「引越し業者が忙しい時に引越しするんだけど、トラックって、足りるのかな?もしかして、レンタカーとか使ってる?」と疑問に思ったこと、ありませんか?
こんにちは。繁忙期には、「レンタカーの専属ドライバー」という微妙なポジションを経験したことがある、元引越し業者スタッフの管理人です。
引越しの件数が極端に集中する3月・4月には、引越し業者が保有するトラックの数を、はるかに上回る数の引越しがあります
当然、引越し業者は、自社で保有するトラックが足りず、あらゆる手段を駆使してトラックを確保します。そのひとつが、レンタカーです。
繁忙期に、外装が妙に新しいトラックがあった場合、レンタカーの可能性があります。
レンタカーのトラックのサイズはさまざまですが、比較的サイズは小さいものが中心です。
逆にいえば、サイズが小さいトラックなら、どうにか運転できるドライバー=経験が浅いドライバーが運転しています。
このため、レンタカーが引越し当日に現場にやってきた場合は、作業の品質や事故に注意しなければなりません。
レンタカーは引越しの繁忙期(3月・4月限定)のトラック
引越しの繁忙期は人・トラック・資材あらゆるものが不足する
引越し業者が忙しい3月・4月は、業界の関係者でないと想像ができないくらい、膨大な量の引越しがあります。
この時期は、あまりにも引越しの件数が多いため、人・トラック・資材など、あらゆるものが不足します。
もちろん、引越し業者にとっては、一年で一番売上がある「かきいれ時」ですので、しっかりと対策を取ります。
そのひとつとして、3月・4月は、レンタカーのトラックを導入します。
レンタカーはサイズで見分ける
引越し業者がレンタカーを使う場合は、比較的小さいサイズのものを使います。
主に1.5トントラックか2トントラックが中心です。
これは、小型のトラックのほうが、あらゆる状況に柔軟に対応できるからです。
また、小型のトラックでないと、ドライバーが確保できないから、という事情もあります。
引越し業者のトラックがレンタカーかどうかは、まずはサイズで判別します。
レンタカーは「新しい」「小奇麗な」外観で見分ける
レンタカーは、当然、無地のトラックであり、本来は会社のブランドロゴや、キャラクターは描かれていません。
また、レンタカー会社がメンテナンスしていますので、外観が新しい、または小綺麗なのが特徴です。
ですから、現場に来た引越し業者のトラックが、妙に新しい、または小奇麗な小型のトラックだった場合は、レンタカーの可能性が高いです。
なお、レンタカーであっても、大手引越し業者の場合は、特殊なシールなどで、自社のロゴマークやキャラクターなどを貼っています。
この場合も、「外観が新しい」「小奇麗」という点は一緒です。
補助車両・ピストン・単身・一人暮らしの引越しで「出現」
引越し業者のレンタカーは補助車両
レンタカーは小回りが利くため、主に、サイズが大きいトラックの補助車両として活躍します。
レンタカーと同じサイズの1.5トントラックや2トントラックは、通常は、4トントラックまでの大きさの補助車両として使われます。
ところが、繁忙期の場合は、10トン以上の大型トラックの補助車両として使われることもあります。
この状況が、繁忙期の引越しとしては、ある意味、最悪の状況といえます(後ほど説明します)。
小回りが効くのでピストンの引越しでも活躍
サイズが小さいレンタカーは、狭い場所・近距離でのピストン引越しなどでも活躍します。
1.5トントラックであれば、城下町などの古い町は別ですが、たいていの住宅街の道路に入っていけます。
あとは、引越し元(旧居・積地)と引越し先(新居・卸地)の距離が近ければ、往復することで、1台のトラックでも引越しはできます。
目安としては、往復1時間程度の距離まで対応できます(荷物が少なければもっと距離があっても大丈夫です)。
搬出作業、往復の移動、搬入作業、休憩を考慮しても、10時間もあれば、3往復できます。
レンタカーで3往復すると、約30㎥の荷物(3~4人分の家族の荷物)を運べます。
繁忙期の単身・一人暮らしの引越しはほぼレンタカー
レンタカーは、単身・一人暮らしの引越しにも使われます。
また、単身・一人暮らしの長距離混載便の荷物の引取り・引渡しにも使われます。
というより、引越し専門業者を利用した場合は、単身・一人暮らしの引越しの現場に来るトラックは、ほぼレンタカーとみていいでしょう。
残念ながら、引越し業者は、荷物が少なく、単価が低い=売上が少ない単身・一人暮らしの引越しをあまり重視していません。
レベルが高い自社保有のトラックのドライバーは、他の現場に回し、残ったレンタカーのドライバーが、単身・一人暮らしの現場に来ます。
なお、大手の物流事業を兼業している引越し業者は、トラックの保有台数が多いため、そうとは限りません。
