。
すでに述べたとおり、最低限、搬入先(新居・卸地)でダンボールを運ぶ部屋を書いていれば、引越しの作業そのものはスムーズにいきます。
引越し業者のスタッフにしてみれば、ダンボールの中身が何であるかは、それほど重要ではありません。
プライバシーの保護や、単に面倒だからという理由に、どうしても中身を書きたくない場合もあるでしょう。
こういう場合は、ダンボールの中身を書かなくてもかまいません。
それ以外は、中身を書いていたほうが作業をしやすいので、できるだけダンボールの中身は書いていてほしいのです。
中身が書いていないダンボールはトラックのドライバーが困る
というのも、引越し業者のトラックのドライバーは、ダンボールの中身を参考に、荷台での積み込み作業をおこないます。
具体的な例としては、一番下には重くて割れない荷物(主に本)が入ったダンボールを置きます。
その上に、重くて割れ物の荷物(主に食器)が入ったダンボールを積み、後は軽いダンボールを積んでいきます。
本と食器のダンボールは重さがほとんど一緒です。中身が書いていないと、どちらのダンボールを下に積むべきか非常に悩みます。
このような事情があるため、なるべくダンボールの中身は書いておいてください。
ブランド品・高級品・女性用下着などはあいまいに書く
ただし、ブランド品、高級品、女性用下着などは、そのまま正直に書いてしまうと、盗まれる可能性があります。
このような盗難・横領の被害に遭いやすい荷物は、中身がわからない書き方でダンボールに記入してください。
具体的には、「衣類」、「洋服」、「布製品」のように、抽象的な書き方がいいでしょう。
ただ、あとで説明するとおり、抽象的な書き方を中身を書いたとしても、ワレモノの場合は、「ワレモノ」と書いてください。
あまりに高価なブランド品・高級品などは運んでらえない
ブランド品や高級品は、あまりにも高価な場合は、そもそも引越し業者には運んでもらえない可能性が高いです。
第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(4)申込者が第8条第1項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第2項の規定による点検の同意を与えないもの
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
高価なブランドや高級品がダンボールに入っていることを伝えないと補償対象外
また、高価なブランド品や高級品がダンボールに入っていることを黙っていた場合に、そのダンボールが紛失しても、補償の対象外となります。
第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
通常、引越し業者のスタッフは、高価なブランド品や高級品を「知って引き受け」ることはありません。
ですから、このような荷物は、お客さまご自身で運んでください。
【必要事項3】(割れ物の荷物の場合は)「われもの」「ワレモノ」
トラックの荷台で割れにくい場所に積んでもらえる
食器などの割れ物を梱包したダンボールには、「われもの」「ワレモノ」と大きくハッキリ書いてください。
この際、後述のとおり、赤のマジックを使うといいでしょう。
もちろん、このように書いていないからといって、引越し業者のスタッフはダンボールを雑に扱うことはありません。
ただ、こうすることで、引越し業者のトラックのドライバーは、割れにくい場所に割れ物のダンボールを積み込むことができます。
割れ物かどうかの判断がつかない場合は、念のため、割れ物の明記をしてください。
例えば、プラスチック製のおもちゃなどは、割れやすいかどうかがはっきりしません。
このような荷物の場合は、引越し業者のスタッフに丁寧に扱ってもらうために、割れ物の明記をしてください。
もっと簡単な方法は「赤いガムテープ」でダンボールを梱包すること
「われもの」「ワレモノ」とわざわざマジックで明記しなくても、もっと簡単な方法があります。
