「引越し業者のアルバイトが芸能人の引越しSNSで曝してたって、ホント?こんなんじゃ怖くて引越しなんでできないよ…」と不安になっていませんか?

こんにちは。チームリーダー以外の引越し業者のスタッフはスマホを引越しの現場に持ち込むべきでないと考える、元引越し業者スタッフの管理人です。

かつては、引越し業者による個人情報の漏洩など、考えられないことでした。

もちろん、引越しは、住所から、建物内部の部屋や、寝室の場所など、非常にセンシティブな情報が、引越し業者のスタッフに「認知」はされます。

それは、今も昔も変わらない話です。ただ、かつては、「認知」はされたとしても、部外者に大々的に公表されることはありませんでした。

せいぜい、引越し業者のスタッフが、同僚や友達に、話のネタとして引越しの内容を話していた程度です。

ところが、最近では、LINE、twitter、FacebookなどのSNSの発達により、引越し業者のスタッフ個人のメディアから、お客さまの個人情報が漏洩する事態が発生しています。

しかも、個人情報の漏洩を警戒しなければならないのは、芸能人などの有名人くらいのものかと思いきや、一般のお客さまにも被害が出るようになりました。

ですから、一般のお客さまであっても、しっかりと対策を取る必要があります。一人暮らし・単身の女性は、特に注意が必要です。

スポンサードリンク

引越し業者のスタッフがSNSを使って個人情報の漏洩・悪用がある

スマホを操作する引越し業者男性スタッフ

引越しは個人情報だらけ

引越しは、個人情報の塊といっていいほど、さまざまな個人情報を引越し業者に教えることになります。

住所、氏名、性別、電話番号、家族構成など、ごく基本的なものから、だいたいの年齢、独身・既婚のどちらか、部屋の構成から寝室の場所まで、非常にセンシティブな情報までもが、引越し業者に知られてしまいます。

また、厄介なことに、これらのうち、氏名と電話番号を除く情報が、チームリーダー以外の、引越し業者のスタッフにまでバレてしまいます。

しかも、室内での作業がともなう引越し作業の特性上、住所、性別、家族構成、部屋の構成などは、秘密にしておくことができません。

カメラ付きスマホ+SNSで個人情報は漏洩する

…と、ここまでなら、それほど大きな問題になる話ではありません。

管理人も経験がありますが、行儀の悪い引越し業者のスタッフは、トラックの移動中など、いろいろとお客さまの噂話や推測を話すものです。

それで済んでいればさほど実害がありませんが、問題は、そういった「身の回りでの話」を越えてしまった場合です。

特に、カメラ付きのスマホとSNSの普及によって、個人情報の「記録」と「世界中への拡散」がいとも簡単にできる世の中になってしまいました。

このため、引越しでは、「個人情報を隠せない」のに、簡単に「記録・漏洩・拡散される」ということになってしまっています。

しかも、引越しの現場では、必要もないのに、引越し業者のスタッフまでもが、スマホを持ち込んで作業をしています。

ですから、お客さまの個人情報のは、記録され放題です。

芸能人の引越しによる個人情報の漏洩は「氷山の一角?」

実際に、引越し業者(のスタッフ)による個人情報の漏洩の事件としては、次のようなものがあります。

これらは、いずれも芸能人の個人情報が漏洩した案件です。

では、一般人の個人情報は漏洩しないのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。

「LINEでナンパされて」という例も

そもそも、芸能人の個人情報の漏洩が報道されるのは、ニュースバリューがあるからです。

逆にいえば、一般人の個人情報が漏洩していたとしても、通常はあまり報道されません。

つまり、報道されない水面下で、一般人の個人情報が漏洩している可能性もあります。

例えば、某大手引越し専門業者のスタッフが、業務上知り得たお客さま(女性)の連絡先(LINE)で、個人的に連絡を取った、という事例もあります。

しかも、Twitterでは、その助成のお客さまだけでなく、ほかのお客さまからも、同じような情報が寄せられていました。

もはや、個人情報の漏洩・悪用は、芸能人に限った話ではないのです。

【問題点1】法律では個人情報の漏洩は防止できない

目を光らせる男性警察官

個人情報保護法では「個人情報の保護」はできない

もちろん、こうした個人情報の漏洩・悪用は、法律違反に問われる可能性があります。

まず、個人情報の漏洩・悪用の際に、誰もが思いつく代表的な法律が、個人情報保護法です。

引越し業者のスタッフが、お客さまの個人情報を漏洩した場合や、業務遂行以外の目的でお客さまの個人情報を悪用した場合は、個人情報保護法に違反します。

ただ、個人情報保護法に違反したとしても、引越し業者は、あくまで、是正勧告や是正命令を受けるだけです。

このうち、是正命令に違反して、はじめて引越し業者には罰則が課されます。

このため、個人情報保護法は、お客さまおひとりの個人情報を守る方法としては、まるっきり役に立ちません。

よほど悪質でない限り「名誉毀損罪」には該当しない

また、個人情報保護法以外では、刑法の名誉毀損罪に該当する可能性もあります。

ただ、単に個人情報を漏洩させた場合や、引越し業者のスタッフが個人情報を悪用した程度では、「名誉を毀損した」とまではいえません。

それこそ、散らかっている部屋の状態や、下着などの他人に知られたくない荷物の写真を、お客さまの実名・住所つきでSNSに公開するくらいのことをしても、名誉毀損罪として刑事罰を受けるかどうか、微妙なくらいです。

