「引越しの作業中って、ドアは開けっ放しだし、荷物は晒されてるし、完全に無防備よね?大丈夫なの?」と、不安に思ったこと、ありませんか?

こんにちは。さすがに引越し作業中に犯罪に巻き込まれたことはないと思う、元引越し業者スタッフのの管理人です。

引越し作業は、なんらかの犯罪の直接の原因になることはまずありませんし、あってはならないことです。

ただ、引越しは、作業の性質上、犯罪にも注意しなければならないことがあります。

特に、犯罪弱者である女性や子供がいるお客さまは、犯罪に巻き込まれないように注意してください。

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引越し作業中の窃盗

泥棒

引越し作業中のわずかなスキを狙ってくる

引越し作業中は、玄関やトラックのコンテナの扉を開けっ放しにして、荷物の搬出・搬入の作業をします。

もちろん、家の中にはお客さまご自身がいらっしゃいます。泥棒が堂々と入ってくる、ということはありえません。

また、トラックについても、ドライバーが荷台付近にいます。ですから、荷台の荷物が盗まれることはありません。

…といいたいところですが、実際は、トラックのドライバーは、荷台にいつも貼り付いているわけではありません。

トラックのドライバーが荷台を離れた、ほんのちょっと(実際は結構長い)の時間が危ない時間帯です。

家具・大型家電の設置中にトラックの荷台から荷物が盗まれる

一番危ないのは、引越し先(新居・卸地)での大型家具・大型家電の設置作業の時です。

どういうことかというと、引越し先(新居・卸地)では、まず大型家具・大型家電の搬入をして、これらの設置作業をします。

その後で、ダンボールなどの小型の荷物を搬入します。

この家具・大型家電の設置作業ですが、床や壁をキズつけることなく、大型の家具や家電製品の位置を微調整します。

当然、こうした事故のリスクがある作業は、経験を積んだスタッフがするわけです。

通常は、チームリーダー、サブリーダー、ドライバーなどが作業を担当します。

人手不足でない限り、引越し業者は、アルバイトや派遣社員に大型の家具・家電の設置作業はさせません。

しかも、この作業は、意外と時間がかかります。短くても10分程度、長ければ30分以上かかってしまいます。

その間、トラックの荷台にはドライバーがいなくなるわけですから、泥棒にとっては、絶好のチャンスなわけです。

梱包していない家電製品が狙われる

管理人のベテランの先輩によると、かつては、引越し作業中に、高価な家電製品が盗まれることがよくあったそうです。

やはり、大型の家具・家電製品の設置作業中の犯行が多かった、とのことです。

荷台に誰もいない状態で、しかも荷台には持ち運びがしやすい小型の荷物が置いている状態です。

ダンボールに入らない、あるいは梱包されていな家電製品など、絶好のターゲットでしょう。

家電製品が高価だった時代だと、「盗んでください」と言っているようなものです。

現在では、家電製品の価値が相対的に下がっていますので、そうそう盗まれることもないようです。

それでも念のため、トラックの荷台には常に注意を払ってください。

窃盗対策1:引越し業者のドライバーが長時間荷台から離れる場合は鍵をかけてもらう

こういう盗難に対する対策としては、トラックの荷台に鍵をかける方法と、見張りを立てる方法があります。

通常、箱型のトラック(いわゆる「バンボディ」のトラック)には、防犯用の鍵がついています。

ですから、長時間トラックの荷台を離れる際には、鍵をかけることによって、荷物の盗難を防ぐことができます。

ただ、バンボディのトラックではなく、幌のトラックの場合は、鍵はかけられません。

この場合は、大型の家具・家電製品の設置をしていないスタッフに見張りをしてもらうといいでしょう。

窃盗対策2:場合によってはお客さまご自身が見張りに立つ

もっとも、引越し業者のスタッフが2人しかいない場合は、大型の家具・家電製品の設置作業中は、見張りに立てません。

この場合は、お客さまが2人以上いれば、見張りに立つのもいいでしょう。

お客さまが1人しかいない場合は、トラックの荷台のほうに注意をしつつ、家具・家電製品の設置作業に立会うしかありません。

なお、こうした盗難対策は、引越し業者のスタッフは、特にお客さまからの要請がなくても、自然としてくれるものです。

ただ、すべての引越し業者でそのような対処をしているとは限りません。

「危ないな」と思ったら、お客さまのほうから引越し業者のスタッフに声をかけましょう。

引越し業者のスタッフによる横領

内容不明のダンボール

荷物を扱うのが人間であるため完全には防ぎようがない

あってはならないことですが、引越し業者のスタッフによる荷物の横領も、まったくないわけではありません。

当然ながら、引越し業者では、スタッフが荷物を横領しないよう、指導を徹底しています。

とはいえ、こればかりはスタッフ個人のモラル次第です。

「お客さまの荷物を勝手に持っていってはダメだ」というのは、引越し業者のスタッフは100人いれば100人全員がわかっていることです。

それでも、横領だけではなく、引越し業者のスタッフによる犯罪や不祥事は、完全になくなることはありません。

また、一部の中小零細企業の下請け業者では、社員教育が行き届いていないこともあります。

横領対策1:横領されると困るものは自分で運ぶ

引越し業者のスタッフによる横領を防ぐためには、そもそも、横領されそうな物は引越し業者に運ばせない、という方法が一番安全です。

もちろん、引越し業者に運ばせない以上、こういった荷物はお客さまご自身で運ぶことになります。

なお、狙われやすい荷物は、高価な貴重品、個人情報が記載された書類等、ブランド品、女性の下着などです。

これらの荷物のうち、貴重品や個人情報の書類(場合よってはブランド品も)などは、そもそも引越し業者が運んでくれないものです。

第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(4)申込者が第8条第1項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第2項の規定による点検の同意を与えないもの
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

