石油ストーブは、安全に運ぶために、事前に準備が必要です。

石油ストーブは危険物ですので、灯油の処分などの準備をしておかないと、引越し業者には運んでもらえません。

また、比較的振動による事故は少ないですが、灯油の液漏れによる荷物の汚れはたまにあります。

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石油ストーブの灯油が残っていると「危険品」

石油ストーブの中に灯油が残っていると、「危険品」(標準引越運送約款第4条第2項第2号)として、運んでもらえません。

標準引越運送約款第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(第1号省略)
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(第3号および第4号省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

万が一、灯油が残っていることを黙って、または灯油が残っていないと嘘をついて、火災事故や漏れによる荷物の汚れがあったとしても、補償の対象外となる可能性が高いです(後述)。

ですから、必ず事前に灯油を使い切るか、抜いておいてください。また、できれば空焚きもしておいてください。そのうえで、念のため、点火用の電池がある場合は抜いておいてください。

灯油を使い切る場合は、空焚きが最も簡単で安全な方法です。前日までにある程度使っておけば、搬出作業の間に空焚きは終わります。

また、灯油が古い場合に空焚きをすると、石油ストーブの故障の原因となります。このような場合は、ガソリンスタンドで灯油を処分してください。

お客さま梱包の石油ストーブからの灯油漏れがあった場合は補償対象外

灯油漏れの事故が発生した場合、その責任の所在によって、補償されるか補償されないのかが決まります。

ただ、引越し業者が最初から最後まで梱包した場合を除いて、完全に補償されることは難しいものと思われます。

というのも、お客さまご自身が石油ストーブを梱包した場合、その梱包のミス(=過失)によって他の荷物が破損したときは、補償対象外となります(標準引越運送約款第23条第8号)。

第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
(第1号から第7号まで省略)
(8)荷送人又は荷受人等の故意又は過失
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

しかも、灯油が入っていた場合、その旨を引越し業者に伝えていないと、補償の対象外となることもあります(標準引越運送約款第24条第1項)。

標準引越運送約款第24条(引受制限荷物等に関する特則)
1 第4条第2項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
(第2項省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

ここでいう「当店がその旨を知って引き受けた場合」とは、灯油が入っていることを知って石油ストーブを運んだ場合のことを意味します。

すでに述べたとおり、引越し業者のスタッフは、灯油が入っている石油ストーブは、「危険物」扱いにし、運びません。

そこで、灯油が入っていることを黙っていたり、灯油が空になっていると嘘をついた場合は、この標準引越運送約款第24条第1項のの規定により、引越し業者は責任を負いません。

このため、あらかじしっかりと空焚きをして、灯油が漏れないようにしてください。

引越し日に石油ストーブの作動確認をする

石油ストーブは、引越し元(旧居・積地)(新居)と引越し先(新居・卸地)(旧居)両方で、作業当日に作動確認をしてください。

石油ストーブは、地震対策のためか、比較的振動に強いため、引越しの際の振動程度では、あまり内部の不具合は発生しません。

ただ、念のため確認しておいてください。

特に、オフシーズン(夏)の引越しの際には、つい作動確認をせずにそのまま搬出し、引越し先(新居・卸地)でも押入れなどに保管してしまいがちです。

これだと、冬になって内部の不具合がわかったとしても、補償の対象外となる可能性が高いです。

というのも、搬入の日から3ヶ月以内に内部の不具体の連絡しないと、時効にかかってしまい、補償されなくなるからです(標準引越運送約款第25条第1項)。

標準引越運送約款第25条(責任の特別消滅事由)
1 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から3月以内に通知を発しない限り消滅します。
(第2項以下省略)
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

紙を給油口に詰めてビニール袋で梱包

灯油を使い切り、空焚きまでしても、石油ストーブの中には灯油が残っていることがあります。

このため、石油ストーブを梱包する際には、ストーブ本体の給油口に紙を詰め込んで、本体から灯油が逆流しないようにしてください。

この際、ティッシュ、トイレットペーパー、新聞紙などの破れやすい紙を詰めると、カスが残ってしまって、故障の原因となります。

このため、食器梱包用の紙(クレープ紙・クレープペーパー)やクッキングペーパーなど、破れにくい紙を使ってください。心配な場合は、ガーゼなどでもいいでしょう。

また、ダンボールに梱包する前に、石油ストーブ全体をビニール袋で梱包してください。この際、なるべくニ重三重に梱包してください。

こうすることで、万が一、石油ストーブから灯油が漏れ出したとしても、灯油が周りに荷物ついてしまうことはありません。