引越し業者のレンタカーはドライバーも「臨時」
引越し業者が常備しているトラックはベテランドライバーが乗る
引越し業者が使うレンタカーは、主にアルバイトの新米チームリーダー(兼ドライバー)が運転します。
繁忙期でも、引越し業者の支店・営業所に常備しているトラックは、正社員、契約社員、ベテランのアルバイトが運転します。
ところが、繁忙期には、これだけではトラックが足りなくなるからこそ、わざわざレンタカーを借りるわけです。
このため、支店・営業所に常備されたトラックの運転を任されなかったドライバーが、レンタカーを運転することになります。
レンタカーはチームリーダー見習いが運転する
もちろん、こうしたドライバーは、支店・営業所に常備されたトラックのドライバーに比べて、明らかに経験が少ないです。
レンタカーのドライバーは、普段は、ほどんどトラックを運転していません。
それどころか、レンタカーが「初めてのトラック」ということもあります。
こういうドライバーは、繁忙期やその直前に初めてドライバーをまかされます。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、かつては、「初心者マーク」が付いていることすらありました。
ですから、レンタカーのドライバーは、ドライバーとしても、チームリーダーとしても、見習いのスタッフといえます。
レンタカーのドライバーは引越し作業全般に注意
引越しの荷物の積込みは長い経験が必要
このように、レンタカーのドライバーは、他のトラックのドライバーとは、かなり経験・実力の差があります。
特にその差がハッキリ現れるのが、トラックの荷台での荷物の積込みです。
引越しの荷物は、大小様々なサイズがあるため、トラックへの積込みは、非常に難しいものです。
トラックの荷台に隙間なく荷物を詰込むのは、それこそパズルのような作業です。無駄なく、効率的にトラックに積込むには、長い経験が必要です。
残念ながら、引越し業者では、トラックへの積込み作業は、現場で悠長に教えてはくれません。
こればかりは、現場で経験しながら覚えていくしかありません。
荷台への荷物の積込みが問題
引越し業者のレンタカーのドライバーは、トラックの荷台への積込みの経験は浅いですから、さまざまな問題があります。
具体的には、次のとおりです。
- 単純に作業に時間がかかる
- スペースに無駄が多いため、荷物が積みきれない
- 隙間が多いため、移動中に荷物が動いて事故になる
- 荷物を降ろすときに荷崩れ・落下事故がある
1.はしょうがないにしても、2.~4.は、お客さまにとって、非常に迷惑なはなしです。
レンタカーのドライバーはチームリーダーとして経験が浅い
このように、レンタカーのドライバーは、トラックのドライバーとしても経験が浅いですが、チームリーダーとしても、経験が豊富とはいえません。
レンタカーのドライバーは、それまでは、支店・営業所に常備しているベテランのドライバー(兼チームリーダー)の下でスタッフをしています。
よくて、サブリーダーを務めていた程度でしょう(これはまだマシな方です)。
つまり、レンタカーとはいえ、ドライバー兼チームリーダーとして、初めて現場をまかされるのが、レンタカーのドライバーです。
また、人手不足の繁忙期の引越し業者としては、レンタカーのドライバーに、わざわざ別のチームリーダーをつけることはありません。
ですから、繁忙期に、レンタカー1台が現場に来た場合は、その引越し業者のチーム全体の能力に注意が必要です。
「レンタカー+10トン以上の大型トラック」は最悪の組み合わせ
本来は大型トラックは引越しでは使わない
繁忙期では、レンタカーが、補助車両として、10トン以上の大型トラックと一緒に現場に来ることがあります。
「大型トラックのドライバー」といえば、なんとなく仕事ができそうなイメージがあると思いますが、これがくせ者です。
本来、10トン以上の大型トラックは、引越しに使うトラックではありません。
大型トラックは、道が細い住宅街には入っていけないため、引越しには使えないのです。
にもかかわらず、なぜ引越しの現場に来るのかといえば、あまりにもトラックが不足するからです。
つまり、本来は引越し用のトラックではない、大型トラックですら使わなければならないほど忙しい、ということです。。
大型トラックのドライバーは引越しの「素人」
大型トラックが本来は引越し用のトラックではない、ということは、そのドライバーも、普段は引越しをしていません。
もちろん、運転に関してはプロ中のプロでしょうが、こと引越しの作業に関しては、(悪い言い方ですが)「素人」そのものです。
トラックの荷台での荷物の積込み作業は不慣れですし、室内の作業もほとんど経験がありません。
というよりも、室内で作業をしてくれないことがほとんどです。
レンタカー+大型トラックは「素人集団」?
