「引越し業者のスタッフって、たいていアルバイトか派遣社員でしょ?だったら自分も手伝うから、そのぶん安くしてよ」と思ったこと、ありませんか?
こんにちは。お客さまをスタッフとして使いこなす自信が、微塵もない、元引越し業者スタッフの管理人です。
確かに、引越し業者のスタッフの大半は、未経験または経験が浅いアルバイトか派遣社員です。このため、健康な男性であれば、(少なくとも「体力的」には)代わりは務まります。
そこで、引越し業者の作業を手伝えば、それだけ人件費が浮いて安くなる、ということになるわけです。
実際に、引越し業者の中には、お客さまが一部の引越し作業を手伝うことによって、料金を安くしてくれるところはあります。
いろいろと制約があるため、なかなか活用しにくい方法ですが、特に一人暮らし・単身の場合や中小の引越し業者を利用する場合は検討してみてください。
なお、この方法はあくまで比較的若い男性ができる方法であり、女性にはお勧めいたしかねます。
意外に高い引越しの人件費を減らす
引越しのスタッフ=家族の人数+1人
引越しの料金のうち、意外と大きな割合を占めるのが人件費です。
引越し業者や景気の動向にもよりますが、一般的に、スタッフ1人あたり約10,000円~15,000円程度といわれています。
このため、理屈のうえでは、スタッフを減らすことで、それだけ引越しの料金を減らすことができることになります。
ただ、引越しの作業には、荷物の量に応じて、ある程度適正なスタッフの数があります。
目安としては、「家族の人数+1人」程度です。
具体的には、次のようになります(もちろん、荷物の量によってはこの限りではありません)。
- 単身:2人
- カップル・夫婦のみ:2~3人
- 夫婦+子供1~2人:4人
- これ以上の人数:5人~
料金が安い引越し業者は最初からギリギリの人数で勝負する
これを下回るようだと、スタッフ1人当たりの負担が増えてしまいます。
結果として、事故のリスクが高くなります。逆に、これを上回るようだと、料金が高くなります。
引越し業者の中には、最初から少ない人数で見積りを出しているところがあります。
つまり、ギリギリの人数で見積りを出すことで、最初から安い料金を提示しているわけです。
このような業者に対しては、スタッフを減らすことで料金を安くするような交渉はできません。
また、このような「スタッフが少ない=料金が安い」ことをアピールする業者は、一般的に事故が多い傾向があります。
逆に、一部ではありますが、最初から多めの人数で見積りを出しているところもあります。
このような引越し業者に対しては、スタッフを減らす交渉はできるでしょう。
「スタッフ減らせば安くなるでしょ?」とはいかない
引越し業者はスタッフを減らさない
ただ、いずれの引越し業者も、あまりスタッフの数を減らそうとはしません。というのも、引越し業者としては、スタッフを減らすのは、デメリットが非常に多いからです。具体的には、次のとおりです。
- 売上と利益が少なくなる
- スタッフの1人あたりの負担が増えて事故率があがる
- 作業効率が悪くなって作業時間が増え、結果的に人件費が増える
- 事故が発生した場合に責任の所在・分担がはっきしりない
他方、メリットといえば、せいぜいアルバイトや派遣社員を集める手間が少しだけ減る、ということくらいです。
このような事情があるため、引越し業者は、滅多なことではスタッフを減らすことで料金を安くしてくれることはありません。
せいぜい、見積りの段階で多めのスタッフを提示してきた場合くらいでしょう。
作業を手伝うことで安くなる
以上のように、単にスタッフを減らすように引越し業者に要求したところで、まず受け入れられません。
そこで、スタッフを減らす代わりに、お客さまご自身が手伝うことを提案してみてください。
引越し業者によって対応はバラバラですが、中には提案を受けてくれることがあります。
お客さまが手伝うことによってスタッフを減らすことができれば、それだけ料金も安くなります。
もちろん、引越しは非常にきつい肉体労働ですので、お客さまご自身が健康で若い(できれば)男性であることが前提となります。
お客さまが女性の場合は、まず交渉になりません。
単身の引越しの場合は要検討
一人暮らし・単身の引越しは1人で十分
一人暮らし・単身の引越しの場合、荷物の量が少なく、大型家財も少ないため、作業自体はそれほど大変でもありません。
