「引越しのときに荷物がなくなるって、よく聞くけど大丈夫かなぁ…」と心配していませんか?

こんにちは。意外と荷物の紛失のトラブルには関わることが少なかった、元引越し業者スタッフの管理人です。

管理人の個人的な経験では、荷物の紛失はそう起こるものではないと思っていますが、実際の統計では、3番目に起こりやすいトラブルです。

もちろん、紛失するくらいですから、家具や冷蔵庫などの大きな荷物には関係のない話です。

問題は、細かな荷物やダンボールにです。これらは、状況や利用プランによっては、紛失することもあります。

このため、荷物が紛失しやすい利用プランでは、慎重な対応が迫られることもありえます。

具体的には、1.リストを作る、2.ダンボールには他人にはわからない抽象的な書き方をする、3.部屋とトラックの荷台を確認する―の3点です。

また、実際に荷物の紛失があったあ場合は、とにかく早く対応することが重要です。

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荷物の紛失は引越しのトラブル第3位(実質的には1位)

疑問に思う女性

引越しでは荷物の紛失のトラブルが非常に多い

引越しのときの荷物の紛失がどのくらい起きているかというと、実質的には、引越しのトラブルのなかで、一番起こっています。

実質的に1位といっていいほど多い「荷物の紛失」

少し古いデータですが、国民生活センターが発行した『引っ越しサービスをめぐるトラブルの実態と利用のポイント』によると、表1の「引っ越しサービスに関しての主な相談内容」では、次のような相談件数となっています。

