悪質な引越し業者は、見積もりの段階で内金・手付金を請求することがあります。
内金や手付金は、お客さまから引越し業者に対して支払われる一部のサービスの料金の前払いのことです。
お客さまは、このような内金・手付金は、支払う必要や義務はありません。ですから、はっきりと断ってください。
引越し業者は内金・手付金は請求してはいけない
標準引越運送約款では、引越し業者は、内金や手付金を請求しないことになっています(第3条第5項)。
標準引越運送約款第3条(見積り)
(第1項から第4項まで省略)
5 当店は、見積りの際に内金、手付金等( 前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。) を請求しません。
(第5項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
このため、本来は引越し業者から内金や手付金を請求されることはありません。もし請求されたとしても、支払う義務はありません。
なお、まれに「予約金」や「保証金」など、内金・手付金以外の名目で金銭を請求する悪質な+引越し業者もあるようですが、このような金銭についても、支払う必要はありません。
標準引越運送約款の第3条第5項では、「内金、手付金等(途中省略)を請求しません。」となっていますので、内金・手付金以外の名目であっても、「等」に含まれるからです。
見積もりの下見費用は別
内金や手付金ではなく、見積もりの下見の費用は、支払わなければならないこともあります。
標準引越運送約款の第3条第5項では、「内金、手付金等(前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。)を請求しません。」となっています。
標準引越運送約款第3条(見積り)
(第1項から第3項まで省略)
4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。
5 当店は、見積りの際に内金、手付金等( 前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。) を請求しません。
(第5項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
このため、下見に要した費用については、引越し業者が請求できるようになっています。
しかし、この場合であっても、事前に通知をうけて、お客さまが了解したときに限ります(標準引越運送約款第3条第4項)。
標準引越運送約款第3条(見積り)
(第1項から第3項まで省略)
4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。
(第5項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
このため、事前に引越し業者に了解した覚えのある場合を除いて、下見費用は、支払う必要はありません。
必ず引越し業者の約款(標準引越運送約款)をチェックする
軽貨物業者以外の一般的な引越し業者が使っている標準引越運送約款の場合は、内金や手付金を支払う必要がありません。
しかしながら、引越し業者が標準引越運送約款以外の約款を使っている場合は、そうとは限りません(後述のように、ほとんどの引越し業者は標準引越運送約款を使っています。)。
このため、見積もりの際には、必ず約款の内容をチェックしてください。
なお、運送業者の運送約款は、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています(貨物自動車運送事業法第10条第1項)。
例外として、国土交通大臣が公示した標準約款を使用する場合は、その運送業者は、国土交通大臣の認可を受けたものとみなされます(同第2項)。
ほとんどの引越し業者は、国土交通大臣の認可をを受ける必要のない標準引越運送約款を使っているようです。
お客さまから申し出るぶんには問題ない
内金や手付金について、お客さまの側から支払いを申し出ることは問題ありません。
標準引越運送約款では、あくまで引越し業者の側から請求しない旨が規定されているだけです。お客さまからの内金や手付金の支払いを受け取ることの禁止までは規定されていません。
例えば、引越しの料金が高額になった場合は、それだけ多額の現金を引越し当日に用意する必要がありますので、あらかじめ払っておくことも考えられます。
しかしながら、最近では、引越し業者の側が営業員に直接現金を扱わせることはあまりないようです。このため、一般的には、引越し業者の側から断られることが多いようです。