それは、割れ物のダンボールに限って、赤いガムテープを使って梱包することです。
こうすることで、わざわざ「われもの」「ワレモノ」と書く手間を省けます。
もちろん、引越し業者のスタッフ(特にチームリーダーとトラックのドライバー)には、「赤いガムテープ=割れ物のダンボール」であることを伝える必要があります。
ちなみに、「われもの」「ワレモノ」のシールが市販されていますが、これも赤いガムテープを使うことで、シールを貼る手間を省けます。
【必要事項4】(すぐ使う荷物の場合は)「すぐ使う」
搬入当日の生活に困らないように「すぐ使う」とハッキリ書く
引越し業者のスタッフとしては、以下の2点がダンボールにハッキリ書かれていれば、スムーズに引越し作業はできます。
- 引越し先(新居・卸地)でのダンボールの搬入先(部屋)
- 中身が割れ物かどうか
最低限、これら以外には、引越し業者の要望としては、特に書いて欲しいことはありません。
ただ、すぐ使う荷物なのかどうかをダンボールに書いておいたほうが、お客さまご自身が、引越し後の生活がすぐに始められます。
ですから、すぐに使う荷物が入ったダンボールには、「すぐ使う」とハッキリと書いておきましょう。
これも、割れ物と同じように、色がついたガムテープ(例えば黄色)を使うと、わざわざ書く手間が省けます。
すぐ使う荷物の具体例
すぐ使う荷物の具体例は、以下のとおりです。
- ホウキ・ちりとり・雑巾・掃除機などの掃除用具
- シャンプー・リンス・ボディソープ・石鹸などの風呂用品
- 歯ブラシ
- トイレットペーパーなどのトイレ用品
- カーテン
- パジャマ・スウェットなどの普段着
- 当日着替える下着や翌日の着替
- 化粧品・ひげ剃り
- 常備薬
- スマホの充電器
- パソコン
- (家電製品から完全に取外す場合は)家電製品の配線
- (布団袋に入っていない)寝具
- (すぐ自炊を始める場合は)茶碗・箸・皿・お椀などの日常的に使う食器
- (同上)炊飯器・鍋・フライパンなどの最低限の調理器具
- (引越し業者のスタッフが取り付けてくれない場合は)照明器具・ライト
- (家具を自分で分解・解体した場合は)工具
あまり具体例を上げるとキリがありませんが、これらの荷物は、引越しの前日や前々日など、ギリギリまで使っているはずです。
ですから、ダンボールへの梱包が終盤に差し掛かったころに、ガムテープを別の色のものに切り替えると、自然にすぐ使う荷物を分けて梱包することになります。
何も書いていない・伝えないと奥の一番下に積まれるかも
いくらダンボールに「すぐ使う」と書いたり、別の色のガムテープを使ったとしても、そのようなダンボールを取り出しやすい場所に積まないと意味がありません。
引越し業者のスタッフ(特にチームリーダーとドライバー)には、別の色のガムテープのダンボールはすぐ使うものであることを伝えてください。
そのうえで、すぐ使うダンボールは取り出しやすい場所に積んでおくようにお願いしてください。
大手の引越し業者では、何も言われなくてもすぐ使うダンボールを取り出しやすい場所に積むように配慮する教育を受けています。
管理人も、引越し業者の現役スタッフだったころは、先輩のスタップに散々言われたものでした。
何も考えずにすぐ使うダンボールを奥に置く引越し業者のチームリーダーもいる
ただ、残念ながら、この配慮はチームリーダーによる個人差が多く、手抜きして何も考えずに積んでしまうチームリーダーもいます。
最悪の場合、すぐ使うはずのダンボールが、一番奥の一番下=一番取り出しにくい場所に積まれてしまう可能性もあります。
ですから、「すぐ使うダンボールは取り出しやすい場所に置いてください」と引越し業者のチームリーダーにハッキリ伝えましょう。
- すぐ使うダンボールを取り出しやすい場所に置く:すぐに引越し後の生活をスタートできる
- すぐ使うダンボールを取り出しにくい場所に置く:引越し後の生活がいつまでたっても始められない
【補足1】わかりやすいダンボールの書き方は?
