「引越し元(旧居・積地)の天袋に荷物を忘れてしまって、引越し業者と揉めて大変な目にあった…」という経験、ありませんか?
こんにちは。天袋、天井裏、地下収納などの荷物を、何度も積み忘れそうになったことがある、元引越し業者スタッフの管理人です。
引越し業者では、すべての荷物をトラックに積込み終わると、建物の養生をはずし、移動の準備に取り掛かります。こうなると、搬出作業は終了です。
いよいよ、旧居ともお別れです。この段階で、引越し業者から最終確認と、確認書へのサインを求められます。
確認書へのサインは、「忘れ物がありません」ということを誓約する意味もあります。
ですから、建物の中と外に荷物の忘れ物がないかどうか、よく確認してください。
忘れ物があった場合は、お客さまご自身で運ばなければならなくなる可能性もあります。
また、掃除とご近所へのあいさつも忘れないようにしてください。
「立つ鳥後を濁さず」です。
必ずすべての部屋を引越し業者のスタッフとは別に確認する
ダブルチェック・トリプルチェックが重要
荷物の搬出が終わったら、必ずすべての部屋・すべての収納を確認して、忘れ物がないようにしてください。
この際、引越し業者のスタッフや他のご家族と分担して確認してはいけません。
できるだけ、引越し業者のスタッフも含めて、それぞれがすべての部屋・すべての収納を確認してください。
最低でも、お客さまの家族のうちから1人、引越し業者のスタッフのうちから1人が、それぞれですべての部屋・すべての収納を確認します。
これで、すべての部屋・すべての収納をダブルチェックすることになり、忘れ物のリスクはかなり減ります。
できれば、もっと多くご家族、引越し業者のスタッフにチェックしてもらってください。トリプルチェックをするくらいがちょうどいいです。
お客さま・スタッフそれぞれの視点で確認する
「引越し業者のスタッフの確認は意味があるの?家のことは自分が一番よく知っているし、自分の確認だけで十分じゃない?」とお考えになるかもしれません。
確かに、お客さまの家のことは、ご自身やご家族が一番よくご存知でしょう。
他方で、引越し業者のスタッフは、お客さまよりも「引越し」をよくわかっています。
過去の経験上、忘れ物をしやすい場所や、見落としがちな収納など、お客さま以上に、「引越しの忘れ物」をよくわかっています。
だからこそ、引越し業者のスタッフに確認してもらう意味があります。
ですから、できるだけ経験豊富なスタッフ(チームリーダーかサブリーダー)に部屋・収納の確認をしてもらってください。
引越し業者のスタッフが確認しない場合はお願いする
サービスのいい引越し業者のスタッフは、お客さまから何も言われなくても、自分から忘れ物がないか確認します。
これは、もちろんいいサービスを心がけているから、というポジティブな理由もあります。
ただ、どちらかというと、「忘れ物があると会社から責任を追求される」というネガティブが理由もあります。
いずれにしても、確認してもらうのであれば、別に問題はありません。
他方で、サービスがよくない引越し業者では、お客さまから特に何もいわれなければ、部屋・収納の確認をしないこともあります。
こういう引越し業者は、忘れ物があると、「その忘れ物は当社の責任ではありません」と主張し、お客さまの責任・費用負担で忘れ物の引越しをするように主張します(あくまで管理人が聞いた範囲の話です)。
このようなことがないように、引越し業者のスタッフにも部屋・収納を確認するように求めましょう。
気づきにくい収納場所ほど重点的に確認する
忘れ物を確認する際には、部屋の確認をするのは当然ですが、それ以上に、天袋、押し入れ、床下収納、屋根裏収納などの収納の確認が重要です。
室内の収納場所は、経験の浅い引越し業者のスタッフでは、忘れがちな場所です。
廊下の収納、キッチンの天袋、押入れなどのように目立つ収納場所などはすぐにわかります。
ですが、部外者である引越し業者には分かりづらい収納場所の荷物や、目が行き届きにくい、あるいは手が届きにくい奥の収納場所の荷物などは、忘れがちです。
ベテランの引越し業者のスタッフは、むしろこういう収納を重点的に確認するものですが、経験の浅いスタッフではこうはいきません。
残念ながら、すべての引越し業者のチームに、このようなベテランのスタッフが配属されるわけではありません。