もっとも、おそらく民事上の損害賠償は認められます。

また、単に悪用されるだけでなく、脅迫された場合は脅迫罪に該当したり、つきまとわれた場合はストーカー規制法に違反したりします。

運送業法では引越し業者に秘密保持義務が課されていない

何よりも問題なのは、運送業法(貨物自動車運送事業法)です。

運送業法は、引越し業者に対して運送業の許可を与えるとともに、引越し専業を監督し、規制している法律です。

引越し業者は、運送業法に違反した場合、営業停止処分や、下手したら運送業の許可の取消しとなることもあります。

ですから、引越し業者は、他の法律はともかく、運送業法にだけは、非常に敏感に反応します。

ところが、実は、運送業法では、運送業者に対して、秘密保持義務・守秘義務を課していません。

つまり、仮に、個人情報の漏洩があったとしても、運送業法違反にはならないのです。

この点からも、引越し業者は、特に個人情報を保護する積極的な動機がありません。

【問題点2】引越し業者は個人情報の保護を「約束していない」

困る女性

標準引越運送約款では引越し業者に秘密保持義務が課されていない

まだまだ問題はあります。それは、お客さまと引越し業者の契約条件である標準引越運送約款です。

実は、標準引越運送約款にも、引越し業者の秘密保持義務・守秘義務は、特に規定されていません。

つまり、引越し業者は、お客さまに対して、個人情報の保護を約束していません。

標準引越運送約款は、国土交通省のウェブサイトで確認できますので、興味がおありでしたらご覧ください。

この標準引越運送約款では、ひと言もお客さまの個人情報に関する秘密保持義務・守秘義務は記載されていません。

「個人情報保護方針」「プライバシーポリシー」は単なる宣言

最後にもうひとつ問題があります。それが、「個人情報保護方針」や「プライバシーポリシー」です。

個人情報保護法では、いわゆる「個人情報保護方針」や「プライバシーポリシー」を定めて、公表することが義務づけられています。

ただ、これらはあくまで、引越し業者の一方的な宣言に過ぎません。

こうした個人情報保護方針やプライバシーポリシーがあるからといって、引越し業者とお客さまとの間に、秘密保持契約や守秘義務契約が直ちに成立するわけではありません。

もちろん、実際に個人情報が漏洩した際に損害が発生した場合は、民法上の不法行為(民法第709条)にもとづき、損害賠償の請求ができます。

ただし、損害賠償の額の相場は、個人情報の性質にもよりますが、個人情報漏洩事件の過去の判例では、せいぜい、10,000円程度です。

【対策】引越し業者のスタッフからお客さまの個人情報を守る4つの方法

敬礼する男性

工夫次第ではお客さまの個人情報の漏洩・悪用を十分に防げる

このように、法律や契約によって、お客さまの個人情報を漏洩や悪用から守るのは、非常に難しいのです。

このため、お客さまの個人情報の保護は、問題だらけなのが実態です。

しかしながら、まったく方法がないわけではありません。

そこで、お客さまの個人情報の漏洩・悪用を防ぐ方法を4つ紹介していきます。

【方法1】引越し業者に現場へのスタッフのスマホの持込みを禁止してもらう

1つめの方法が、引越し業者のスタッフが引越しの現場にスマホを持ち込むのを禁止する、という方法です。

チームリーダーやサブリーダーはともかく、他のスタッフにとっては、引越し作業に携帯電話は必要ありません。

このため、引越業者のスマホは支店や営業所に置いてきてもらうことも可能です。

ですから、個人情報の漏洩が気になる方は、見積もりの段階で、引越し業者の営業員に、スマホの持込みを禁止するように、強く求めてください。

スマホの持込み禁止を、引越しを依頼する条件にしてもいいくらいです。

【方法2】「ブロックできる手段」で連絡を取る

なるべくブロックしやすく・不便でない方法で連絡を取る

2つめの方法が、引越し業者の営業員やチームリーダーとは、なんらかのブロックできる手段で連絡を取る、という方法です。

電話番号にしろ、メールアドレスにしろ、SNSでのやり取りにしろ、いざとなれば、いくらでもブロックできる方法があります。

SNSでは公式のブロック機能がありますし、電話番号やメールは、アプリやメールソフトで対応ができます。

ですから、引越しが終わった後で、何らかの個人情報の悪用があった場合に備えて、より簡単にブロックできる方法で連絡を取りましょう。

連絡先の削除までは必要ない

ただ、連絡先を削除することまでは必要ありません。

万が一、引っ越しが終わった後で、補償交渉をする必要があるなど、こちらから連絡する可能性もあるからです。

もっとも、そういった場合は、支店・営業所や場合によっては本社に問い合わせることもできますので、うっかり削除しても問題ありません。