このように、レンタカーのドライバーは引越しの経験が浅い、大型トラックのドライバーは引越しの経験がない、というのが実態です。
ですから、「レンタカー+10トン以上の大型トラック」という組み合わせは、お客さまにとっては、最悪の組み合わせです。
この組み合わせでは、「仕事を知っている」というレベルのスタッフが、レンタカーのドライバーだけ、という状況になります。
繁忙期では、人手不足で、チームリーダー以外は、経験の浅いアルバイトと派遣社員、ということがよくあります。
このため、一見して人数が多いチームであっても、実態は、チームリーダー兼ドライバーくらいしか引越し作業の経験がない、いわば「素人集団」であることがあります。
むき出しの内壁で家具・冷蔵庫にキズがつく
意外に見逃せない「内壁」のクッション
引越し業者が使うトラックは、内壁フェルト生地で覆われています。
これは、トラックの内壁に荷物(特に大型家具や冷蔵庫)がぶつかっても、キズやヘコミができないように、荷物を保護しているのです。
ところが、一般的なレンタカーの内壁は、金属や木などの素材や、骨組みがむき出しになっている場合があります。
経験を積んだトラックんドライバーであれば、こうした問題も見逃しません。
例えば、中古のダンボールを荷物と内壁の間に挟むなど、しっかりと対応をします。
ところが、ドライバーなりたてのレンタカーのドライバーでは、こうした点を見逃してしまい、家具や冷蔵庫にキズをつけてしまうことがあります。
幌型のトラックは特に内壁との接触に注意
特に幌型のトラックの場合、コンテナ型・バン型のトラックとは違って、内壁が板の部分と骨組みの部分に分かれていて、平らになっていません。
これが意外と問題で、背の高い家具や大型冷蔵庫を幌型のトラックに積込んだ場合、上半分の部分が、トラックの金属製の骨組みに当たることがあります。
この状態でトラックが動いてしまうと、骨組みと家具・大型冷蔵庫が接触し、良くてスリキズ、悪ければ深いキズになってしまいます。
これも、すでに述べたように、間に中古のダンボールを差し込むことによって防げます。
ただ、残念ながら、レンタカーのドライバーでは、そこまで配慮できないこともあります。
このように、レンタカーは、内壁との接触による家具のキズに気をつけてください。
まとめ
かつて、管理人の勤務先の引越し業者では、4トントラックに「初心者マーク」がついていたことがあり、あ然としたことがあります(もちろん、中型免許がなかった時代の話です)。
さすがにこれは極端な例ですが、レンタカーのドライバーは、ドライバーとしても、また、チームリーダーとしても経験が浅いものです。
にもかかわらず、繁忙期には、結構「エグい」現場に回されます。
本文にあった、10トン以上の大型トラックとの組み合わせが、一番厄介な引越しです。
これ以外にも、「経験者がレンタカーのドライバーだけ」という引越しの現場は、普通にあります。
お客さまにとっては、どのようなトラックが現場に来るのかは「運次第」で、どうしようもないことです。
せめて、引越しの際にレンタカーが現場に来た場合は、「事故の可能性が高い」という想定をして、注意深く引越し業者のスタッフの動きを見てください。