しかも、こうした貴重品は、引越し業者のスタッフが、その荷物が貴重品であることを知って運搬した場合に限って、補償の対象となります(標準引越運送約款第24条第1項)。

第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

通常、引越し業者では、荷物が貴重品であると知った場合、その荷物の運搬を引受けることはありません。

ですから、どのみち、貴重品については、お客さまご自身で運ぶことになります。

横領対策2:ダンボールの中身がわからないようにする

「ちょっとした貴重品くらいは運んでもいいけども、他の荷物はなんとかならないの?」

確かに、大事なお荷物ですから、どれも横領されると困るでしょう。

あれもこれも自分で運ぶとなると、何のために引越し業者を利用しているのかわかりませんよね。

そこでオススメしたいのが、ダンボールに中身を書くときに、何が入っているのかわからないように書く、ということです。

特に、女性の下着などは、そのまま「下着」とは絶対に書いてはいけません。

また、ブランド品も、「ブランド品」や「ブランドバッグ」とか書いてはいけません。

こういうものは、「洋服」「雑貨」など、ボヤかして書いて、引越し業者のスタッフにもわからないようにします。

こういうちょっとした工夫が、荷物の横領・盗難・紛失のリスクを大幅に下げてくれます。

補足:貴重品はボヤかしてダンボールに梱包してはいけない

なお、この「ボヤかし」の書き方でダンボールに貴重品を梱包してはいけません。

例えば、銀行通帳や有価証券などの貴重品を、「書類」のようにボヤかして書いてしまうと、万が一紛失した場合、補償の対象外となります。

第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

この標準引越運送約款第24条第1項にあるとおり、貴重品(第4条第2項各号に掲げる荷物)が補償対象となるのは、あくまで「当店がその旨を知って引き受けた場合に限」った話です。

ダンボールの中身をボヤかして書いて、そのダンボールが紛失した場合、引越し業者としては、「貴重品が入っているとは知らなかった」と主張するでしょう。

こうなると、補償交渉は難航しますし、おそらく裁判に持ち込んだとしても、簡単には勝てないでしょう。

引越し業者のスタッフによるストーカー行為・つきまとい

スマホを見て困る女性

電話番号やLINEを悪用する引越し業者のスタッフもいる

引越し業者のスタッフによるストーカー行為・つきまといですが、少なくとも管理人が現役のころは、聞いたことがありません。

…でしたが、最近は、ネット上で検索すると、LINEなどでつきまとい行為をするスタッフがいます。

管理人の感覚では、大変嘆かわしいと思う反面、正直なところ「さもありなん」というところです。

大半の引越し業者のスタッフはそうではないと思いますが、残念ながら、モラルが低い者も中にはいます。

チームリーダーが連絡先を悪用することも

しかも、SNSなどでそうしたつきまといの体験を見る限り、チームリーダーが連絡先を悪用しています。

管理人は、てっきり、繁忙期のアルバイトや派遣社員の中の、素性がハッキリしない不届き者がやっているものと思っていましたが、そうでもないようです。

引越し業者のチームリーダーとなると、引越し先(新居・卸地)の住所から、連絡先(電話番号)まで把握しています。

つまり、悪用しようと思えば、いくらでも悪用できてしまいます。

特に一人暮らし・単身の女性のお客さまは、たまったものではないでしょう。

対策1:家族などの代理人に引越ししてもらう

こうしたつきまといへの対策として、最も有効な方法のひとつが、本人が引越し業者とやり取りしない、つまり代理人を立てることです。

引越し業者とのやり取りは、何も必ず本人がしなければならないものではありません。

実は、芸能人・歌手などが、こうした方法で引越しをしています。

芸能人・歌手は、マネージャーやプロデューサーなど、プロダクションのスタッフが引越し業者とやり取りをして引越しをしています。

もっとも、そうした引越しができるのは、比較的有名で売れている芸能人・歌手に限った話ですが…(わりと有名な芸能人・歌手でも本人が引越しに立会うことがあります)