なお、この方法は、逆恨みされるリスクがないわけではありません。

相手は住所を知っていますので、逆恨みされると、ストーカー行為の被害者になる可能性があり、完全にリスクがない方法とはいえません。

【方法3】信頼できる人に引越しの代理人になってもらう

ほぼ完全に個人情報の保護ができる

3つめのが、引越しを代理人にお願いする、という方法です。これは、ある意味で、唯一、「ほぼ完全に」個人情報の漏洩・悪用を防ぐことができる方法です。

引越しは、そこに住むお客さまご本人が、何も必ずしなければならないものではありません。

見積もりの段階から、引越し当日の作業まで、すべて代理人にまかせることができます。

代理人に、すべての引越し業者との接触を任せることより、かなり多くの個人情報を保護することができます。

その引越しの荷物の本当の持ち主=お客さまは、引越し業者にはバレませんし、連絡先を伝える必要もありません。

もちろん、引越し業者とのやりとりがスムーズにいかない、というデメリットもあります。

家族・恋人・友人などの信頼できる人を代理人にする

例えば、芸能人や有名人は、所属プロダクションのマネージャーに引越しをまかせることがあります。

もちろん、一般のお客さまには、マネージャーはいませんので、信頼できる代理人を見つけないといけません。

代理人に選んだ人が、お客さまの個人情報を悪用するようなことがあっては、意味がありません。

ですから、なるべく親しいご家族、恋人、友人など、信頼できて、かつ、引越しの細かいやり取りができそうな人を代理人に選んでください。

【方法4】大手引越し業者を利用する

大手引越し業者であれば問題はあっても「悪化」はしない

4つめが、大手引越し業者を利用する、という方法です。

通常は、一般のお客さまが、家族以外の代理人を駆り出すのは難しいでしょうから、大手引越し業者を利用するのが、現実的な方法です。

すでに述べた、個人情報の悪用の事例では、大手引越し業者のスタッフが関わっていましたので、この方法は、矛盾するように思われるかもしれません。

ただ、先ほどの事例も、あれ以上悪化しなかったのは、大手引越し業者だったからだともいえます。

たしかに、本文中でも述べたとおり、引越し業者に対する個人情報保護の法律は、非常に緩やかですし、契約上の義務も緩いです。

しかしながら、まったく影響がないわけではありません。

大手引越し業者であれば問題が表面化した後の対応が信頼できる

大手引越し業者ほと、監督官庁である国土交通省や個人情報保護委員会の厳しい行政処分を気にします。

なにより、評判が悪くなって、売上が下がることを非常に気にします。

ですから、お客さまの個人情報が漏洩したり悪用されたりする問題があったとしても、それ以上問題が悪化しないように、全力で対策を取ります。

その意味でも、個人情報の漏洩を気にするのであれば、大手引越し業者の利用をオススメします。

まとめ

いかがでしょうか。最後にもう一度、引越し業者による個人情報の漏洩・悪用の問題点と対策について見てみましょう。

  • スマホ+SNSで引越し業者のスタッフがお客さまの個人情報を漏洩・悪用する。
  • 法律は引越し業者からお客さまの個人情報を守ってくれない。
  • 引越し業者はお客さまの個人情報を守る約束をしていない。
  • 引越し業者のスタッフがスマホを現場に持込まないように、引越し業者の営業員に伝えるべき。
  • 引越し業者の営業員・チームリーダーとの連絡は、ブロックしやすい方法でする。
  • 引越し業者とのやりとりを代理人にまかせると、ほぼ完全に個人情報を保護できる。
  • 大手引越し業者を利用した場合、万が一、お客さまの個人情報が漏洩・悪用されても、その後でしっかり対応してもらえる。

管理人が現役で引越し業者に勤務していたときも、それはステキな女性のお客さまがたくさんいらっしゃいました。

当然、作業のやり取りに必要なため、電話番号などの連絡先は交換しました。

もちろん、管理人は、職務上必要な範囲を越えて、個人的に連絡したことは一度もありません(残念ながら、向こうからも一度も連絡はありませんでしたが…)。

また、管理人が勤務していた大手引越し業者では、妙に「職人かたぎ」の先輩が多く、トラックでの移動の合間にお客さまのことを話題にしても、個人情報を悪用したなどという話は聞いたことがありません。

そういう意味では、本文でも触れたLINEの件は、ちょっとした衝撃を受けました。

ただ、大手引越し業者というのは、スタッフに対しては、ある意味、非常に厳しい職場です。

管理職であっても、ほぼ全員が現場上がりの叩き上げですので、あのような個人情報の悪用があろうものなら、容赦しません。大手業者としてのメンツにかけて、徹底した対応をします。

管理人としては、個人情報の漏洩・悪用が心配な場合は、大手引越し業者の利用を強くオススメします。