「そろそろ引越しに荷造りを始めたいけど、まず何から手を付けていいのか、さっぱりわからない…」と、途方に暮れていませんか?

こんにちは。仕事の引越しではほどんど荷造りを担当しませんので、たまにプライベートの引越しで荷造りを始めるとウンザリする、元引越し業者スタッフの管理人です。

引越しの荷造りでは、いきなりダンボールに荷物を梱包してはいけません。

その前に、いろいろと準備や段取りがあります。

引越しの荷造り・荷物の梱包の際、最初にしなければいけないことは、家財全体の確認です。

家財全体をしっかり確認しておくことで、事故を防止したり、トラブルがあった際にスムーズな補償交渉ができるようになったりします。

実際に荷物の梱包を進める家庭では、できれば一覧表を作るべきです。

ただ、荷物の一覧表を作る作業は、なかなか大変な作業です。

引越し業者を完全に信用する場合は割愛するなど、ケース・バイ・ケースの対応となります。

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家財をリストアップする

バインダーのリスト

一覧表を作成してプリントアウトしておく

最初に「自分の家には何があるのか」ということを把握するため、家財をリストアップしてください。

これは、引越しによって、万が一荷物が紛失した場合に、引越し業者に対して補償交渉をしやすくするためです。

特に見積書に記載されていないものや、なくなったら困るものは、必ずリストアップしてください。

リストアップの方法は、どのような方法でもかまいません。

ただ、ExcelやGoogleスプレッドシートのような電子的な方法では、後々「改ざん」できてしまいます。

ここでは、実際に改ざんされているかは問題ではなく、改ざん「できること」が問題なのです。

その意味では、後々改ざんできない、プリントアウトされた紙の一覧表ほうがいいといえます(あくまで法的な証拠という観点ですが)。

荷物の紛失は引越しトラブルの第3位

引越しの事故のうち、よく起こるものが、荷物の紛失です。

国民生活センターの『引っ越しサービスをめぐるトラブルの実態と利用のポイント』(2ページ目)によると、トラブルの件数で堂々の(?)第3位となっています。

ここにも書いているとおり、「荷物を紛失されたが、業者は渡したという。」といった、「水掛け論」がしょっちゅう起こります。

そもそも、紛失したら困るもの、特に貴重品は、引越し業者に運んでもらわない、というのが鉄則です。

引越し業者のほうも、貴重品は運んでくれません。

第4条(引受拒絶)
(第1項省略)
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
(1)現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
(2)火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
(3)動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
(4)申込者が第8条第1項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第2項の規定による点検の同意を与えないもの
出典:国土交通省「標準引越運送約款」

