「私は園芸と家庭菜園が趣味だから、たくさんの観葉植物や鉢植えがあるのよねぇ…。これって、引越し業者で運んでくれるのかしら?」と、疑問に思っていませんか?
こんにちは。背の高い観葉植物の梱包に、よく手間取っていた元引越し業者スタッフの管理人です。
ほとんどの引越し業者は、観葉植物・鉢植え(プランター)・盆栽などの植物を運んでくれます。
ただし、これらの植物は、「動植物」であり、本来は、引越し業者は運んでいません。
このため、「葉や枝が折れたり、花が落ちたり散ったりしても、補償対象外となって補償してもらえない」という条件で運んでもらえます。
ですから、葉や枝が折れたり、花が落ちたり散ったりすると困るような、大事な植物に関しては、専門の業者に依頼するべきです。
観葉植物・鉢植え(プランター)・盆栽は条件つきで引越しができる
観葉植物・鉢植え(プランター)・盆栽は、ペットと同じように、「動植物」であり、本来は「特殊な管理を要する」荷物(標準引越運送約款第4条第2項第3号)として扱われます。
標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(第1号、第2号省略)
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(第4号省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
このため、本来は運んでもらえないものです。
ただ、実際は、大きな事故となることはあまりありませんので、運んでもらえることが多いです。
注意しなければいけない点として、観葉植物・鉢植え・盆栽を運んだ場合に事故が発生したときは、補償の対象外となります。
標準引越運送約款の第24条第1項では、「その旨を知って引き受けた場合に限り、…(途中省略)損害賠償の責任を負います」となっています。
標準引越運送約款第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」
しかし、実際は、引越し業者の確認書には補償の対象外である旨が書かれていて、サインを求められます。
これは、いわゆる「特約」で、標準引越運送約款よりも優先して適用されます。
このため、「『動植物』と知って引き受けたけども補償対象外」という理屈になります。
観葉植物・鉢植え・盆栽には直前には水をやらない
観葉植物・鉢植え・盆栽には、直前に水をやらないでください。というのも、水漏れによって、他の荷物や壁・床・畳などが汚れる可能性があるからです。
観葉植物・鉢植から漏れる水は、土が混じっているため、他の荷物についてしまうと、汚れが落ちなくなることがあります。
どうしても直前に水をやる必要がある場合は、ビニール袋などをつかって厳重に梱包してください。
この際、空気を摂り入れるため、ビニール袋の上の部分は、竹串などで穴を開けておいてください。
なお、当然ながら、水を張っている水鉢がある場合は、必ず水抜きしておいてください。
また、水鉢の中の観葉植物は、別の器に移しておいてください。
水鉢そのものの梱包や引越しはさほど難しくはありませんが、中に植物が入った状態では、梱包することができません。
このため、運びやすいように、植物そのものは別の器に移してください。
梱包については引越し業者の営業員に必ず確認する
観葉植物・鉢植え・盆栽は、通常は、中古のダンボールで梱包します。
この作業については、引越し業者によって、お客さまがしなければならない場合と、当日に業者にやってもらえる場合があります。
この点については、必ず見積もりの際に、必ず営業員に確認しておいてください。
なお、お客さまが梱包する場合は、なるべく小型のダンボールを使ってください。
というのも、意外に観葉植物・鉢植え・盆栽は重いため、小型のダンボールを使わないと、底抜けすることがあります。
また、ダンボールには、隙間なく鉢やプランターを詰め込んでください。
隙間があると、移動中に鉢やプランターが動いてしまいます。あまり動いてしまうと、陶器の鉢などは割れることがあります。
どうしても隙間が空いてしまう場合は、新聞紙などを隙間に詰めてください。
花・葉が散るのはやむを得ない
観葉植物・鉢植え・盆栽は、本来は、狭いダンボールに詰め込んで運ぶようなものではありません。
花屋さんのような専門業者では、観葉植物・鉢植え・盆栽専門のダンボールを用意していることがありますが、引越し業者の用意するダンボールでは、観葉植物・鉢植え・盆栽には対応していません。
それを半ば無理矢理ダンボールに詰めて運ぶわけですから、花や葉が散ったり、枝や茎が折れたりすることもあります。
また、すでに述べたように、このような事故は補償の対象外です。
このため、盆栽のように高価な鉢植えや、思い入れが強い観葉植物・鉢植えの場合は、他の専門業者に依頼してください。
観葉植物専門の引越し業者の場合は、事故が発生する可能性が低いですし、補償の対象となることもあります。