ですから、見えにくい、手が届きにくい場所の収納は、お客さまが重点的に確認するようにしてください。
室外の収納・外回りも確認する
室内だけでなく、室外の荷物の確認も重要です。庭や室外収納も忘れずに確認してください。
忘れがちな荷物は、エアコンの室外機や自転車です。これらの忘れ物がないか、よく確認してください。
また、マンションの場合、玄関脇に外から開けられる収納がついていることがあります。
この収納にある荷物が、意外に忘れがちです。こちらも忘れないように注意してください。
室外の荷物は、特殊な形だったり、観葉植物のように運ぶのに手間がかかるものがほとんどです。
これらの荷物を忘れてしまった場合に、お客さま自腹で運ぶとなると、一般的な荷物に比べて、非常に高い料金となる可能性もあります。
このような想定外の追加出費が発生しないためにも、室外の忘れ物の確認はしっかりとしてください。
掃除して掃除機を最後に引越し業者のトラックに積み込む
掃除機をかける時間くらいはある
忘れ物がないことを確認したら、積込み作業は終了となります。
これで引越し元(旧居・積地)での作業は終わりですので、次はいよいよ引越し先(新居・卸地)への移動となります。
ただ、よほど特殊な事情(例:引越し先がマンションで引越し作業の時間の制約がある場合など)がない限り、掃除機をかける時間くらいはあります。
ですから、掃除機は、梱包や搬出をせずに取っておきます。最後に部屋全体に軽く掃除機をかけてから、掃除機をトラックに積み込んでください。
そのくらいの時間であれば、引越し業者にも待ってもらえます。
掃除機の「押売り」に注意
引越し業者によっては、掃除機をトラックに常備していることがあります。
この掃除機は、引越し業者のスタッフに頼めば、たいてい貸してもらえますから、遠慮無く使ってください。
ただ、これは単なるサービスではなく、掃除機の販売促進を兼ねていることがあります。
つまり、「お試し」で使ってもらう、ということです。
このため、使った後にしつこくセールスをされることがありますので、注意してください。
こういった「押売り」を避けたい場合は、やはりご自分の掃除機を使うのが一番です。
ご近所への終了のあいさつと最終確認
騒がしい引越し現場ほど丁寧な挨拶を
積み込み作業の終了すると、引越し業者は、すべての荷物・資材を積み込み、移動の準備をします。この準備が終わるまでは、若干の時間がかかります。
このため、この空き時間を利用して、ご近所に搬出作業の終了のあいさつをしておいてください。
特に、アパートや団地などで、2階以上の部屋に住んでいた場合は、階段作業で思った以上に大きな騒音が出ます。
それだけご近所に迷惑をかけていますので、ご近所の方としては、一刻も早く引越しが終わってほしい、と思っています。
ですから、なるべく早く引越しが終わったことを伝えてあげてください。
ただし、特に親しいご近所の方や、子供の友達のご家族などへのお別れのあいさつなどが長引くこともあるでしょう。
この場合は、引越し業者が引越し先(新居・卸地)に出発した後でもいいでしょう。
もちろん、あまりお別れのあいさつが長くなって、引越し先で引越し業者のスタッフを待たせるようなことがあってはいけません。
壁・床・畳のキズ・ヘコみ・汚れを厳しくチェックする
ご近所の方がいらっしゃらない場合やあいさつで時間が余った場合は、再度忘れ物がないかどうかを確認してください。
併せて、壁・床・畳のキズ・ヘコみ・汚れの有無なども確認してください。
特に重点的に確認する場所は、以下の部分です。
- 玄関の床:荷物をいったん置く場所なので、床にキズ・ヘコみができやすい。
- 階段の手前の床・踊り場:同上
- 廊下の曲がり角の壁(内側・外側とも):角や外側の壁に家具が接触してキズ・ヘコみができやすい
- 階段の踊場の角の壁(内側・外側とも):同上
- 部屋の出入り口・ドア付近の床・壁:家具を運ぶ際に壁や出入り口の両側に接触したり、床に置くことで、キズ・ヘコみができやすい
- 吹き抜けになっていない階段の低い天井:背の高い家具(特に洋服ダンス・ワードローブ)が接触してキズ・ヘコみができやすい
たくさんあるように思われますが、結局は、玄関と曲がり角と部屋の出入り口が、事故が起こりやすい場所といえます。
ですから、これらの場所をざっくりと確認するだけでも、事故の発見につながります。
これらの確認は、いくらしてもしすぎることはありません。