  1. 約束不履行 2,453件
  2. 傷 1,874件
  3. 紛失 1,861件
  4. 見積り 1,394件

(注)平成 13~平成18 年度に寄せられた相談の総件数である 11,784 件の内訳(マルチカウント)。

ご覧のとおり、荷物の紛失は、堂々の(?)第3位にランクインしています。第2位の「傷」との差は、わずか13件だけです。

また、第1位の「約束不履行」というのは、非常にあいまいな定義で、あらゆるトラブルが該当しそうな定義です。

これは、「その他」みたいなものだと言えます。

ということは、荷物の「紛失」は「傷」と並んで、実質1位、つまり最も件数が多いトラブルと言って差し支えないでしょう。

【対処方法1】引越しの荷物のリストを作っておく

チェックリスト

引越しでは荷物の紛失の予防はできない

残念ながら、引越しでは、荷物の紛失を予防することは、ほとんどできません。

荷物の紛失は、引越し業者の作業によって発生することがほとんどです。

お客さまがなんらかの対処を取ることによって、荷物の予防するのは、不可能に近いです。

ですから、どちらかというと、荷物が紛失した場合に、スムーズに引越し業者に補償してもらうための対処が重要となります。

荷物のリストを作ると確実に・早く紛失に対処できる

荷物のリストは「証拠確保」と「早期対応」の2つの目的がある

では、実際にどのような対処をするのかといえば、まずは荷物のリストを作ることです。

これには、次の2つの目的があります。

  1. 荷物があったことを証明するため
  2. 荷物の紛失を早く把握して対応するため

それぞれ、詳しく説明していきます。

荷物のリストは「荷物が確かにあったこと」を証明するツール

リストがないと「あった」「引渡した」の水掛け論になる

荷物のリストの1点目の目的は、「荷物があったことを証明するため」です。

荷物のリストは、荷物が「確かにあったこと」のひとつの証拠になります。

実際に荷物が紛失した場合、「この荷物がなくなったんです!!」と口で言っても、引越し業者の補償担当者に(嘘なんじゃないの?)と疑われます。

そして、たいていの場合は、お客さまは「あった」と主張し、引越し業者は「引渡した」と主張します。

このような水掛け論の結果、だいたいはお客さまが泣き寝入りするハメになります。

荷物が「なくなったこと」は証明のしようがない

そもそも、「あった荷物がなくなったこと」を証明することは、不可能に近いです。

何かが「なくなったこと」は、証明のしようがありません。

せいぜい、事前にリストを作成しておくと、荷物が「あったこと」のささやかな証拠となるくらいです。

このリストにしても、(後から作ったんじゃないの?)とか、(最初からそんな荷物なかったんでしょ?)とか、いくらでも疑えるものです。

ですが、何もないよりは、引越し業者の補償担当者も補償交渉に応じやすくなります。

リストの「消込み」で早く「紛失」を把握する

リストがないと「紛失」の把握が遅くなる

2点目の荷物のリストの目的は、「荷物の紛失を早く把握して対応するため」です。

荷物のリストがない場合は、荷物の紛失は、ダンボールをすべて開梱して、初めて気づくことです。

こんなに遅くなっては、補償交渉がスムーズに進みません。

荷物の紛失に限らず、引越しの補償交渉は、いかに早く始めるかがポイントとなります(後ほど詳しく説明します)。

リストの消込みで「紛失」をすぐに把握する

これに対し、荷物のリストがある場合は、荷物がなくなった場合に、すぐにそのことを把握できます。

具体的には、引越し先(新居・卸地)での、小型の荷物やダンボールの搬入作業のときに、リストにある荷物をひとつひとつ消込んでいきます。

こうすることで、確実にすべての小型の荷物やダンボールが搬入されたかどうかの確認ができます。

逆にいえば、わざわざダンボールをすべて開梱しなくても、リストで消込みができていない荷物が紛失した、ということも、その場ですぐ把握できます。

こうして荷物の紛失を早い段階で確認することで、補償交渉にも早く対処できます。

長距離混載便による引越しではリスト作成は必須

なお、長距離混載便のプラン・パックを利用する場合は、リストの作成は必須です。

長距離混載便で、引越し業者の支店や営業所のトラックを使った場合は、そのトラックでそのまま走るわけではありません。

他の長距離輸送用の大型トラックに積み替えて長距離を移動し、さらに、引越し先(新居・卸地)の引越し業者の支店・営業所で現地のトラックに積み替えます。

また、混載便ですので、他のお客さまの荷物と混じります。

このため、積み替えの際や、他のお客さまの荷物に紛れ込むことによって、荷物の紛失することがあります。

ですから、長距離混載便では、リストの作成は必須です。

大手引越し業者はリストを作ってくれることも

引越し業者は悪質なクレーマー対策でリストを作る

なお、大手の引越し業者では、長距離混載便のプラン・パックでは独自のリストを作成しています。

また、ダンボールや荷物にそのリストに対応したシールを貼り付けて、荷物の紛失を予防しています。

これは、お客さまがリストを作る目的とは真逆で、「引越し業者が荷物をすべて確実に引渡したこと」を証明するためのものです。

こうすることで、悪質なクレーマーによる、元からなかった荷物が「なくなった!!」という、クレームを予防しています。

引越し業者がリストを作っているか営業員に確認する

理由や目的は違っていても、最終的には、「過不足なく荷物を引越しさせる」という点では、お客さまと引越し業者の利害が一致しています。

引越しのときに、荷物のリストを作る作業は、意外と手間がかかって大変です。

ですから、わざわざ引越し業者がリストを作ってくれるのであれば、ありがたく利用させてもらいましょう。

ただ、すべての引越し業者がリストを作成しているわけではありません。

このため、特に長距離混載便のプラン・パックを利用する際には、引越し業者の営業員に、リストを作ってくれるかどうか聞いておいてください。

引越し業者が作ってくれるのであれば、それを利用するのが手っ取り早いです。

参照:引越し荷造りで最初にすることは?―荷造りの前に家財全体を確認する

【対処方法2】盗まれそうな荷物は自分で運ぶかダンボールに書かない

手荷物を持つ女性

盗まれそうな荷物はダンボールに具体的には書かない

すでに述べたとおり、引越しでの荷物の紛失は、予防が難しい、という特徴があります。

ただ、例外として、第三者による盗難や、(あってはならないことですが)引越し業者のスタッフによる横領は、ある程度防ぐことができます。

盗まれて困るような荷物は、ダンボールに中身を記入する際に、第三者や引越し業者のスタッフには中身がわからないような方法で記載します。

このように、ダンボールにひと工夫することで、盗難や横領を防ぐことができます。

例えば、女性の下着は、「下着」とせずに、「衣類」、「洋服」、「布製品」と書きます。

また、「ブランド品」「アクセサー」「時計」など、誰が見ても高価なものが入っていると思われるような書き方は、するべきではありません。

参照:引越しの時間が劇的に減る!?―ダンボールに記入する4つの必要事項

貴重品は引越し業者にまかせずお客さまご自身で運ぶ

なお、基本的に盗まれて困るような高価な荷物については、お客さまご自身で運ぶべきです。

そもそも、高価な荷物(現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等)は、引越し業者は運んでくれません(標準引越約款第4条第2項第2号)。