実際は、チームリーダーができるスタッフであれば、ほとんどの作業が1人でできてしまいます。管理人も、荷物が少ない一人暮らし・単身の引越しを一人で担当したことが何度もあります。
「一人暮らし・単身の引越し=スタッフ2人」は冷蔵庫と洗濯機のせい
それにもかかわらず、たいていの引越し業者は、一人暮らし・単身の引越しであっても、2人のスタッフを配属します。
これは、2人のスタッフであれば、1人で運ぶことが難しい大型の家具・家電製品に対応できるからです。
具体的には、主に冷蔵庫と洗濯機だけは2人で運びます。
ですから、大型の家具・家電製品をお持ちでない一人暮らし・単身の引越しの場合は、まずはスタッフ2人から1人減らして、チームリーダー(兼ドライバー)1人の引越しを提案してみてください。
これを断られた場合、お客さまが体力に自信があれば、手伝うことも提案してみてください。
1人では運べない大型家具・家電製品の運搬だけを手伝う
実は冷蔵庫・洗濯機があってもスタッフ1人でもできる
では、冷蔵庫や洗濯機がある一人暮らし・単身の引越しは、スタッフ1人ではできないのかというと、そうでもありません。
リーダーができる引越し業者のスタッフは、たいていの荷物を1人で運ぶことができます。
単身用の2ドアの冷蔵庫程度であれば、1人で運べないと1人前として扱ってもらえません。また、ドラム式や乾燥機付以外の洗濯機も1人で運ぶことができます。
ですから、一般的な単身用の冷蔵庫、ドラム式でない・乾燥機がついていない全自動洗濯機などの荷物があったとしても、実はスタッフ1人で引越しはできます。
さすがに大型の家具・家電製品は1人では運べない
ただ、大型の家具・家電製品は1人で運ぶことができません。仮に持ち上げることができたとしても、壁などにぶつけずに運ぶことはかなり難しいです。
例えば、1人用の観音開きタイプの洋服ダンス(ワードローブ・ロッカー)などは非常に軽いため、運びやすいように思われます。
しかし、実際には、背が高い家具であるため、壁に当てずに1人で運ぶのは、(できないわけではありませんが)そう簡単ではありませ)。
だいたい、こういう家具を1人で運べるような高い技術をもったスタッフは、一人暮らし・単身の引越しは担当しません。
このような事情があるため、引越し業者のチーム編成は、最低でも2人のスタッフが配属されます。
大型家具・家電製品のみを手伝う
そこで、お客さまが、スタッフ1人だけでは運べない大型の家具・家電製品の運搬のみを手伝うことで、スタッフ1人のチーム編成が可能となります。
その結果、1人分の人件費が浮き、それだけ料金は安くなります。
大型家具・家電製品は、1人(=引越し業者のスタッフ)にしっかりした技術があれば、もう1人(=お客さま)が未経験者であったとしても、わりと簡単に運ぶことはできます。
このため、お客さまが手伝うこと自体は、それほど難しい話ではありません。
ただし、冷蔵庫(特に家族向けのもの)や洗濯機(ドラム式・乾燥機付)は非常に重いため、体力に自信がない限り、手伝うべきではありません。
引越し業者によっては断られることも
大手の引越し業者はたいてい断る
すでに述べたとおり、お客さまによるお手伝いは、引越し業者にとっては、かなりデメリットがあります。
普段引越しの作業をしていないお客さまが手伝ったとしても、結局足手まといになり、作業時間が増える可能性が非常に高いです。
このため、タイトなスケジュールを組むことが多い特に大手の引越し業者は、お客さまによるお手伝いを断ることが多いようです。
ただ、中小の引越し業者の場合、サービスの差別化や低価格をアピールするために、お客さまによるお手伝いを積極的に勧めていることがあります。
このため、中小の引越し業者を利用する場合は、お客さまによるお手伝いも検討してみてください。
まとめ
実は、管理人自身は、お客さまに手伝っていただいたことは一度もありません。
管理人がかつて働いていた引越し業者は、いずれも大手引越し専門業者でしたが、おそらく、会社の方針として、お客さまからのお手伝いはご遠慮いただいていたのでしょう。
引越しを担当するチームは、一人暮らし・単身の引越しであっても、その日はそれ1件だけ担当するはずはなく、通常は2件、多い日は4件程度担当します。
このような事情があるため、会社としては、かえって時間がかかる客様のお手伝いは、断らざるを得ないのでしょう。
おそらく、大手の引越し業者は、どこもおなじような事情だと思われます。
このため、ご自分で手伝うのは、中小の引越し業者を利用する場合に検討してみてください。