「荷物はしっかりダンボールに梱包はしたけども、引越し業者のスタッフの人たちはちゃんと丁寧に扱ってくれるかな…?」と、心配になってませんか?
こんにちは。かつて勤務先の引越し業者の先輩に、ダンボールは「走って」運ぶものだと教わり、愕然としたことがある、元引越し業者スタッフの管理人です。
引越し元(旧居・積地)では、最初に小型の荷物やダンボールを搬出してから、家具・冷蔵庫・洗濯機などを運び出します。
もちろん、その前に、建物をキズつけないように、養生作業をします。
参照:事故防止のためには必須の作業―引越し元(旧居・積地)での養生作業の注意点
小型の荷物やダンボールの運び出しから、いよいよ本格的な引越し作業が始まります。
この作業自体は、さほど難しいものではありません。ですから、あまり事故が起こる作業ではありません。
ただ、引越し業者のスタッフの体力や能力によっては、荷物やダンボールを落としてしまう事故が発生します。
ダンボールや小型の荷物の搬出時に事故があった場合は、「その時」に「その場」で確認することが重要です。
引越し業者のチームリーダーが無理をさせていないか?
ダンボールを運ぶ作業は難しくない
小型の荷物やダンボールを運び出す作業は、体力さえあれば誰でもできる、簡単な作業です。
ですから、「本来であれば」事故は起こらないものです。
引越しで使うダンボールに、一般のご家庭の荷物を詰めたとしても、それほど重くはなりません。
せいぜい、本がめいっぱい入ったダンボールが重くなるくらいです。
ですから、自分のペースで動いている限り、落としたり、ぶつけたりすることはまずありません。
引越し業者のスタッフは「自分のペース」では動けない
引越し業者のスタッフは荷物を選べない
ところが、引越しで小型の荷物やダンボールを運び出す作業では、スタッフは「自分のペース」では動けません。
まず、持つ荷物やダンボールは、自分では選べません。
小型の荷物やダンボールは、それぞれのスタッフが、勝手に自分の裁量で運び出すわけではありません。
室内で作業をするチームリーダー(またはサブリーダー)を先頭にして、リレーのように運び出します。
つまり、小型の荷物やダンボールを、スタッフに次々に受渡しながら、トラックまで運ぶのです。
ですから、引越し業者のスタッフが運ぶのは、リーダーが選んだ小型の荷物やダンボールであって、自分で選んだものではないのです。
ということは、引越し業者のスタッフは、「極端に重いダンボール」を持たされることもあるのです。
ダンボールを持って「走らされる」
そして、引越し業者のスタッフは、常に素早く動かなければなりません。
ダラダラしていると、チームリーダーに怒られます。
小型の荷物やダンボールを持っているときも、容赦なく走らされます。階段であってもです。
これは、管理人が引越し業者のスタッフとして働き始めたときに、最初にビックリしたことです。
(そんな運び方したら危ないんじゃないかなぁ?)と思ったもので、今でもそう思っています。
ですから、管理人がチームリーダーを務めた現場では、走るか走らないかはスタッフにまかせて、自分のペースで動くように指示を出していました。
スタッフに無理をさせるチームリーダーかどうかをチェックする
まともなチームリーダーであればスタッフに無理をさせない
このように、非常に単純に見える小型の荷物やダンボールの運び出しですが、単純だからこそ、リスクがあります。
それが、「引越し業者のチームリーダーが、スタッフに無理をさせる」ということです。
ダンボール等など小型の荷物の搬出作業は、知識や経験などは、ほとんど必要ありません。体力、特に腕力の有無が重要となります。
こればかりは、スタッフ個人の体力の問題ですから、いくら頑張っても限界があります。
ですから、本来であれば、チームリーダーは、最も体力が低いスタッフに合わせて、ダンボールの重さ考えて運び出すものです。
また、持ちやすいように、軽いダンボールを下にして、その上に重いダンボールを載せます(重心が上になるため、腕の負担が減る)。
間違っても、初めて引越しを経験するアルバイトや派遣社員に、本が詰まったダンボールを2つ重ねて持たせてはいけません。
もちろん、走れるだけの体力がないのに、走らせてもいけません。
スタッフの限界を越えると落下事故が起こる
ところが、中には、スタッフへの配慮をまったくせずに、ダンボールを運び出すチームリーダーもいます。
もちろん、いくらスタッフに無理をさせたところで、無理なものは無理です。
そして、限界を越えたときに、スタッフがダンボールや小型の荷物を落としてしまい、中の荷物が破損します。
ですから、引越し業者のチームリーダーが、他の経験の浅いスタッフに無理をさせていないかどうか、よく見ておいてください。
無理をさせている場合は、荷物の落下による事故が起こります。
特に、重い食器や本のダンボールを2つ重ねて運んでいる場合は、落下事故がよく起こります。
当然、食器のダンボールは、落下したらまず間違いなく食器が割れます。
マンションの引越しでの台車作業は荷崩れの事故が発生する
台車作業は腕力・体力の代わりに技術・経験が必要
マンションのエレベーターを使う場合、引越し業者は、台車に載せて荷物を運びます。
このため、引越し業者のスタッフの腕力・体力はほとんど必要ではありません。
もちろん、スタッフの腕力・体力不足による事故はあまり起こりません。
しかし、その代わりに、台車で運ぶための一定の技術・経験が必要とされます。
台車作業は一見して簡単そうに見えますが、実は、意外に難しい作業です。