芸能人・歌手のプロダクションは、プライバシーの保護を徹底していますので、こういう方法で引越しをします。

同じ方法で引越しをすることで、(特に一人暮らし・独身の)女性のプライバシーを保護することができます。

近所に男性の家族・親戚がいる場合や、信頼できる男性の友人・彼氏がいる場合は、こうした「代理人方式」の引越しを検討してみてください。

対策2:「女性だけ」のチームに引越しを担当してもらう

「代理人方式」に比べると、完全に有効とはいえないかもしれませんが、そもそも、引越し業者のチームに男性スタッフを入れない、という方法もあります。

つまり、「女性スタッフだけのチーム」のプラン・パックを利用する、ということです。

有名なのが、アート引越センターが提供している「レディースパック」ですね。

スタッフが女性だけとなると、男性スタッフに比べると、ストーカーやつきまといの被害にあう確率は、非常に低くなります。

問題・デメリットとしては、こういう女性スタッフだけの引越しサービスを提供している引越し業者が非常に少ないことです。

また、提供されている地域も、ほとんどが都市部が中心で、地方では提供されていません。

これは、地方の引越し業者の支店・営業所では、それだけ女性スタッフの確保・維持が難しいということです。

こういう状態ですので、残念ながら、相見積もりが難しく、料金も比較的高くなってしまいます。

ですから、管理人としては、どちらかというと、「代理人方式」のほうがオススメです。

引越し先(新居・卸地)での盗聴

コンセント

賃貸住宅では要注意

管理人自身は体験したことも聞いたこともありませんし、担当した引越しでもそのような話はありませんでしたが、どうも賃貸住宅では盗聴されることがあるようです。

具体的には、引越し先(新居・卸地)の建物の中に、前の住人などによって、あらかじめ盗聴器が仕掛けられているようです。

しかも、壁にある電源のコンセントの中に盗聴器が仕掛けられているため、ずっと電気が供給され、いつまでも盗聴されることになります。

「盗聴」というくらいですから、素人には盗聴されていること自体、気づきようがありません。

対策1:専門業者に調査してもらう

そこで、盗聴が不安な場合は、専門業者に依頼して、盗聴器の有無の調査をしてもらうといいでしょう。

また、実際に盗聴器が見つかった場合は、盗聴器を外してもらうことになります。

引越し業者の中には、このような専門業者を紹介してくれるところもあります。

オプションのサービスなので、有料となりますが、心配な場合は利用してみてください。

また、引越し業者を通さず、お客さまご自身で直接専門家に依頼されてもいいでしょう。

引越し業者スタッフ・第三者による住居侵入

ドア

引越し業者のスタッフには建物の構造が丸わかり

引越し作業では、当然ながら、引越し業者のスタッフには、お客さまの住所から建物の内部構造が丸わかりとなります。

場合によっては、マンションなどの警備体制(カメラの位置や管理人が常駐なのか巡回なのか、等)なども知られてしまいます。

このような情報が悪用されると、引越しが終わった後に、住居侵入などの犯罪が発生する可能性があります。

管理人の経験では、こういった露骨な犯罪は聞いたことがありません。

ただ、すでに述べたような、LINEでのつきまといがあるくらいですから、油断できません。

ほとんどの引越し業者のスタッフは問題ないはずですが、慢性的に人材不足の引越し業界です。

特に繁忙期では、アルバイトや派遣社員として、素性が明らかでないスタッフが紛れ込むこともありえます。

第三者による侵入

マンションでの引越しの場合、引越し業者は、入り口のオートロックを解除して、玄関を開放した状態で作業します。

このため、住人以外の第三者が入りやすい状態になります(もっとも、監視カメラは動いているでしょうが)。

特に管理人のいないマンションでは、住人と第三者の区別がつきません。

このため、引越しが終わった直後は、第三者による住居侵入に気をつけてください。

対策1:戸締まりをしっかりする

相手が引越し業者のスタッフにせよ、第三者にせよ、対策は、鍵をかけて戸締まりをしっかりする。これにつきます。

これは、一戸建ての建物に限らず、オートロックになっているマンションであっても、同じことです。

犯罪を誘発する可能性があるので詳しくは書きませんが、鍵がなくても、オートロックの扉を開くのは簡単にできます。

ですから、マンションのオートロックを過信してはいけません。やはり最後に頼れるのは、自宅の玄関の鍵です。

まとめ

冒頭で、「引越し作業中に」犯罪に巻き込まれたことはない、とわざわざ書いたのは、理由があります。

実は管理人は、引越しの作業中ではない時に、私物を盗まれたことがあります。

繁忙期に、現場で引越し作業をしている間に、支店のロッカーの中に置いていた携帯音楽プレーヤーを盗まれました。

一応、警察に通報し、被害届も出しましたが、犯人は捕まっていません。

支店の建物の構造上、外部からの侵入者による犯行とは思えません。

おそらく、繁忙期だったことから、新人のアルバイトか派遣社員による犯行ではないかと推測しています。

もちろん、引越し業者のスタッフとして長い間お世話になったなかで、たった1回のことです。

たまたま運が悪かっただけで、引越し業者のアルバイトや派遣社員が泥棒の可能性が高い、とはまったく思ってはいません。

ただ、長く引越し業者でアルバイトや派遣社員と接してきた経験から言えば、正直なところ、ガラの悪い者や信用できない者もいくらでもいます。

みんながみんがいい人だけと限らない以上、過剰に疑わないようにしつつも、「性悪説」で臨むしかないのではないかと思います。

特に、一人暮らし・独身の女性には注意していただきたいものです。