標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(第2号以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

しかも、これらの貴重品は、引越し業者が「貴重品である旨を知って引き受けた場合」でなければ、補償の対象外です(標準引越運送約款第24条第1項)。

標準引越運送約款第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

つまり、貴重品であることを伝えずに(例えばダンボールに詰めて)引越し業者に運んでもらった場合は、補償の対象外となります。

以上のように、自分で運ぶことができる貴重品については、引越し業者に運んでもらうメリットはほとんどありません。

ですから、貴重品は、自分で運ぶべきです。

貴重品は肌身離さず持っておく

この点について、重要なポイントは、引越し作業当日に貴重品を自分で運ぶ場合は、バッグなどに入れておいて、「常に肌身離さず持っておく」ことです。

少なくとも、常に目の届く範囲に置いておくべきです。旧居や新居の中でも、安易に目の届かない場所に置いてはいけません。

というのも、あってはならないことですが、悪質な引越し業者のスタッフが、(当然個人的にですが)貴重品を盗む可能性があるからです。

このような対処が難しいようであれば、一時的に実家に預けるか、自動車の中に入れておくか、またはコインロッカーを利用するなどの対処をしてください。

ただし、貴重品を預けるためにコインロッカーを利用するのは、禁止されていることがあります。

【対処方法3】部屋と引越し業者のトラックの荷台を確認する

確認する女性

引越しでの荷物の紛失でありがちな「忘れ物」

荷物の積替えのミスや盗難・横領以外では、忘れ物が、荷物の紛失の原因となります。

より具体的には、引越し元(旧居・積地)での忘れ物は、部屋への忘れ物です。

また、引越し先(新居・卸地)での忘れ物は、トラックの荷台への忘れ物です。

このため、引越し元(旧居・積地)での作業では、最後の部屋の確認が重要となります。

また、引越し先(新居・卸地)での作業では、最後のトラックの荷台の確認が重要となります。

引越し元(旧居・積地)では最後に部屋を徹底的に確認する

引越し元(旧居・積地)で荷物の運び出しが終わった場合、部屋の中を徹底的に確認します。

このときは、お客さまだけでなく、引越し業者のスタッフにも協力してもらってください。

重要なことは、お客さま・引越し業者のスタッフ、それぞれの視点で確認すること。

そして、部屋を分担するのではなく、ダブルチェック・トリプルチェックで、確認する人それぞれがすべての部屋を確認することです。

忘れ物の確認・掃除・あいさつをして終了―引越し元(旧居・積地)での確認

引越し先(新居・卸地)ではトラックの荷台を徹底的に確認する

まずは引越し用の資材の整理整頓から

引越し先(新居・卸地)で荷物の運び込みが終わった場合、トラックの荷台を徹底的に確認します。

ただ、トラックの荷台を確認する前に、まずは引越し用の資材を整理整頓してもらってください。

引越し用の資材は意外に多く、また、布製品がほとんどのため、荷物が紛れ込みやすいようになっています。

ですから、意外と資材の中に荷物が紛れ込んでいることがあります。

ですから、通常、引越し業者のドライバーは、引越し先(新居・卸地)の現場で、すべての資材を整理整頓して、荷物が紛れ込んでいないか確認します。

もし引越し業者のドライバーが資材を整理整頓せずにそのまま帰った場合は、忘れ物の確認ができなくなります。

ですから、必ず引越し先(新居・卸地)の現場で資材の整理整頓をしてもらってください。

トラックの荷台(特に側面)・座席を確認する

引越し用の資材の整理整頓が終わり、資材に荷物が紛れ込んでいないことが確認できたら、次はトラックの荷台の確認です。

荷台自体は、空になっている状態を確認するだけですので、すぐに終わります。