そうはいっても、自分で運ぶ量にも限界がありますので、大半の荷物はは引越し業者に任せるしかありません。

引越し業者が補償に応じる「理由」を用意する

もし荷物が紛失したとしても、引越し業者としては、補償交渉には誠実に応じたいところではあります。

しかしながら、引越し業者としても、お客さまからの補償交渉には、何でも応じるわけにはいきません。

引越し業者の補償担当者としては、「荷物がなくなった」というクレームがあった場合、(最初から荷物にはなかったのでは?)という可能性を考えます。

もちろん、このような引越し業者を騙そうとする悪質なクレーマーは、ごく一部でしかありません。

ただ、引越し業者が補償に応じるには、それなりの理由が必要です。

また、引越し業者の補償担当者もサラリーマンです。

「会社のお金を使って補償に応じる」には、上司に対する「言い訳」のひとつも必要となります。

この「理由」や「言い訳」になるのが、あらかじめ作っていた荷物のリストです。

荷物のリスト・一覧表は荷物の紛失の間接的な証拠となる

単に口で「この荷物がなくなったんです!!」と主張したところで、引越し業者の補償担当者に(嘘なんじゃないの?)と疑われます。

そもそも、「あった荷物がなくなったこと」を証明することは、不可能に近いです。

何かが「なくなったこと」は、証明のしようがありません。

引越し業者としても、なんらかの証拠がないと、荷物の紛失の補償には応じにくい、という実態があります。

荷物のリスト・一覧表は、間接的ではありますが、この「あった荷物がなくなったこと」を証明する証拠となりえます。

引越し業者の補償担当者としても、そこまでの準備があれば、補償に応じる理由になります。

このような引越し業者からの補償を引き出すためにも、荷物のリスト・一覧表を作っておいてださい。

ダンボールの番号・内容をリストにする

投資番号

PC・スマホで一覧表を作成してプリントアウトする

ダンボールに荷物を詰め始めたら、できたダンボールには通し番号をつけて一覧表を作ってください。

また、それぞれについて、一覧表に内容を書いておいてください。これは、ダンボールが紛失した場合の補償交渉に備えるものです。

作成方法は、すでに述べたとおり、「改ざん」できてしまう電子的な方法(Excel・Googleスプレッドシート)ではあまり意味がありません。

かといって、全部手書きで書くのも、非効率で大変だと思います。

そこで、折衷案として、PCやスマホで作成したうえで、完成したらプリントアウトしてください。

これも、すでに述べたとおり、ダンボールが紛失してしまった場合に、引越し業者に対して提示できる証拠のひとつとなります。

特に、長距離混載便のように、他人の荷物と混ざる可能性があるプランの場合や、荷物の積み替えをおこなうプランの場合は、一覧表の作成は、必須の作業です。

なお、サービスが行き届いている引越し業者は、長距離混載便や、途中で荷物の積替えがある場合は、引越し業者のスタッフが一覧表を作ってくれます。

ダンボールの搬入の際にリストを消し込む

引越し先(新居・卸地)でのダンボールの搬入作業の際には、ダンボールが搬入された場合に番号を確認し、作った一覧表の番号を消し込んでください。

こうすることで、確実にすべてのダンボールが搬入されたかどうかの確認ができます。

万が一、ダンボールが紛失している場合は、すぐに支店に連絡して、その時その場で補償交渉に入ってください。

後日、引越し業者に連絡したとしても、補償担当者に(本当はちゃんと引渡してるんじゃないの?)と疑われて、補償交渉が難航する可能性があります。

キズ・ヘコみ・破損の有無を確認・写真撮影

インスタントカメラ

「キズ・ヘコみ・破損がないこと」の証拠を作っておく

大型の家電製品や家具については、なるべく事前に掃除をして、キズ・ヘコみ・破損の有無を確認してください。

その際、フィルム式のカメラ(使い捨てで結構です)で写真を撮影してください。

これは、引越し作業が原因でキズ・ヘコみ・破損ができてしまった場合に、スムーズに補償交渉をするためです。

家具・大型家電製品のキズ・ヘコみ・破損は、よく起こる引越しの事故です。このため、念入りに対策してください。

具体的には、つぎのような家具・大型家電製品が、よくキズ・ヘコみ・破損ができます(あくまで管理人の経験則です)。

  • 和ダンス:非常に重く、形も大きいため、全体的にキズ・ヘコみがつきやすい。特に角に注意。
  • 洋服ダンス・ワードローブ・本棚:背が高いため、角が壁・天井に当たりやすい。
  • 桐ダンス:全体的に汚れがつきやすい。素手での扱いや、汗・水分で汚れに注意。
  • ベッド:引越し業者のスタッフの扱いが下手だと部品が倒れてキズ・ヘコみができる。
  • 仏壇:サイズによっては非常に重くなる。全体的にキズ・ヘコみ・破損のリスクが高い。
  • 冷蔵庫:家族用のものは非常に重い。全体的にキズ・ヘコみができるリスクがある。特に前面はヘコみやすい。

ちなみに、洗濯機は、意外とキズやヘコみができにくいものです。ただし、揺れによって、内部の不具合が発生する可能性はあります。

スマホ・デジカメの写真はNG

写真撮影についてですが、デジカメや携帯電話のカメラでの撮影は、あまり意味がありません。

というのも、デジカメや携帯電話のカメラで撮影した画像は、加工が簡単なため、証拠能力があまり高くありません。

このため、引越し業者との補償交渉では、「ないよりはマシ」程度のものでしかありません。

これに対して、フィルム式のカメラで撮影された写真は、簡単に加工できないため、証拠能力が高いとされています。

このため、フィルム式の写真は、引越し業者との交渉でも強力な交渉材料となります。

使い捨てカメラや、インスタントカメラで大丈夫ですので、大事な家具の写真を撮っておいてください。

奥の部屋から・普段使わないものから梱包

梱包する女性

日常生活に支障が出ないものから梱包する

引越しの梱包の作業は、普段使わない荷物の梱包から始めてください。

また、場所については、最も使わない部屋からとりかかってください。

引越し作業の当日までは、普段どおりに生活していかなければなりません。

よく使う荷物を梱包してしまったり、やよく使う部屋で梱包作業をすると、日常生活に大きな支障が出てしまいます。

まず使わないひと部屋の荷物を梱包して「荷物置き場」にする

梱包作業については、まずひとつの部屋(使わない部屋)の荷物の梱包を済ませてください。

その部屋は、その後に梱包された荷物の「荷物置き場」になります。

その後、他の部屋で梱包が進んできたら、「荷物置き場」にダンボールや荷物を置いてください。

押し入れに空きスペースがある場合は、押し入れの中にダンボールを入れてしまってもかまいません。

また、最後には、廊下にダンボールなどを積み重ねていってください。もちろん、通れるだけのスペースを空けたうえでの話です。

引越し業者は、引越し作業当日は、ダンボールから搬出していきます。

廊下にダンボールがあったとしても、特に問題なく作業をしてくれます。

まとめ

管理人も随分たくさんの引越しを経験してきましたが、正直なところ、お客さまの側で積極的に荷物の一覧表を作っていらっしゃる方は、数えるほどしかいません。

これは、管理人が務めていた引越し業者が、業界内でもかなり信頼されている会社だったというのもあると思います。

また、管理人が務めていた引越し業者では、長距離混載便やトラックの積替えがある引越しでは、トラブル防止のために、会社でリストを用意していました。

ご丁寧なことに、通し番号のシールまで用意して、ダンボールに貼っていました。

それほどの対応をしても、荷物の紛失は起こるものです。

大切なものは自分で運ぶ。紛失があってもスムーズに補償を受けたい場合は、手間がかかっても一覧表を作る。これを忘れないでください。