真新しいキズ・ヘコみ・汚れを確認した場合は、「その時」「その場所」で引越し業者と補償交渉に入ってください。
書類へのサインは慎重に
「忘れ物がないこと」を確認して書類にサインする
確認が終わったら、引越し業者から書類にサインを求められます。
このサインには、「忘れ物はありません」ということを誓約する意味があります。
もし忘れ物があった場合は、お客さまのチェックミスということになります。
忘れ物は追加料金を払って引越し業者や他の運送会社に運んでもらうか、お客さまご自身が運ばなければならなくなります。
ですから、安易にサインをするのではなく、忘れ物がないことをよく確認してからサインしてください。
「事故がないこと」を確認して書類にサインする
もうひとつ、引越し業者の書類には、「事故はありません」というこを誓約する意味もあります。
こちらも、忘れ物と同じように、もし後から事故があったことが発覚しても、引越し業者は、この書類とサインを盾に、補償交渉に応じてくれない場合があります。
これは、引越し業者によって、対応に温度差があります。
比較的対応が緩やかな引越し業者では、あくまで悪質なクレーマーを相手にした場合だけに、この書類とサインを持ち出してきます。
他方、対応が厳しい引越し業者では、最初からこの書類とサインを盾に、頑として補償交渉に応じない場合もあります。
いずれにせよ、こちらも安易にサインをするのではなく、事故がないことをよく確認してからサインしてください。
事故があった場合はその旨を詳細に書いたうえでサインする
なんらかの事故があった場合は、そのまま書類にサインをしてはいけません。
なるべく事故の詳細を書いたうえで、サインしてください。
こうすることで、後の補償交渉の際に、引越し業者に悪用されずに済みます。
なお、引越し業者の確書類は、サインをしたらスタッフに回収されてしまい、お客さまがあとで確認することができなくなります。
ですから、特に事故があったのであれば、近くのコンビニなどに行ってでもコピーを取っておいてください。
最低限、スマホのカメラで撮影して、あとで確認できるようにしてください。
まとめ
引越しでの荷物の忘れ物は、意外とあります。管理人も、何度も「やらかし」かけました。
しかも、気づくのがかなり遅くなってから、というパターンが多く、引越し業者との費用負担や補償の交渉が難航します。
ベテランのスタッフほど、忘れ物によく気がつくものですが、そう都合いいことばかりとはいきません。
余談ですが、ごくまれに、(いろんな意味で)「見つけてはいけないもの」が見つかったりして、大変なことになることもあります。
そういう意味でも、お客さまご自身の確認が重要となります。
また、引越し業者がサインを求める確認書は、いろんなタイトルになっていますが、中身はいわゆる「契約書」です。
これは、法的拘束力があり、裁判でも証拠になる立派な書類であって、単なる紙切れとはわけが違います。
管理人の経験上、よく読んでサインされるお客さまは数えるほどしかいません。感覚的には1,000人に数人いればいいほうでしょう。
みなさん、本当に読まずにサインされています。
引越しの忙しい最中ですからやむを得ませんが、熟読するべきとは申しませんが、せめてご一読なさってからサインするべきです。
引越し業者にとって有利な内容が書かれていますので、びっくりされると思います。
ただ、引越し業者としても、そのくらいの書類に一筆書いてもらわないと、とても事業として成り立たない、という事情もあります。
それだけ、引越しのサービスというのは、お客さまにとっては、費用対効果が高いサービスであるともいえます。
引越し業者を利用するということは、サービス内容からしたら、不当に料金・費用・値段が高い、というものでないのです。
- お客さま・引越し業者のスタッフが、それぞれ別々に、すべての部屋・すべての収納に忘れ物がないか確認する
- 天袋、押入れ、天井裏の収納、床下収納など、見えにくい・手が届きにくい収納に忘れ物がないか確認する
- 同様に、室外の収納、庭も確認する
- 部屋に掃除機をかける
- ご近所にあいさつし、引越しが終わったことをお伝えする
- 壁・床・畳のキズ・ヘコみ・汚れを厳しくチェックする
- 「忘れ物がないこと」を確認して確認書にサインする
- 「事故がないこと」を確認して家訓書にサインする
- 事故があった場合はその旨を詳細に書いたうえでサインする