誰が見てもわかるように大きく・はっきり・わかりやすく書く
このように、ダンボールへの必要事項の記入は、引越しにかかる時間を左右します。
お客さまが梱包されたダンボールの中には、何が書いてあるのかわからないものもあります。
管理人が引越し業者のスタッフとして作業した経験では、このようなダンボールは、よくありました。
こういう「何が書いているかわからないダンボール」は、結局、お客さまに確認をしなければなりません。
これでは、わざわざダンボールにマジックで必要事項を書いた意味がありません。
当然、確認のために時間がかかり、作業全体も遅れてしまいます。
ですから、ダンボールへの必要事項(特に搬入先や部屋)は、誰が見てもわかるように、大きく、はっきり、わかりやすく書いてください。
数字・アルファベット・記号を上手に使う
ダンボールに必要事項を記入する場合は、なるべく漢字やひらがなを使うのを避け、数字・アルファベット・記号を使います。
漢字やひらがなは、書く人によって個人差や癖が出やすいものです。
読む側(引越し業者のスタッフ)も、癖の強い文字を読むのは、「解読」に時間がかかってしまいます。
これに対し、数字・アルファベット・記号などは、書く人によって差が出にくいため、読む側も「解読」する必要がありません。
もちろん、ダンボールの中身などは漢字やひらがなでないと書けません。
引越し業者のスタッフとしても、ダンボールの具体的な中身は、わざわざ「解読」するほど重要な情報ではありません(ただし、割れ物かそうでないかは重要です)。
重要なのはあくまで引越し先(新居・卸地)で運ぶ部屋・場所
むしろ、引越し業者のスタッフとしては、ダンボールを運ぶ部屋・場所の情報のほうが重要です。
ダンボールを運ぶ部屋・場所を「居間」「台所」「2階の北の部屋」「洋室」と書く場合、キレイに、大きく書くのであれば、問題ありません。
ただ、殴り書きでわかりづらく、小さく書いてしまうと、結局、引越し業者のスタッフが読めなくなります。
そういう書き方をするくらいなら、「1F・L」「1F・K」「2F・N」「W」のほうがわかりやすいです。
あるいは、数字だけ(丸数字)を大きく書いていたほうが間違いがありません。
これに合わせて、間取り図・見取り図にも同じ書き方で数字・アルファベット・記号が書いていると、よりわかりやすく、作業がはかどります。
- 漢字・ひらがな:書く人によって癖が出るから分かりづらい=引越し業者のスタッフの「解読」が必要
- 数字・アルファベット・記号:書く人によって癖が出ないから分かりやすい=引越し業者のスタッフの「解読」が不要(間取り図・見取り図に同じ書き方で数字・アルファベット・記号が書かれているとなお良い)
【補足2】中古のダンボールの注意点
以前のお客さまの情報が勘違い・混乱のもと
中古のダンボールは、もちろん、1回以上は使われたダンボールです。
となると、以前に使った他のお客さまの荷物の内容や、引越し先(新居・卸地)の部屋が記入されています。
この記入をわかりやすいように修正しなければ、引越し業者のスタッフの勘違い、混乱の原因となります。
このため、中古のダンボールを使う場合は、引越し業者にとってもお客さまにとっても、わかりやすいように修正する必要があります。
中古のダンボールは二重線や×印・色を変えてよりハッキリ大きく書く
具体的には、以前の使ったお客さまの記入を二重線や×印で消してください。
そして、できれば色の違う太めのマジックを使って、新たに荷物の内容や引越し先(新居・卸地)の部屋を記入してください。
なるべくハッキリ、大きく書くのがポイントです。
また、引越し業者によっては、荷物のや引越し先(新居・卸地)の記入用のシールを用意していることがあります。
これは、わざわざ中古のダンボールに貼るために作られたシールです。
こうしたシールがある場合は、引越し業者からシールを提供してもらってください。
まとめ
引越し業者の側の事情を含めて、詳細の説明しましたが、改めてダンボールへの記入のポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 【必須】引越し先でダンボールを搬入する部屋を書く
- ダンボールの中身の荷物を書く
- ブランド品・高級品・女性用下着などの盗難のリスクがあるものは具体的には書かない
- 割れ物のダンボールは「われもの」「ワレモノ」とハッキリ書くか赤いガムテープを使う
- すぐ使う荷物のダンボールは「すぐ使う」とハッキリ書くか別の色(例えば黄色)のガムテープを使う
- 「すぐ使う」ダンボールは取り出しやすい場所に置いてもらう
- ダンボールには大きく・ハッキリ・わかりやすく書く
- 数字・アルファベット・記号を使えるなら使う
- 部屋の間取り図・見取り図にダンボールに書いた数字・アルファベット・記号を書く
- 中古のダンボールには色を変えてより大きくハッキリわかりやすく書く
ダンボールの書き方ひとつで、引越しにかかる時間は大きく変わってきます。
ダンボールへの記入は、お客さまの努力によって引越しにかかる時間を短くできる、数少ないひとつの方法です。
早く引越しを終わらせて、スムーズに新生活をスタートできるようにするためにも、ぜひしっかりとダンボールに必要事項を書き込んでください。