ただ、たまに、トラックの側面にある養生用資材の隙間に、ガラス・姿見のようなワレモノや、ホウキなどの細長い荷物を差込むことがあります。

引越し業者のドライバーが、これを降ろし忘れることもありますので、こういるトラックの荷台の側面にある養生資材の隙間もよく見てください。

また、ごくまれにですが、引越し業者のドライバーが、トラックの座席にちょっとした荷物を積んで、そのまま忘れることがあります。

このため、トラックの座席に荷物を積んでいないかどうか、ドライバーに確認してください。

参照:荷物を紛失しないように引越し先(新居・卸地)ではトラックの荷台を必ず確認する

【補足】引越しの荷物の紛失は必ずその時その場で確認・交渉

ダメ出しする女性

引越しの荷物の紛失は時効にかかる「3ヶ月」が勝負

引越し作業中に荷物が紛失していることに気づいた場合は、すぐにその場で引越し業者に確認して、補償交渉を始めてください。

というのも、「荷物の一部の滅失又はき損」については、荷物の引渡しの日から3ヶ月以内に引越し業者に連絡しなければ、時効になってしまいます(標準引越運送約款第25条第1項)。

標準引越運送約款第25条(責任の特別消滅事由)
1 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から3月以内に通知を発しない限り消滅します。
(第2項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

これが、荷物の紛失を早く把握して、すぐに引越し業者と補償交渉に入らなければならない、大きな理由のひとつです。

このため、引越し業者には、なるべく早く連絡する必要があります。

時間がたつと「あった」「引渡した」の水掛け論になる

また、引越しから時間がたつと、そもそもその荷物があったのかどうかの確認が取れず、補償交渉が難航します。

引越し業者の補償担当者は、引越しのあとで時間がたってから連絡された場合、(引越しの後でなくなったんじゃ?)と思ってしまいます。

また、引越し業者の補償担当者は、悪質なクレーマーが、それこそ、フリマアプリなどを使って、売ってしまった荷物なのに、「なくなった」と主張していることも想定しなけれななりません。

こうした悪質なクレーマーと思われないようにするためにも、荷物の紛失を確認した場合は、早く引越し業者に連絡するべきです。

このため、なるべく早いうちに、すべての荷物があるかどうかを確認してください。

特に、高価な荷物については、優先的に確認するようにしてください。

まとめ

いかがでしたか?最後にもう一度、荷物の紛失への対処法を確認しておきましょう。

  • 荷物の紛失があった場合に備えてリストを作っておく。
  • リストを作る目的のひとつは「荷物が確かにあったこと」を証明するため。
  • もうひとつの目的は「荷物のなくなったこと」を早く確認するため。
  • 盗難・横領防止のため、ダンボールには「下着」「ブランド品」「アクセサー」「時計」などと書かない。
  • 貴重品は補償対象外のため、お客さまご自身で運ぶ。
  • 引越し元(旧居・積地)では忘れ物がないよう部屋を確認する。
  • 引越し先(新居・卸地)では忘れ物がないよう引越し用資材、トラックの荷台・座席を確認する。
  • 荷物の紛失が発覚したらすぐに引越し業者に連絡する。

管理人自身は、直接には、荷物の紛失の事故に関わったことが、ほとんどありません。

数回、トラックの荷台から荷物を降ろし忘れたことがあるくらいです。

おそらくこれは、管理人の勤務先だった引越し業者が、荷物の忘れ物の対策やリストアップに積極的だったことも原因でしょう。

引越し業者のスタッフとして、最初にリストを作る場面を目撃したときは、(なんて面倒なことするんだろう…)と思ったものです。

同時に、(ここまでやるものなんだ)と、ある種の感動を覚えたものです。

引越し業者によって、荷物の紛失への対策はさまざまでしょうが、やはり大手引越し業者の対策は徹底しています。

荷物の紛失への不安がある場合は、大手引越し業者の利用をオススメします。