マンションの微妙な傾斜、台車への積み降ろし作業、エレベーターへの乗降の際の段差などによって、ダンボール等の荷物が崩れることがあります。
引越しでは台車のダンボールは3段まで
また、マンションの引越しでの台車作業では、3段のダンボールを積み重ねて、その上にダンボールに入っていない小型の荷物を載せて運びます。
台車に4段以上のダンボールを重ねた場合、バランスを取るのが格段に難しくなり、非常に崩れやすくなります。
また、ダンボールの上に載せているダンボールに入っていない小型の荷物は、よく台車の上から落ちます。
ですから、ダンボールは3段にとどめ、上に載せるの荷物も、崩れにくいようにするよう、チームリーダーが配慮しなければいけません。
台車作業でも「無理をさせるチームリーダー」が事故を引き起こす
ところが、ここでも「無理をさせるチームリーダー」が、ダンボールを4段重ねたり、ダンボールの上に大量に荷物を載せたりします。
マンションの引越しでの台車作業は、エレベータでの昇り降りになるため、手持ちで運ぶ作業よりも時間がかかってしまいます。
そこで、1回あたりの台車で運ぶ量を増やして、早く荷物を運び出そうとする結果、落下事故が起こります。
このため、4段以上にダンボールを重ねている場合や、大量の小型の荷物をダンボールの上に載せている場合は、要注意です。
特に、経験の浅いアルバイトや、派遣社員などが、台車の荷崩れや落下事故を起こしていないかどうか、チェックしてください。
ダンボール・荷物の落下・転倒・荷崩れはその時その場で確認
引越し作業を中断してでも「その時その場で」が重要
もし引越し業者のスタッフがダンボールや荷物を落としたり、転倒させたり、荷崩れさせたりした場合、直ちに引越し作業を中断してください。
そして、必ず「その時その場」でキズ、汚れ、割れを確認してください。
特に、ダンボールに梱包された荷物の場合は、開封して中身の荷物を確認してください。
確認した結果、荷物に破損があった場合は、引越し業者の支店・営業所の事故担当者に連絡して、補償交渉をしてください。
確認・補償交渉を後回しにしてはいけない
その時その場で確認せずに後で確認した場合は、補償交渉が難航することがあります。
というのも、引越し業者としては、引越しの後で連絡されても、(それはウチのミスじゃなくて、開梱した後で壊れたんじゃないの?)と疑ってしまいます。
こうなると、「本当に引越し業者のスタッフがダンボールを落としたのか」とか、「落としたことが原因で荷物が壊れたのか」といったことになり、補償交渉が難航します。
最悪の場合、時効によって、補償してもらえなくなる可能性があります。
ですから、荷物に破損があった場合は、その時その場での「現場検証」(あまりいい表現ではありませんが)が重要になります。
子供やペットが引越し業者の作業の邪魔をしないように注意する
子供・ペットは事故やケガの原因となる
すでに述べたとおり、引越し業者のスタッフは、小型の荷物やダンボールを運び出す際は、走って移動します。
廊下などの平坦なところは当然ですし、階段であっても駆け下りていきます。
この際、子供やペットがウロウロしていると、非常に危険です。
特に、接触による事故や、子供やペットを避けたことによる荷物やダンボールの落下事故などが起こります。
場合によっては、事故や、子供・ペット・引越し業者のスタッフのいずれかのケガにつながる危険さえあります。
子供やペットへの配慮で引越しが遅くなることも
引越し業者のスタッフとしてはも、子供やペットを無視して運ぶわけにはいきません。
引越しの現場に子供やペットがいる場合は、なんとか事故が起こらないように、配慮しながら作業します。
実は、ダンボールを2つ持った状態では、足元の視界は、かなり塞がれます。
ですから、子供やペットの存在に気づきにくく、慎重に作業を進めなければなりません。
こうなると、作業効率が非常に落ち、引越しに非常に時間がかかってしまいます。
このため、子供やペットがスタッフを邪魔しないように、気をつけてください。
引越しの現場にはなるべく子供やペットを入れない
こうした事情があるため、なるべく子供やペットは、引越しの現場には入れないほうがいいです。
これは、引越し業者のスタッフのためであり、また、お客さまご自身、なにより、当のペットや子供のためでもあります。
ですから、引越しの当日は、子供やペットは、ご友人、ご近所、実家、保育園、幼稚園、学童などの第三者に預けてください。
引越しの作業は、想像以上に危険な作業です。子供やペットの安全のためにも、ご協力ください。
まとめ
引越しでの小型の荷物やダンボールの運び出しは、慣れてしまうと、別にどうということはないものです。
多少でも引越しの作業を経験すると、その日の作業のウォーミングアップくらいにしか感じなくなります。
問題は、その「多少の引越し作業の経験」をしたスタッフが、チームの中には、1~2人しかいないのが「普通」ということです。
管理人にも経験がありますが、その日初めてアルバイトに来た新人に、容赦なく本がギッシリ詰まったダンボールを2つ渡し、階段を走らせる先輩がいました。
案の定、その新人アルバイトは、10分と経たず、腕が上がらなくなり、働けなくなってしまいました(幸い事故は起こりませんでした)。
もちろん、そのしわ寄せは、管理人を含めた他のスタッフに来るわけですが…
このように、少し考えればわかりそうなことも通用しないのが引越し業界です。
お客さまご自身の荷物を守るためにも、チームリーダーが無理をさせていないかどうか、作業中は、よく見てください。
そして、事故が起こったら、直ちに作業を中断し、「その時その場で」補償交渉に入ってください。